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お知らせ

通信機器中期需要予測[2019-2024年度]を発刊 ~5Gの進展により5Gを活用した新たな機器・サービスも期待され、通信機器需要は緩やかに拡大~

2019年12月11日

一般社団法人 情報通信ネットワーク産業協会(以下、CIAJ)は、このたび、「通信機器中期需要予測[2019年度~2024年度]」を発刊いたしました。CIAJでは1960年(昭和35年)より通信機器中期需要予測を取りまとめており、2019年(令和元年)に60年目を迎えることを記念して「第5世代移動通信システム(以下、5G)」を特集いたしました。また需要予測についても、5Gの進展とともに新たな需要が期待される通信端末機器や通信ネットワーク機器の需要予測と技術サービス動向について解説しています。

I.概 要

2018年度の日本経済は、海外経済、特に中国経済の減速によって、アジア向けのIT輸出が2018年度当初から減少傾向になったために外需は低迷した一方で、労働力不足や設備老朽化に対する設備投資が増加し、好調な企業収益を背景に個人所得も高まって個人消費が増加したことから内需は好調となりました。この中で通信機器市場は、内需好調によって国内向けの有線端末機器が堅調、ネットワークのデータトラフィックの増加に備えて国内向けの有線系ネットワーク機器が増加しつつありますが、需要額で大きな割合を占める携帯電話や無線インフラ機器の需要が5Gに変わる端境期であることから低調が続き、さらに海外景気低迷によってほとんどの機器の輸出が減少したために、2018年度の需要総額は3兆4,509億円(2017年度比5.1%減)となりました。

2019年度の日本経済は、2019年7-9月期の実質GDP成長率(1次速報値:11月14日)が年率0.2%と小幅のプラス成長となる中で、インフラ建設需要や合理化・省力化投資が期待されていますが、個人消費は低調な推移となり、内需は伸びが緩やかに鈍化すると予測されています。一方で、半導体関連や5G関連の輸出が持ち直しに転じており、ICT関連の外需は回復局面に入ると予測されています。この中で通信機器市場は、5Gの開始に向けて有線ネットワーク関連設備の増加が期待できるものの、携帯電話では改正電気通信事業法や消費税増税の影響等から需要減少が継続しており、無線インフラ機器の投資も低調なことから、下げ止まり状態で推移し、2019年度の需要総額は3兆3,838億円(2018年度比1.9%減)になると予測しています。

2020年度以降は、ICT分野が、製造・物流・防災・交通・医療などの分野に対して、5G対応の新機種展開をはじめとして、自律運転を目標とした自動車の電装化、世界的な人手不足感の広がりを背景にしたロボットやAI(人工知能:Artificial Intelligence)需要の高まりなど、情報通信機能の強化・拡大の取り組みを進めることによって、Society 5.0を実現し、日本の経済発展や社会的課題の解決に貢献することが求められています。この中で、社会基盤となる通信端末機器や通信ネットワーク機器の新たな需要が増加して、2024年度の通信機器の需要総額は3兆7,934億円(2018年度比9.9%増)と緩やかに拡大すると見込んでいます。

II.5G特集

5Gは、国内では2019年9月にプレサービスが開始され、商用化が間近に迫ってきています。これまでのネットワーク環境を強化・拡張することに加えて、ネットワークによる変革や新ビジネスの可能性を広げようとしている中で、5G特集として、その特徴や対象市場を取り上げ、5Gによって通信機器市場で何が変わろうとしているのか、それによってどのような可能性が生まれてくるのかを分析しました。

(1)5Gの特徴および展開

  • 5Gには、3つの大きな特徴(高速大容量、多数同時接続、低遅延)があり、製造・物流・防災・交通・医療などいろいろな産業から要求される形でそれぞれの特徴を提供することによって新たなユースケースが生み出されます。例えば、高速大容量では3D映像やxRサービスなど、多数同時接続ではスマートシティやスマートホームなど、低遅延では工場機械化、自動運転などが考えられています。
  • 2019年秋の時点では、高速大容量は標準化が完了し、4Gベースの制御を使ったノン・スタンド・アローン(NSA)の5G基地局で商用サービスが提供されています。しかし、多数同時接続と低遅延は標準化途上であり、これらの特徴を実現するにはすべての無線ネットワーク設備を5G仕様にしたスタンド・アローン(SA)の5G基地局が必要になるため、多数同時接続や低遅延を適用したサービス、さらには複数の特徴をフルスペックで適用したサービスの提供には数年かかる見込みです。
  • 基地局の配備に関して、2019年4月時点での特定基地局の開設計画では、通信事業者4社合計で、1.7兆円、約7万局の5G基地局の整備が2024年度末までに計画されています。しかし、これらハードウェアに係る設備投資は4Gのときと比べて抑えられた規模になっています。この要因として、ソフトウェアを更新するだけで4G基地局のハードウェア部分をそのまま5Gに転用できるソフトウェア無線技術と、無線ネットワーク全体を仮想化することによって汎用ハードウェアを活用した安価で小型のネットワークを構築できる仮想化技術が挙げられます。NTTドコモはソフトウェア無線に対応した4G基地局を積極的に配備していることから、楽天モバイルは完全仮想化技術を導入していることから、5G基地局のハードウェア投資が少なくなっていると考えられます。

