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2019年度第3四半期(10~12月) 通信機械生産・輸出入概況 ~業務用無線を含む移動体端末や,デジタル伝送装置などの有線機器が好調で,国内生産が2四半期連続で増加

2020年3月11日

一般社団法人 情報通信ネットワーク産業協会(CIAJ)では、2019年度第3四半期(10-12月)の通信機械生産・輸出入の概況をまとめました。

I.概況

2019年10-12月の日本経済は、実質GDP成長率(2次速報値:3月9日)が年率▲7.1%と5四半期ぶりのマイナス成長となりました。個人消費は、消費増税前の駆け込み需要の反動で減少しました。設備投資は、人手不足を補う省力化需要やオフィスビルなどの建設工事需要が低迷したことから、情報通信メーカーや輸送用機械などの製造業が落ち込んでいます。輸出も海外経済の減速などから引き続き低迷しています。

この中で通信機器市場では、電気通信事業法改正後の様子見、駆け込み需要の反動、第5世代移動通信システム(5G)の端末発売を前にした買い控えなどを背景にスマートフォンの需要が低迷しています。一方、5G商用サービスに向けた国内需要は、バックボーンとなる有線ネットワーク関連機器から、基地局やルーターなど携帯電話インフラ機器に需要がシフトしつつあります。

(1)国内市場動向

10月~12月の国内市場金額(=国内生産金額-輸出金額+輸入金額:部品除く)は8,208億円となり、前年同期比では14.9%減と減少しました。輸入総額の減少が影響しています。4月~12月の累計では2兆166億円、前年同期比は7.1%減と減少しました。

(2)国内生産動向

10~12月の国内生産金額は1,165億円、前年同期比は7.8%増となりました。国内生産される携帯電話が増加したことと、有線ネットワーク関連機器が好調なため、2四半期連続で増加しました。4月~12月の累計では3,289億円、前年同期比は7.0%増と増加しました。

(3)輸出動向

10月~12月の輸出総額は802億円で、前年同期比24.7%減となり、8四半期連続で大きく減少しました。アジア新興国でのスマートフォン生産が低迷し、その生産に向けた部品輸出の減少が継続しています。海外経済の低迷も続いていますが、データトラフィックの増加に備えたデジタル伝送装置の輸出は増加しました。4月~12月の累計では2,376億円、前年同期比は24.6%減と減少しました。

(4)輸入動向

10月~12月の輸入総額は8,029億円となり、前年同期比17.1%減となり、2四半期連続で減少しました。国内でのスマートフォン需要が低迷しているため、海外生産された国内メーカー製や海外メーカー製の輸入が大きく減少しました。また、増加傾向であったデータ通信機器のうち「その他(伝送装置、通信装置、変復調装置等)」に代わって、基地局やルーターなど携帯電話インフラ機器の輸入が増加しました。4月~12月の累計では1兆9,731億円、前年同期比は9.5%減と減少しました。

II.国内市場動向(生産動態統計と貿易統計からCIAJにて纏め

(1)機種別の詳細動向(参照:図表1-1)

機種別の10月~12月の実績は以下の通りです。

生産動態統計と貿易統計から「国内市場規模=国内生産金額-輸出金額+輸入金額」として、国内市場規模を算出しています(海外メーカーの輸入額も含みます)。

①端末機器: 5,920億円(前年同期比 20.7%減)
②ネットワーク関連機器: 2,289億円(前年同期比 4.7%増)

図表1-1:国内市場(機種別、四半期別)

III.国内生産動向(経済産業省「生産動態統計調査」からCIAJにて纏め)

(1)機種別の詳細動向(参照:図表2-1)

機種別の10月~12月の実績は以下の通りです。

①有線端末機器
124億円(前年同期比10.0%減)。うち電話機5億円(同40.6%減)、ボタン電話装置34億円(同14.1%減)、インターホン85億円(同0.6%減)となりました。ホームやビジネス向けの機器は、個人消費や企業の設備投資が低迷していることから減少傾向となりました。

②移動体端末機器
412億円(前年同期比41.3%増)。うち携帯電話(公衆用PHSを含む)257億円(同60.9%増)となりました。国内で生産される携帯電話や、業務用無線などのその他の陸上移動通信装置が同比で増加しました。

③有線ネットワーク関連機器
343億円(前年同期比15.1%増)。うち局用交換機29億円(同65.9%増)、構内用交換機12億円(同38.4%減)、デジタル伝送装置120億円(同23.5%増)、その他の搬送装置162億円(同11.8%増)となりました。局用交換機は、公衆交換電話網からIP網に移行する際に必要となる収容装置や変換装置の需要が増加しました。構内用交換機は、企業の拠点統廃合や、FMCによる回線減少などが影響して減少傾向にあります。デジタル伝送装置はデータトラフィック増加に対応して通信事業者のメトロ領域での投資により、国内生産および輸出の増加が継続しています。

