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2018年度第3四半期(10~12月) 通信機械生産・輸出入概況 ~5G/IoTなど成長分野に向けた通信ネットワーク設備の需要が増加傾向に~

2019年3月6日

一般社団法人 情報通信ネットワーク産業協会(CIAJ)では、2018年度第3四半期(10-12月)の通信機械生産・輸出入の概況をまとめました。

日本経済は、内閣府が2月21日に発表した月例経済報告では、自然災害の影響で個人消費や設備投資が落ち込んだ反動もあって、個人消費が持ち直し、企業の研究開発投資などを含む設備投資もプラスに転じて緩やかに回復しているとされていますが、中国経済減速などを背景にして、生産や企業収益は景気判断が引き下げられており、外需も主にスマートフォン関連の半導体などの電子部品や生産用機械の海外需要の伸び悩みによって減速傾向となっています。

この中で通信機器市場は、国内では第5世代移動通信システム(5G)技術やIoTサービスという新たな成長分野に向けて通信ネットワーク設備への投資が開始されようとしていますが、輸出ではスマートフォン生産用部品が中国経済減速によって低迷しています。国内市場規模額では、端末機器の需要減があるものの、2016年度第3四半期を上回りました。

I.国内生産動向(生産動態統計と貿易統計からCIAJにて纏め【新規掲載】)

(1)2018年度第3四半期の実績

生産動態統計と貿易統計から「国内市場規模=国内生産金額-輸出金額+輸入金額」として、国内市場規模を算出しました(海外メーカーの輸入額も含みます)。10月~12月の国内市場金額は9,646億円となり、前年同期比では8.9%減と減少しています。

(2)機種別動向(参照:図表1-1)

機種別の10月~12月の実績は以下の通りです。

①端末機器:7,460億円(前年同期比13.8%増)
②ネットワーク関連機器: 2,186億円(前年同期比13.2%増)

図表1-1:国内市場(機種別、四半期別)

II.国内生産動向(経済産業省「生産動態統計調査」からCIAJにて纏め)

(1)2018年度上第3四半期の実績

10月~12月の国内生産額は1,080億円となり、前年同期比では9.0%減となりました。パーソナル向けの電話機や、ビジネス向けのボタン電話やPBXの生産が増加しており、有線のデジタル伝送装置やネットワーク接続機器の生産も増加したため、国内生産額の減少幅が小さくなりました。

(2)機種別動向(参照:図表2-1)

機種別の10月~12月の実績は以下の通りです。

①有線端末機器
136億円(前年同期比7.7%増)。うち電話機8億円(同23.9%増)、ボタン電話装置39億円(同9.2%増)、インターホン85億円(同4.9%増)、ファクシミリ4億円(同30.0%増)となり、すべての機種が同比で増加しました。

②移動体端末機器
292億円(前年同期比22.0%減)。うち携帯電話160億円(同31.2%減)、公衆用PHS端末2億円(同28.6%減)となりました。携帯電話は、端末価格と通信料金の完全分離プラン導入を見込んで買い替え需要が低迷し始めており、同比で減少しました 。

③有線ネットワーク関連機器
298億円(前年同期比0.3%増)。うち局用交換機17億円(同28.5%減)、構内用交換機20億円(同8.0%増)、デジタル伝送装置98億円(同7.1%増)、その他の搬送装置145億円(同1.9%減)となりました。構内用交換機は国内外の需要が増加しています。デジタル伝送装置は、データトラフィック増加に対応したバックボーンなどの通信ネットワーク設備増強のために需要増となり、同比で増加しました。

④無線ネットワーク関連機器
183億円(前年同期比20.2%減)。うち固定通信装置86億円(同0.8%減)、基地局通信装置96億円(同32.1%減)。民間向けのマイクロ波通信装置や、官庁向けの防災/MCA無線の基地局は増加していますが、携帯電話基地局が低迷しているため、無線ネットワーク関連機器全体では同比で減少しました。

⑤ネットワーク接続機器
97億円(前年同期比12.8%増)。データセンター向けのLANスイッチの需要が伸びて、同比で増加しました。

⑥有線部品(有線機器用リレー、中継器用など)
75億円(前年同期比0.1%増)。中国経済減速により海外向けのスマートフォン生産用部品の生産が減少しました。

図表2-1:生産総額(機種別、四半期別)

III.輸出動向(財務省「貿易統計」からCIAJにて纏め)

(1)2018年度第3四半期の実績

10月~12月の輸出総額は1,066億円、前年同期比では46.9%減と大幅に減少しました。中国経済減速の影響で、中国などで生産されるスマートフォンが減少しており、その生産部品の輸出減少幅が大きくなっています。

データ通信機器も中国経済減速の影響を受け、同比で減少しています。電話機及び端末機器は、2017年度第2四半期から米国向け携帯電話が増加し、継続的に需要を増加しています。

(2)機種別動向(参照:図表3-1)

機種別の10月~12月実績は以下の通りです。(ファクシミリは2018年1月から廃止)

