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2021年度第3四半期(10~12月) 通信機械生産・輸出入概況 ~新型コロナ禍の影響から回復しつつある中で、部品供給制約によって生産が減少~

2022年3月16日

一般社団法人 情報通信ネットワーク産業協会(CIAJ)では、2021年度第3四半期(10-12月)の通信機械生産・輸出入の概況をまとめました。

I.概況

2021年10-12月(3Q)の日本経済は、新型コロナ対応の緊急事態宣言が解除され、経済活動への制約が緩んだことなどから個人消費や設備投資がともに改善し、10-12月四半期の実質GDP成長率(2次速報:3月9日)は年率プラス4.6%増と2四半期ぶりのプラス成長となりました。この中で通信機器市場は、第5世代通信方式(5G)に対応したスマートフォンや通信インフラの需要が回復しつつありますが、前年の需要増の反動減がある機種や、部品供給制約の影響で生産が減少している機種があり、前年同期比では減少しました。

(1)国内市場動向

10月~12月の国内市場金額(=国内生産金額-輸出金額+輸入金額:部品除く)は9,073億円となり、前年同期比では7.4%減と減少しました。生産減少や、携帯電話の輸入減による影響で減少しました。

(2)国内生産動向

10月~12月の国内生産金額は1,167億円、前年同期比では15.1%減と2四半期連続で減少しました。前年のネットワーク増強の反動減や部品供給制約の影響によって生産が減少しました。

(3)輸出動向

10月~12月の輸出総額は890億円、前年同期比では10.8%増と3四半期連続で増加しました。海外のスマートフォン生産に向けた生産用部品の輸出が減少しましたが、携帯電話や基地局の出荷が増加しました。

(4)輸入動向

10月~12月の輸入総額は8,963億円となり、前年同期比では4.6%減となりました。データ通信機器は国内での設備投資が改善したことから増加しましたが、携帯電話は前年10月に発売となった海外メーカー製携帯電話との対比で減少してます。

II.国内市場動向(生産動態統計と貿易統計からCIAJにて纏め)

(1)機種別の詳細動向(参照:図表1-1)

機種別の10月~12月の実績は以下の通りです。
生産動態統計と貿易統計から「国内市場規模=国内生産金額-輸出金額+輸入金額」として、国内市場規模を算出しています(海外メーカーの輸入額も含みます)。

①端末機器:6,191億円(前年同期比 10.9%減)
②ネットワーク関連機器:2,893億円(前年同期比 1.0%増)

図表1-1:国内市場(機種別、四半期別

III.国内生産動向(経済産業省「生産動態統計調査」からCIAJにて纏め)

(1)機種別の詳細動向(参照:図表2-1)

機種別の10月~12月の実績は以下の通りです。

①有線端末機器
94億円(前年同期比11.9%減)。うち電話機4億円(同22.7%減)、ボタン電話装置31億円(同5.3%減)、インターホン58億円(同14.3%減)となりました。半導体および電子部品の供給制約から国内生産が減少しているものの、ボタン電話は4月~12月でほぼ前年同期並みとなっています。

②移動体端末機器
363億円(前年同期比17.5%減)。うち携帯電話275億円(同1.1%減)となりました。携帯電話は3Qから需要が落ち込み、低価格モデルへのシフトなどもあって国内生産が減少しました。その他の陸上移動通信装置や海上・航空移動通信装置は需要が戻りつつあるものの、部品供給制約などの影響を受けて国内生産が減少しました。

③有線ネットワーク関連機器
349億円(前年同期比19.2%減)。うち交換機(局用と構内用)54億円(同31.5%減)、デジタル伝送装置163億円(同10.9%減)、その他の搬送装置132億円(同22.6%減)となりました。構内用交換機は、半導体不足が継続して国内生産が減少しました。デジタル伝送装置は、前年同期の反動減や半導体不足による供給制約から国内生産が減少しました。

④無線ネットワーク関連機器
252億円(前年同期比0.8%増)。うち固定通信装置56億円(同18.9%減)、基地局通信装置196億円(同8.2%増)。固定通信装置は、官庁向けやその他民間向けで需要が低迷したために国内生産が減少しました。基地局通信装置は、5G商用サービスに向けた基地局投資が本格化したことから国内生産の増加が継続しています。