④無線ネットワーク関連機器
128億円(前年同期比29.8%減)。うち固定通信装置65億円(同24.8%減)、基地局通信装置63億円(同34.3%減)。官庁向け衛星系固定通信装置の需要が増加しています。携帯電話インフラ機器は5G商用サービスに向けて国内需要が拡大し始めましたが、海外メーカーの優位性が高く、国内生産は低迷しています。

⑤ネットワーク接続機器
92億円(前年同期比5.1%減)。5G商用化に向けたシステム強化、動画サービスによるトラフィック増大、働き方改革などへの職場環境整備に対応するために需要が伸びていましたが、増税の影響による消費者の購買意欲低下などから減少しました。

⑥有線部品(有線機器用リレー、中継器用など)
66億円(前年同期比10.9%減)。新興国のスマートフォン生産向けの部品輸出が減少しているために、部品生産の減少も継続しています。

 

図表2-1:生産総額(機種別、半期別)

IV.輸出動向(財務省「貿易統計」からCIAJにて纏め)

(1)機種別の詳細動向(参照:図表3-1)

機種別の10月~12月実績は以下の通りです。

①電話機及び端末機器57億円(前年同期比39.1%減)
内訳は、携帯電話49億円(同43.5%減)、コードレスホン0.7億円(同19.7%増)、その他7億円(同25.8%増)となりました。携帯電話は米国向けが2019年度第2四半期から減少しています。

②ネットワーク関連機器336億円(同0.5%減)
内訳は、基地局8億円(同33.5%減)、データ通信機器320億円(同1.1%増)、その他ネットワーク関連機器8億円(同13.2%減)となりました。データ通信機器では、海外景気の低迷によって需要減が継続していますが、デジタル伝送装置の需要が好調なため、全体では増加しました。

③部品(有線系・無線系の合計)409億円(同35.5%減)
スマートフォン生産が頭打ちになっている中国向けの部品輸出が、部品輸出全体に対する割合で3割以下(2016年頃は6割超)となり、部品輸出の減少継続に大きく影響しています。

図表3-1:輸出動向(機種別、四半期別)

(2)地域別の詳細動向(参照:図表3-2)

地域別の10月~12月実績は、アジア向けが461億円(前年同期比33.2%減)、うち中国向けは151億円(同56.0%減)。北米向けが185億円(同22.7%減)、うち米国は182億円(同22.6%減)。欧州向けは112億円(同14.4%増)、うちEUは85億円(同0.1%増)となりました。通商問題や、スマートフォン需要の頭打ちから、輸出全体に占める中国輸出の割合は18.8%とさらに減少しました。

(3)地域別構成比

1位 アジア 57.4% (前年構成比 -7.3%)
2位 北米 23.1% (同 +0.6%)
3位 欧州 14.0% (同 +4.8%)
その他地域 5.5% (同 +1.9%)
図表3-4:輸出動向(地域別、四半期別)

Ⅴ.輸入動向(財務省「貿易統計」からCIAJにて纏め)

(1)機種別の詳細動向(参照:図表4-1)

機種別の10月~12月実績は以下の通りです。

①電話機及び端末機器5,441億円(前年同期比23.6%減)
内訳は、携帯電話5,413億円(同23.7%減)、コードレスホン12億円(同9.9%減)、その他16億円(同8.3%減)となりました。国内でのスマートフォン需要が低迷しているため、海外生産された国内メーカー製や海外メーカー製の輸入が大きく減少しました。

①電話機及び端末機器5,441億円(前年同期比23.6%減)
内訳は、携帯電話5,413億円(同23.7%減)、コードレスホン12億円(同9.9%減)、その他16億円(同8.3%減)となりました。国内でのスマートフォン需要が低迷しているため、海外生産された国内メーカー製や海外メーカー製の輸入が大きく減少しました。

③部品(有線機器と無線機器用部品の合計)527億円(同13.4%減)

図表4-1:輸入動向(機種別、四半期別)

(2)地域別の詳細動向(参照:図表4-2)

地域別の10月~12月実績では、アジアからが7,626億円(前年同期比17.4%減)、うち中国は6,183億円(同19.0%減)。北米からは157億円(同17.2%減)、うち米国は145億円(同17.7%減)。欧州からは144億円(同8.6%増)、うちEUは142億円(同9.7%増)。