①電話機及び端末機器93億円(前年同期比44.0%増)
内訳は、携帯電話87億円(同52.1%増)、コードレスホン0.6億円(同38.5%減)、その他5億円(同16.3%減)

②ネットワーク関連機器338億円(同9.2%減)
内訳は、基地局12億円(同42.3%減)、データ通信機器317億円(同6.6%減)、その他ネットワーク関連機器9億円(同23.8%減)

③部品(有線系・無線系の合計)635億円(同59.6%減)

図表3-1:輸出動向(機種別、四半期別)

(3)地域別実績(参照:図表3-2)

地域別の10月~12月実績では、アジア向けが690億円(前年同期比58.2%減)、うち中国向けは343億円(同60.0%減)。北米向けが239億円(同20.4%増)、うち米国は236億円(同20.0%増)。欧州98億円(同16.3%減)、うちEU85億円(同16.2%減)。

中国向け輸出は同比60%減で、第2四半期から継続して大幅な減少になっています。米国向け携帯電話は80億円(同62.7%増)で、2017年度第2四半期から継続して増加しています。

(4)地域別構成比

1位 アジア 64.7% (前年構成比 -4.7%)
2位 北米 22.5% (同 +4.2%)
3位 欧州 9.2% (同 +0.4%)
その他地域 3.6% (同 +0.1%)
図表3-3:輸出動向(地域別、四半期別)

IV.輸入動向(財務省「貿易統計」からCIAJにて纏め)

(1)2018年度第3四半期の実績

10月~12月の輸入総額は9,680億円、前年同期比では9.8%減となりました。携帯電話は、端末価格と通信料金の完全分離プラン導入を見込んで買い替え需要が低迷し始めており、海外で生産された日系メーカーと海外メーカーのスマートフォンの輸入が同比で減少しました。ネットワーク関連機器では、通信ネットワーク設備の投資が開始されつつあり、同比で増加しています。

(2)機種別動向(参照:図表4-1)

機種別の10月~12月実績は以下の通りです。(ファクシミリは2018年1月から廃止)

①電話機及び端末機器7,126億円(前年同期比13.1%減)
内訳は、携帯電話7,095億円(同13.2%減)、コードレスホン13億円(同31.5%減)、その他67億円(同27.3%増)。

②ネットワーク関連機器1,736億円(同12.1%増)
内訳は、基地局143億円(同60.5%増)、データ通信機器1,736億円(同12.1%増)、その他ネットワーク関連機器67億円(同27.3%増)。

③部品(有線機器と無線機器用部品の合計)608億円(同27.7%減)

図表4-1:輸入動向(機種別、四半期別)

(3)地域別実績(参照:図表4-2)

地域別の10月~12月実績では、アジアからが9,234億円(同10.9%減)、うち中国は7,634億円(同10.8%減)。北米からは190億円(同5.3%減)、うち米国176億円(同10.0%減)。欧州からは133億円(同42.2%増)、うちEU129億円(同40.6%増)。

中国から輸入される携帯電話(日系メーカーと海外メーカーを含む)は、第3四半期では同比11.9%減となりましたが、12月だけでは50.6%減と大幅に減少しています。

(4)地域別構成比

1位 アジア 95.4% (前年構成比 +1.8%)
2位 北米 2.0% (同 -0.8%)
3位 欧州 1.4% (同 -0.9%)
その他地域 1.2% (同 -0.1%)
図表4-2:輸入動向(地域別、四半期別)

V.受注・出荷動向(CIAJ自主統計「受注・出荷統計」より)

(1)2018年度第3四半期の実績

10月~12月のCIAJ自主統計受注・出荷総額は3,869億円で、前年同期比16.8%減となりました。このうち、国内出荷は3,002億円の同比15.7%減、輸出が867億円の同比20.6%減となりました。
※自主統計「受注・出荷」=CIAJ会員の国内メーカーの受注・出荷額
(=国内出荷額(国内生産+海外生産)+輸出額  =国内生産額+海外生産した輸入額)

(2)機種別動向

機種別の10月~12月実績は以下の通りです。

①有線端末機器  1,342億円(前年同期比10.5%減)
電話機やその他の国内需要は増加していますが、パーソナルファクシミリ(複合機を含む)やビジネスファクシミリ(複合機を含む)は海外景気低迷の影響で輸出が減少しています。

②移動体端末機器  1,425億円(同比21.0%減)
携帯電話は、買い替え需要が低迷し始めたことから減少しています。その他の移動端末機器では、MCA/簡易無線端末が好調です。

③有線ネットワーク関連機器  460億円(同比3.4%増)
ボタン電話装置やデジタル伝送装置が好調なことから、同比で増加しました。

④無線ネットワーク関連機器  459億円(同比38.0%減)
マイクロ波通信装置や、防災/MCA無線の基地局は増加していますが、携帯電話基地局が低迷しているために、無線ネットワーク関連機器全体では同比で大きく減少しました。

⑤その他ネットワーク関連機器  96億円(同比0.5%増)
データセンター向けなどでLANスイッチが好調を継続しているため、同比で増加しました。

⑥通信機器用部品  86億円(同17.9%減)

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