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2020年度第3四半期(10~12月) 通信機械生産・輸出入概況 ~通信インフラ・ネットワーク機器は好調を継続、携帯電話やビジネス機器も上向きとなり、回復傾向に~

2021年3月10日

一般社団法人 情報通信ネットワーク産業協会(CIAJ)では、2020年度第3四半期(10-12月)の通信機械生産・輸出入の概況をまとめました。

I.概況

2020年10-12月の日本経済は、実質GDP成長率(1次速報値:2月25日)が年率12.7%と新型コロナウイルス感染症の影響を受けた反動により、前期(年率22.7%)に引き続き大きな伸び率となって回復傾向にあります。ただし、感染拡大によって急落した分は戻っておらず、2020年暦年での実質GDP成長率は▲4.8%と、2009年以来、11年ぶりのマイナス成長になっています。

この中で10-12月の通信機器市場は、5G向け通信インフラ構築や光ケーブル網の全国整備に合わせた設備投資が新型コロナ禍の影響を受けずに増加を継続しており、さらに新型コロナ禍の影響によって需要が低迷した携帯電話や、受注活動が停滞し設備投資が抑制されたビジネス関連機器の需要も回復しつつあります。

(1)国内市場動向

10月~12月の国内市場金額(=国内生産金額-輸出金額+輸入金額:部品は除く、輸入には海外メーカー製を含みます)は、9,801億円となり、前年同期比では19.4%増となりました。端末機器の需要も増加して、2年前の水準に戻りつつあります。4月~12月の累計は2兆1,445億円、前年同期比では5.8%増となりました。

(2)国内生産動向

10月~12月の国内生産金額は1,373億円、前年同期比では17.8%増となりました。購入意欲が低下していた携帯電話が持ち直し、5Gに向けた基地局などの設備投資が大幅に増加したことから、2四半期ぶりに増加に転じました。4月~12月の累計は3,597億円、前年同期比でも5.8%増と増加となりました。

(3)輸出動向

10月~12月の輸出総額は803億円で、前年同期比0.1%増と僅かに増加しました。アジア新興国でのスマートフォン生産が回復し、その生産に向けた部品輸出が増加しつつあるために、12四半期ぶりに増加しました。ただし、海外景気の低迷が続いて他の機器の輸出は減少しているため、4月~12月の累計は2,125億円、前年同期比では10.5%減となりました。

(4)輸入動向

10月~12月の輸入総額は9,396億円となり、前年同期比17.0%増となりました。基地局やデータ通信機器のうち「その他(伝送装置、通信装置、変復調装置等)」などネットワーク関連の国内需要が好調を継続している上に、輸入総額のうち大きな割合を占める携帯電話の需要が回復して2四半期ぶりに増加に転じました。4月~12月の累計は2兆598億円、前年同期比でも4.4%増となりました。

II.国内市場動向(生産動態統計と貿易統計からCIAJにて纏め)

(1)機種別の詳細動向(参照:図表1-1)

機種別の10月~12月の実績は以下の通りです。ネットワーク関連機器だけではなく、端末機器も伸長しました。
生産動態統計と貿易統計から「国内市場規模=国内生産金額-輸出金額+輸入金額」として、国内市場規模を算出しています(海外メーカーの輸入額も含みます)。

①端末機器:6,938億円(前年同期比 17.2%増)
②ネットワーク関連機器:2,863億円(前年同期比 25.1%増)

図表1-1:国内市場(機種別、四半期別

III.国内生産動向(経済産業省「生産動態統計調査」からCIAJにて纏め)

(1)機種別の詳細動向(参照:図表2-1)

機種別の10月~12月の実績は以下の通りです。

①有線端末機器
105億円(前年同期比15.5%減)。うち電話機5億円(同11.0%減)、ボタン電話装置32億円(同6.0%減)、インターホン68億円(同19.5%減)となりました。新型コロナ禍の影響によって対面の営業活動や設置工事が制限を受け、また着工件数も減少したことなどから、住宅向けのインターホンや、オフィスビル向けのボタン電話の需要が低迷しました。現在は、その影響から回復しつつありますが、国内生産は減少しました。

②移動体端末機器
440億円(前年同期比6.7%増)。うち携帯電話278億円(同8.0%増)となりました。携帯電話は、新型コロナ禍の影響を受けましたが現在は回復傾向にあり、5Gモデルを含む新製品の販売が堅調であることから、国内生産は増加しました。