基地局は、アジアからのほか、欧州からの輸入が増えました。

(3)地域別構成比

1位 アジア 95.0% (前年構成比 -0.4%)
2位 北米 2.0% (同 ±0%)
3位 欧州 1.8% (同 +0.4%)
その他地域 1.3% (同 ±0%)
図表4-2:輸入動向(地域別、四半期別)

VI.受注・出荷動向(CIAJ自主統計「受注・出荷統計」より)

(1)第3四半期(10-12月)の実績

10月~12月のCIAJ自主統計受注・出荷総額は3,623億円で、前年同期比6.4%減となりました。このうち、国内出荷は2,854億円の同比4.9%減、輸出は769億円の同比11.3%減でした。

4月~12月の累計では、受注・出荷総額は1兆1,150億円の同比0.3%減、国内出荷は8,840億円の同比3.4%増、輸出は2,310億円の12.3%減でした。
※自主統計「受注・出荷」=CIAJ会員の国内メーカーの受注・出荷額
( =国内出荷額(国内生産+海外生産)+輸出額 =国内生産額+海外生産した輸入額 )

(2)機種別動向

機種別の10月~12月実績は以下の通りです。

①有線端末機器 1,292億円(前年同期比3.7%減)
電話機、コードレスホンやインターホンの国内需要が堅調でしたが、海外景気低迷の影響を大きく受けたビジネスファクシミリ(ビジネスファクシミリ複合機を含む)の輸出減少額が大きな割合を占めるため、有線端末機器全体では同比で減少しました。

②移動体端末機器 1,271億円(同比10.8%減)
業務用無線等その他の移動端末機器は国内需要や輸出とも好調ですが、携帯電話の需要は電気事業法改正などの要因で出荷台数が落ち込むとともに、購入価格帯がハイエンドからミドルへ移行して端末単価が下落したことにより低迷しています。

③有線ネットワーク関連機器 495億円(同比7.5%増)
ボタン電話や構内用電子交換機は国内ではほぼ横ばい。デジタル伝送装置は国内需要と輸出とも好調、PON(ONU/OLT)も国内需要で好調なため、有線ネットワーク関連機器全体では同比で増加しました。

④無線ネットワーク関連機器 399億円(同比13.2%減)
官庁向け衛星系固定通信装置の需要が大幅に増加しましたが、基地局や地上系固定通信装置は低迷しているため、無線ネットワーク関連機器全体では同比で減少しました。

⑤その他ネットワーク関連機器 99億円(同比3.7%増)
ルーターとLANスイッチとも需要が好調なため、同比で増加しました。

⑥通信機器用部品 67億円(同22.2%減)

VII.2019暦年の国内生産・輸出・輸入動向

(1)2019暦年の国内市場動向(参照:図表5-1)

2019年1月~12月の国内市場金額は2兆7,148億円で、前年比7.0%減となりました。端末購入ガイドラインなどによる携帯電話需要の大きな減少や、円高背景による設備投資の慎重姿勢があった2016年と同じような傾向となり、同比で減少しました。

(2)2019暦年の国内生産動向(参照:図表5-2)

2019年1月~12月の国内生産は4,506億円で、前年比1.4%減となりました。有線ネットワーク関連機器(デジタル伝送装置や交換機など)やネットワーク接続機器(ルーターやLANスイッチなど)の需要が好調で同比で増加し、インターホンや海上・航空移動通信装置も同比で増加しましたが、5G商用サービスに向けた無線ネットワーク関連機器は低調となりました。

(3)2019暦年の輸出動向(参照:図表5-3、図表5-4)

2019年1月~12月の輸出は3,199億円で、前年比25.2%減となりました。2019年前半まで増加傾向にあった携帯電話が同比で増加したほかは、海外景気低迷の影響で大きく減少した部品を始めとしてほとんどの機種が同比で減少しました。

(4)2019暦年の輸入動向(参照:図表5-5、図表5-6)

2019年1月~12月の輸入は2兆6,457億円で、前年比8.6%減となりました。デジタル伝送装置などの需要が好調であったデータ通信機器や基地局が同比で増加しましたが、輸入全体で大きな割合を占める携帯電話が、国内需要の低迷によって同比で大きく減少しました。

 

図表5-1:国内市場(機種別、暦年別)
図表5-2:生産総額(機種別、暦年別)
図表5-3:輸出動向(機種別、暦年別
図表5-4:輸出動向(地域別、暦年別)
図表5-5:輸入動向(機種別、暦年別)
図表5-6:輸入動向(地域別、暦年別)

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