⑤ネットワーク接続機器
41億円(前年同期比51.2%減)。新型コロナ禍によって民間向けの需要が低迷しており、部品供給制約などの影響もあって国内生産が減少しました。

⑥有線部品(有線機器用リレー、中継器用など)
69億円(前年同期比9.3%増)。国内での部品供給問題の解消のためや、海外でのスマートフォン生産用部品として輸出するために、有線部品の国内生産が増加しました。

図表2-1:生産総額(機種別、四半期別)

IV.輸出動向(財務省「貿易統計」からCIAJにて纏め)

(1)機種別の詳細動向(参照:図表3-1)

機種別の10月~12月実績は以下の通りです。

①電話機及び端末機器77億円(前年同期比43.2%減)
内訳は、携帯電話69億円(同59.5%増)、コードレスホン0.1億円(同86.4%減)、その他8億円(同21.8%減)となりました。携帯電話の輸出のほとんどが米国向けで増加しました。

②ネットワーク関連機器352億円(同25.4%増)
内訳は、基地局87億円(同4177.5%増)、データ通信機器260億円(同4.3%減)、その他ネットワーク関連機器6億円(同19.7%減)となりました。基地局の輸出のほとんどが米国向けで大幅に増加しています。

③部品(有線系・無線系の合計)461億円(同1.7%減)
海外でのスマートフォン生産が3Qから落ち込み、その生産用部品の輸出は減少しました。

図表3-1 輸出動向(機種別、四半期別)

(2)地域別の詳細動向(参照:図表3-2)

地域別の10月~12月実績は、アジア向けが514億円(前年同期比4.4%減)、うち中国向けは277億円(同24.3%増)。北米向けが287億円(同78.7%増)、うち米国は281億円(同79.1%増)。欧州向けは72億円(同17.1%減)、うちEUは50億円(同15.2%減)となりました。米国向け輸出では、携帯電話や基地局の輸出が大幅に増えています。中国向け輸出では、景気回復に合わせて部品輸出が増加しました。

(3)地域別構成比

1位 アジア 57.7% (前年同期比 -9.2%)
2位 北米 32.3% (同 +12.3%)
3位 欧州 8.0% (同 -2.7%)
その他地域 1.7% (同 +0.1%)
図表3-2 輸出動向(地域別、四半期別)

Ⅴ.輸入動向(財務省「貿易統計」からCIAJにて纏め)

(1)機種別の詳細動向(参照:図表4-1)

機種別の10月~12月実績は以下の通りです。

①電話機及び端末機器5,801億円(前年同期比10.0%減)
内訳は、携帯電話5,779億円(同9.9%減)、コードレスホン6億円(同61.5%減)、その他17億円(同5.0%増)となりました。携帯電話は3Qから国内需要が減少していることから減少しました。コードレスホンは、海外工場での部品供給不足や生産人員不足によって生産が停滞したために輸入が減少しました。

②ネットワーク関連機器2,603億円(同9.4%増)
内訳は、基地局231億円(同28.5%減)、データ通信機器2,317億円(同16.5%増)、その他ネットワーク関連機器55億円(同17.6%減)となりました。データセンター設備投資などに向けて、データ通信機器(ルータースイッチ、その他(伝送装置、通信装置、変復調装置等))が増加しました。

③部品(有線機器と無線機器用部品の合計)558億円(同2.1%減)

図表4-1 輸入動向(機種別、四半期別)

(2)地域別の詳細動向(参照:図表4-2)

地域別の10月~12月実績では、アジアからが8,592億円(前年同期比4.8%減)、うち中国は6,929億円(同0.6%減)。北米からは123億円(同0.1%増)、うち米国は108億円(同1.2%減)。欧州からは162億円(同0.6%減)、うちEUは155億円(同0.5%減)。

アジアからは、データ通信機器の需要が好調で輸入が増えましたが、携帯電話の輸入が減少したため、前年同期で減少しました。

(3)地域別構成比

1位 アジア 95.9% (前年同期比 -0.2%)
2位 北米 1.4% (同 +0.1%)
3位 欧州 1.8% (同 +0.1%)
その他地域 0.8% (同 ±0%)
図表4-2 輸入動向(地域別、四半期別)

VI.受注・出荷動向(CIAJ自主統計「受注・出荷統計」より)