③有線ネットワーク関連機器
432億円(前年同期比26.1%増)。うち局用交換機46億円(同62.0%増)、構内用交換機10億円(同23.3%減)、デジタル伝送装置183億円(同52.1%増)、その他の搬送装置171億円(同5.3%増)となりました。局用交換機は、固定電話のIP網への移行のため、IP変換用設備の生産が増加しました。構内用交換機は、固定電話の利用回数減や在宅勤務によるオフィス縮小などの影響から回復しつつありますが、国内生産は減少しました。デジタル伝送装置は、5G向け通信インフラ構築や光ケーブル網の全国整備に合わせて、バックボーンとなるネットワーク設備投資が好調で、国内生産の大幅な増加が継続しています。

④無線ネットワーク関連機器
249億円(前年同期比94.4%増)。うち固定通信装置69億円(同5.5%増)、基地局通信装置181億円(同185.4%増)。固定通信装置は、官庁向けが堅調なことから国内生産が増加しました。基地局通信装置は、5G向け通信インフラ構築に向けて国内生産が大幅に増加しています。

⑤ネットワーク接続機器
84億円(前年同期比8.7%減)。ルーターは、テレワークやオンライン会議によるトラフィックの増加に支えられて通信事業者向けが堅調ですが、LANスイッチは、新型コロナ禍の影響によって企業での設備投資が低迷しており、GIGAスクール構想による需要回復も工事延伸などから需要が減少しており、国内生産は同比で減少しました。

⑥有線部品(有線機器用リレー、中継器用など)
63億円(前年同期比4.8%減)。アジア新興国でのスマートフォン生産が回復しつつあるため、同比の減少幅が小さくなっています。

図表2-1:生産総額(機種別、四半期別)

IV.輸出動向(財務省「貿易統計」からCIAJにて纏め)

(1)機種別の詳細動向(参照:図表3-1)

機種別の10月~12月実績は以下の通りです。

①電話機及び端末機器54億円(前年同期比5.3%減)
内訳は、携帯電話43億円(同12.0%減)、コードレスホン0.6億円(同15.5%減)、その他10億円(同44.0%増)となりました。ビデオフォンなどを含むその他の電話機及び端末機器の輸出は、米国向けで増加を継続しています。

②ネットワーク関連機器281億円(同16.5%減)
内訳は、基地局2億円(同74.6%減)、データ通信機器271億円(同15.2%減)、その他ネットワーク関連機器8億円(同7.7%減)となりました。ほぼ全ての機器が海外景気低迷によって減少していることから輸出は低迷しました。

③部品(有線系・無線系の合計)469億円(同14.5%増)
アジア新興国でのスマートフォン生産が回復し、その生産に向けた部品の輸出が増加し、10四半期ぶりに増加しました。

図表3-1 輸出動向(機種別、四半期別)

(2)地域別の詳細動向(参照:図表3-2)

地域別の10月~12月実績は、アジア向けが538億円(前年同期比16.7%増)、うち中国向けは222億円(同47.4%減)。北米向けが161億円(同13.1%減)、うち米国は157億円(同13.9%減)。欧州向けは86億円(同23.1%減)、うちEUは71億円(同16.4%減)となりました。

アジア新興国向けの部品輸出が増加し、アジア向けや中国向けは12四半期ぶりに増加しました。また、新型コロナの感染再拡大が懸念される米国や欧州への輸出は減少しています。

(3)地域別構成比

1位 アジア 66.9 (前年同期比 +9.5%)
2位 北米 20.0% (同 -3.1%)
3位 欧州 10.7% (同 -3.2%)
その他地域 2.3% (同 -3.2%)
図表3-2 輸出動向(地域別、四半期別)

Ⅴ.輸入動向(財務省「貿易統計」からCIAJにて纏め)

(1)機種別の詳細動向(参照:図表4-1)

機種別の10月~12月実績は以下の通りです。

①電話機及び端末機器6,448億円(前年同期比18.5%増)
内訳は、携帯電話6,417億円(同18.6%増)、コードレスホン14億円(同19.8%増)、その他16億円(同0.5%増)となりました。携帯電話では、海外メーカー製の新製品も含めた5Gモデルなどの販売が堅調であることから、スマートフォンの輸入が増加しました。

②ネットワーク関連機器2,378億円(同15.3%増)
内訳は、基地局324億円(同69.3%増)、データ通信機器1,989億円(同9.3%増)、その他ネットワーク関連機器66億円(同29.9%増)となりました。ネットワーク設備の需要増により、データ通信機器のうち、その他(伝送装置、通信装置、変復調装置等)の輸入が継続して増加しました。

③部品(有線機器と無線機器用部品の合計)570億円(同8.2%増)

図表4-1 輸入動向(機種別、四半期別)

(2)地域別の詳細動向(参照:図表4-2)

別の10月~12月実績では、アジアからが9,026億円(前年同期比18.3%増)、うち中国は6,972億円(同12.7%増)。北米からは123億円(同22.0%減)、うち米国は109億円(同24.8%減)。欧州からは163億円(同13.3%増)、うちEUは161億円(同13.8%増)。