(2)5G市場動向

  • コンシューマ分野では、スマートホームや自動運転に注目しています。スマートホームでは、IoT(Internet of Things)を使って屋内外の状況を把握し、AIを使って状況や行動様式を判断して暮らしをサポートするためには、様々な端末や家電製品を繋ぐためのネットワークインフラとして5Gが必要になります。自動運転では、自車両に搭載された様々なセンサーのほか、周囲を走行する他の車両の情報、サーバーに蓄積された道路情報など膨大な情報と常時通信する必要があるため、5Gの特徴である高速・大容量や低遅延を活かすことができます。
  • ビジネス分野では、ローカル5Gに注目しています。地域や産業の個別ニーズに応じて、地域の企業や自治体などが主体となってその敷地や建物ごとに柔軟に構築できることから、市場規模が拡大することが期待されています。ローカル5Gが進展すると、災害対策などからの既存の事業者無線や自営通信の置き換えはもとより、スマートファクトリー・遠隔操縦(重機だけではなくドローンやロボットも)・セキュリティ警備の新たなビジネスが始まり、さらには現行のPBX等のビジネス関連機器にもローカル5G対応が想定されています。
  • インフラ・インターネット分野では、モバイル網でのオープン化や仮想化の動向に合わせた関連機器に注目しています。国内メーカーでは、オープン化O-RANによって既存の基地局システムへの導入が伸展するほか、もともと強い分野であるデジタル伝送装置や固定無線装置を活用して5Gバックホールを構築し、さらに交通信号機を5G基地局とする新たな市場の獲得も想定されています。

III.2019年度の見通し

2019年度の国内の通信機器の需要総額は3兆3,838億円(前年度比1.9%減)、国内は3兆561億円(同1.1%減)、輸出は3,277億円(同8.8%減)と予測しました。

2018年度と比較し増加が予測される主な機器を記載(増加額が大きい順)
【2019年度見通し】 【対2018年度増加額】 【増加率】
デジタル伝送装置 2,022億円 732億円 56.8%
固定通信装置 1,590億円 268億円 20.3%
基地局通信装置 2,212億円 217億円 10.9%
LANスイッチ 1,766億円 43億円 2.5%
光アクセス機器 206億円 8億円 4.0%

(1)コンシューマ関連機器の需要総額:1兆8,807億円(2018年度比7.1%減)

  • モバイル通信端末は、買い替えサイクルの長期化が進んでおり、改正電気通信事業法や消費税増税の影響などもあって需要が減少しています。
  • コードレスホン・パーソナルファクシミリは、迷惑電話や振り込め詐欺の対策機能強化などによって高齢者層の一定規模の需要を維持していますが、下降傾向は続くと見込んでいます。

(2)ビジネス関連機器の需要総額:4,452億円(2018年度比9.0%減)

  • ボタン電話装置・PBX・事業所用コードレスホンは買い替えが中心で減少傾向ですが、インバウンド関連、高齢者施設関連の建設需要による増加要因もあって国内は微減となっています。
  • ビジネスファクシミリ(複合機を含む)は、海外でのシェアが高いですが、海外景気の低迷が続くことから、輸出に大きく影響しています。

(3)インフラ関連機器の需要総額:5,837億円(2018年度比26.0%増)

  • 5Gの商用サービスに向けた基地局通信装置が増加し、さらに5Gスモールセルのバックホールとしてのデジタル伝送装置や固定通信装置も増加すると見込んでいます。
  • 近年増加している災害への対策やBCP対策として固定無線装置の需要が見込まれています。

(4)インターネット関連機器の需要総額:2,885億円(2018年度比1.6%増)

  • ルーター、LANスイッチ、光アクセス機器は、5G/IoT等を活用したサービスやクラウドサービスに向けて既存装置のリプレイスが好調なことから微増と見込んでいます。

(5)その他(※1~※4)と通信機器用部品の需要総額:1,858億円(2018年度比1.9%減)

IV.中期展望

2024年度の国内の通信機器の需要総額は3兆7,934億円(2018年度比9.9%増)、国内金額3兆4,628億円(同12.0%増)、輸出金額3,306億円(同8.0%減)と予測しました。

2018年度と比較し伸びが予測される主な機器を記載(増加額が大きい順)
【2024年度予測】 【対2018年度増加額】 【増加率】
モバイル通信端末(公衆回線付) 21,782億円 1,991億円 10.1%
基地局通信装置 3,298億円 1,302億円 65.3%
固定通信装置 1,797億円 474億円 35.9%
デジタル伝送装置 1,729億円 440億円 34.1%
LANスイッチ 1,880億円 157億円 9.1%
光アクセス機器 215億円 18億円 8.9%

(1)コンシューマ関連機器の需要総額:2兆2,128億円(2018年度比9.3%増)