(1)2021年度第3四半期(10-12月)の実績

10月~12月のCIAJ自主統計受注・出荷総額は3,321億円で前年同期比16.9%減となり、このうち国内出荷は2,676億円の同比15.8%減、輸出が645億円の同比21.0%減となりました。
※CIAJ会員の受注・出荷額(国内メーカー)とは
国内メーカーの国内生産額+海外生産した輸入額=国内出荷+輸出額

(2)機種別動向

機種別の10月~12月実績は以下の通りです。

①有線端末機器 1,139億円(前年同期比11.6%減)
インターホンは新型コロナ禍の影響から回復しつつあり住宅やオフィスでの需要が増加しました。電話機や事業所用コードレスは、海外工場での部品供給不足や生産人員不足によって生産が停滞したために出荷が減少しました。パーソナルファクシミリ(複合機を含む)やビジネスファクシミリ(複合機を含む)も部品不足や物流の混乱によって、国内だけでなく輸出にも影響があり低迷しています。このため有線端末機器全体では同比で減少しました。

②移動体端末機器 1,090億円(同比7.2%減)
携帯電話は、5G対応スマホの新製品発売や3G停波に向けた買い替え需要がありましたが、3Qから前年対比で低迷しており、同比で減少しました。その他の移動端末機器も国内外で低迷しました。

③有線ネットワーク関連機器 499億円(同比26.7%減)
ボタン電話や構内用電子交換機などのビジネス機器は、ほとんどの機種で半導体など部品不足の影響によって出荷が減少しました。デジタル伝送装置やPON/MCは、前年のGIGAスクールなど光ケーブル網の全国整備の反動減などもあって減少しているため、有線ネットワーク関連機器全体では同比で減少しました。

④無線ネットワーク関連機器 432億円(同比37.4%減)
固定通信装置は、衛星系が官庁向けや輸出での需要が増加していますが、5G携帯電話向け基地局通信装置への投資が一段落したために、無線ネットワーク関連機器全体では同比で減少しました。

⑤その他ネットワーク関連機器 74億円(同比18.9%減)
ルーター、LANスイッチは、3Qから部品不足影響による供給不足で減少しています。

⑥通信機器用部品 87億円(同25.1%増)

VII.2021暦年の国内生産・輸出・輸入動向

(1)2021暦年の国内市場動向(参照:図表5-1)

2021年1月~12月の国内市場金額は3兆2,394億円で、前年比14.9%増となりました。端末機器は、新型コロナ禍の影響で購入意欲低下により減少した需要が2020年後半から持ち直し、2021年の需要が好調に推移しました。一方で、ネットワーク関連機器も、5G商用サービスに向けた通信インフラ構築などによって需要が増加したことから、通信機器全体は前年より増加しました。

(2)2021暦年の国内生産動向(参照:図表5-2)

2021年1月~12月の国内生産は5,017億円で、前年比2.2%減となりました。業務用無線などのその他の移動体端末や、デジタル伝送装置などの有線ネットワーク関連機器では、前年に大きく伸びた需要の反動減により減少しました。また端末機器も部品不足による生産低迷で減少しました。

(3)2021暦年の輸出動向(参照:図表5-3、図表5-4)

2021年1月~12月の輸出は3,207億円で、前年比13.6%増となりました。新型コロナ禍の影響が落ち着いて海外でのスマートフォン生産が拡大したことから部品の輸出が増加し、さらに米国向けの携帯電話や基地局の輸出が増加したことから、4暦年ぶりに輸出が増加しました。

(4)2020暦年の輸入動向(参照:図表5-5、図表5-6)

2021年1月~12月の輸入は3兆1,319億円で、前年比17.5%増となりました。輸入全体で大きな割合を占める携帯電話が2021年前半で好調に推移したことや、ネットワーク関連の需要が好調なため、基地局やデータ通信機器のうちのその他(伝送装置、通信装置、変復調装置等)が前年よりさらに増加したことから、暦年の輸入では初めて3兆円を超えました。

図表5-1 国内市場(機種別、暦年別)
図表5-2 生産総額(機種別、暦年別)
図表5-3 輸出動向(機種別、暦年別)
図表5-4 輸出動向(地域別、暦年別)
図表5-5 輸入動向(機種別、暦年別)
図表5-6 輸入動向(地域別、暦年別)

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