アジアや欧州から、基地局の輸入が増加しています。

(3)地域別構成比

1位 アジア 96.1% (前年同期比 +1.1%)
2位 北米 1.3% (同 -0.7%)
3位 欧州 1.7% (同 -0.1%)
その他地域 0.9% (同 -0.4%)
図表4-2 輸入動向(地域別、四半期別)

VI.受注・出荷動向(CIAJ自主統計「受注・出荷統計」より)

(1)2020年10-12月の実績

10月~12月のCIAJ自主統計受注・出荷総額は3,994億円、前年同期比10.2%増で、このうち、国内出荷は3,177億円、同比11.3%増、輸出が817億円、同比6.2%増となりました。4月~12月の累計では受注・出荷総額は1兆600億円、前年同期比4.9%減で、このうち、国内出荷は8,652億円、同比2.1%減、輸出が1,948億円、同比15.7%減となりました。
※自主統計「受注・出荷」=CIAJ会員の国内メーカーの受注・出荷額
(=国内出荷額(国内生産+海外生産)+輸出額 =国内生産額+海外生産した輸入額)

(2)機種別動向

機種別の10月~12月実績は以下の通りです。

①有線端末機器 1,288億円(前年同期比0.3%減)
新型コロナ禍の影響を受けて、テレワーク需要の拡大で輸出を中心にパーソナルファクシミリ(複合機を含む)の需要が増加したが、コードレスホンやインターホンなどの国内需要は減少し、ビジネスファクシミリ(複合機を含む)の国内需要と輸出も減少したため、有線端末機器全体では同比でほぼ横ばいになりました。

②移動体端末機器 1,175億円(同比7.5%減)
携帯電話は需要が回復しつつありますが、昨年度との対比では減少しました。その他の移動端末機器は、官庁向けや輸出向けの業務用無線などが堅調でした。

③有線ネットワーク関連機器 680億円(同比37.3%増)
ボタン電話や構内用電子交換機などのビジネス機器は、新型コロナ禍による影響から回復しつつあり、またデジタル伝送装置は、国内需要が好調を継続していることから、有線ネットワーク関連機器全体では同比で増加しました。

④無線ネットワーク関連機器 691億円(同比73.3%増)
携帯電話向けの基地局通信装置の需要が、5G商用化サービスに向けて増加しているために、無線ネットワーク関連機器全体では同比で大幅に増加しました。

⑤その他ネットワーク関連機器 91億円(同比8.3%減)
ルーターの需要は増加した一方で、民間の設備投資などで低迷しているLANスイッチの需要が大幅に減少したため、その他ネットワーク関連機器全体では同比で減少しました。

⑥通信機器用部品 69億円(同3.3%増)

VII.2020暦年の国内生産・輸出・輸入動向

(1)2020暦年の国内市場動向(参照:図表5-1)

2020年1月~12月の国内市場金額は2兆8,172億円で、前年比2.6%増となりました。端末機器は、2019年の新料金プラン発表前後の携帯電話の買い控えに加えて、2020年は新型コロナ禍の影響で購入意欲が低下したことから需要がさらに減少しました。一方で、ネットワーク関連機器は、5G向け通信インフラ構築や光ケーブル網の全国整備に合わせた設備投資が新型コロナ禍の影響を受けずに需要が増加したことから、全体では前年より増加しました。

(2)2020暦年の国内生産動向(参照:図表5-2)

2020年1月~12月の国内生産は5,127億円で、前年比6.5%増となりました。ネットワーク関連機器の需要が好調なことから、国内生産は前年より増加しました。

(3)2020暦年の輸出動向(参照:図表5-3、図表5-4)

2020年1月~12月の輸出は2,328億円で、前年比11.8%減となりました。2019年には貿易摩擦、海外景気低迷の影響などにより、アジア新興国でのスマートフォン生産が縮小したことから部品の輸出が大きく減少し、2020年には新型コロナ禍の影響で海外での需要が低迷したことから、ほとんどの機種の輸出が前年より減少しました。

(4)2020暦年の輸入動向(参照:図表5-5、図表5-6)

2020年1月~12月の輸入は2兆6,648億円で、前年比0.7%増となりました。輸入全体で大きな割合を占める携帯電話が、国内需要の低迷によって前年より減少しましたが、ネットワーク関連の需要が好調なため、基地局や、データ通信機器のうちのその他(伝送装置、通信装置、変復調装置等)の輸入が前年よりさらに増加しました。

図表5-1 国内市場(機種別、暦年別)
図表5-2 生産総額(機種別、暦年別)
図表5-3 輸出動向(機種別、暦年別)
図表5-4 輸出動向(地域別、暦年別)
図表5-5 輸入動向(機種別、暦年別)
図表5-6 輸入動向(地域別、暦年別)

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