  • 世界の携帯電話(スマートフォンを含む)市場は、5G商用サービスが開始されたことから需要が拡大し、2023年の売上は4,380億米ドル(CAGR 4.7%増)になると見込んでいます。ただし、通信方式別スマートフォンの販売台数(図表②)でも5Gの普及によって4Gの割合が低下し、5Gの成熟化なども加わって2022年からは需要が減少すると予測します。
  • 国内のモバイル通信端末は、5G商用サービスの普及に向けてキャリアの施策展開や新たなコンテンツの導入が見込まれることから、需要は緩やかに増加すると予測しています。
  • コードレスホン、パーソナルファクシミリは、市場のニーズを取り入れた新たな技術開発によって需要層を維持する一方で、使用機会の減少に伴って電話設置を取りやめる消費者も現れていることから、需要は減少傾向が継続すると予測します。
  • 災害対策などによって増加した業務用無線や、セキュリティ対策などによって増加したインターホンがその他※1に含まれています。
図表② 携帯電話の世界の通信方式別販売台数 図表③ モバイル通信端末の国内金額
図表④ コードレスホン・パーソナルファクシミリ等の国内金額 図表⑤ ファクシミリの輸出金額

(2)ビジネス関連機器の需要総額:4,278億円(2018年度比12.6%減)

  • ボタン電話装置・PBX・事業所用コードレスホンは、大容量化やソフト化の影響、代替サービスへの流出(クラウドやFMCサービス)から、需要は減少傾向が継続すると見込まれます。
  • ビジネスファクシミリ(複合機を含む)は、買い替え需要が安定しているものの、国内ではオフィススペース削減による設置台数の見直し、輸出では通商問題のリスクや海外メーカーとの価格競争の激しさによって需要は微減になると予測しています。

(3)インフラ関連機器の需要総額: 6,839億円(2018年度比47.7%増)

  • 5Gの商用サービスによって、基地局通信装置やバックホールで利用される地上系固定通信装置の需要が大幅に増加する一方で、ネットワーク全体のトラフィック増加に対して増強されてきた有線ネットワーク系のデジタル伝送装置の需要は一巡すると予測しています。
  • 衛星系固定通信装置は、衛星打ち上げ計画から、一定の官公庁需要が見込まれます。
  • 局用交換機は、設備投資は終了して保守/部品交換の規模となっているが、2020年度以降はメタル収容装置からIPへの変換装置への投資が徐々に行われると予測しています。
図表⑥ インフラ機器の国内金額 図表⑦ 衛星系固定通信装置の金額

(4)インターネット関連機器の需要総額: 2,991億円(2018年度比5.4%増)

  • 世界の通信キャリア向けルーターは5Gの普及やトラフィック増加対策から高速ルーターへの移行が期待されて増加傾向に、LANスイッチは仮想化の導入で減少傾向になる見込みです。
  • 世界の企業向けルーターは新興国向けの需要拡大に対してコモディティ化からの価格下落によって横ばいに、LANスイッチはPoE用途の増加やクラウドサービスの拡大によってデータセンター向け高速インターフェース製品の需要が拡大する見込みです。
  • 国内の通信キャリアや企業向けルーターは、更新需要が主となって大きな投資が望めなく、高速大容量化・品質コントロールやセキュリティなどの高機能化が進んで更新需要を高めますが、単価は下落傾向となることから、需要金額は微減になると予測しています。
  • 国内の通信キャリアや企業向けLANスイッチは、IoT/M2Mの進展によってネットワークに接続される端末が増大し、データトラフィックが増加することから、通信キャリア向け設備やデータセンター向け設備が拡大します。さらに5Gの商用サービスに合わせて増設やリプレイスが見込まれることから、需要金額は増加すると予測しています。
図表⑧  ルーター/LANスイッチの国内金額 図表⑨  光アクセス機器の国内金額
  • 光アクセス機器市場は、固定回線の高速化需要(10Gbps光サービス等)やモバイルデータのオフロード需要、CATV型光放送サービスの普及等が見込まれます。ただし、ポート単価の下落、仮想化技術の活用による専用機(ルーター、LANスイッチ)の需要がある程度抑制されると想定されるため、金額の伸びは穏やかになると予測しています。

(5)その他(※1~※4)と部品の需要総額:1,698億円(2018年度比10.4%減)

【予測手法】
  • 国内市場の予測は、CIAJの自主統計実績をベースにし、同統計で捉えられない部分は、(株)情報通信総合研究所の協力を頂き、CIAJ会員へのヒアリング等を実施して推定しています。
  • グローバル市場予測では、調査会社IHS Markitのデータと動向解説を引用し、㈱情報通信総合研究所に協力を頂き、動向分析を行っています。
【予測対象機種】
【購入申し込み】
CIAJのホームページ https://www.ciaj.or.jp/ の下部にある「通信機器中期需要予測[2019-2024]」バナーをクリック。
申込みはこちらをクリック販売価格: 会員外: 19,000円+消費税   [CIAJ会員:6,000円+消費税]

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