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2018年度第1四半期(4~6月) 通信機械生産・輸出入概況 ~海外景気回復により、有線ネットワーク関連機器とスマホ新モデル生産部品の輸出は好調~

2018年9月19日

一般社団法人 情報通信ネットワーク産業協会(CIAJ)では、2018年度第1四半期(4-6月)の通信機械生産・輸出入の概況をまとめました。
第1四半期の日本経済は、内閣府が8月10日に発表した2018年4-6月期の実質GDP成長率(1次速報値)は年率1.9%増と、2四半期ぶりのプラス成長となりました。1-3月期と比べて個人消費が持ち直し、設備投資も堅調なことが要因ですが、今後も、改善傾向の企業業績や緩やかな拡大が続く世界経済を背景に設備投資や輸出の好調さが継続し、米中貿易摩擦のリスクはあるものの、緩やかな回復傾向が続くとされています。
この中で通信機器市場は、国内では通信技術の変革期のために、端末の買い替えや携帯インフラ関連機器の設備投資が低調となり、一方、輸出では海外景気回復などからボタン電話/PBXやデジタル伝送装置が好調です。海外生産への移行が継続しているために国内生産額では前年同期比で減少を継続していますが、国内市場規模額としては2016年度第1四半期を上回りました。

I.国内生産動向(生産動態統計と貿易統計からCIAJにて纏め【新規掲載】)

(1)2018年度第1四半期の実績

生産動態統計と貿易統計から「国内市場規模=国内生産金額-輸出金額+輸入金額」として、国内市場規模を算出しました(海外メーカーの輸入額も含みます)。4月~6月の国内市場金額は5,354億円となり、前年同期比では9.2%減となりましたが、2016年度第1四半期対比では1.7%増となり、持ち直しの傾向にあります。

(2)機種別動向(参照:図表1-1)

機種別の4月~6月の実績は以下の通りです。

①端末機器
3,688億円(前年同期比6.5%減)

②ネットワーク関連機器
1,666億円(前年同期比14.8%減)

図表1-1:国内市場(機種別、四半期別)

(参考)年度推移(参照:図表1-2)
国内市場規模の2013年度~2017年度実績は以下の通りです。2017年度は、4年振りに前年度比がプラスに転じました。

図表1-2:国内市場(機種別、年度別)

II.国内生産動向(経済産業省「生産動態統計調査」からCIAJにて纏め)

(1)2018年度第1四半期の実績

4月~6月の国内生産金額は937億円となり、前年同期比では22.6%減となりました。海外景気回復などからボタン電話/PBXやデジタル伝送装置の輸出が好調で、海外で生産されるスマートフォン新モデル向け部品の輸出も好調なため、輸出向けの生産は増えましたが、国内向けの機器、特に携帯電話や携帯インフラ関連機器は、通信技術の変革期にあるため低迷が続いており、国内生産全体では同比で減少しました。

(2)機種別動向(参照:図表2-1)

機種別の4月~6月の実績は以下の通りです。

①有線端末機器
114億円(前年同期比5.8%減)。うち電話機7億円(同6.6%減)、ボタン電話装置35億円(同1.3%減)、インターホン69億円(同8.5%減)、ファクシミリ3億円(同12.1%増)となりました。ボタン電話は、輸出向けの需要が増加したために、国内生産はほぼ前年同期並みとなりました。

②移動体端末機器
300億円(前年同期比31.6%減)。うち携帯電話214億円(同39.4%減)、公衆用PHS端末2億円(同41.9%減)となりました。携帯電話は、2年縛りサイクルの谷間の年に相当するとともに、海外メーカーの攻勢の影響により減少しました。

③有線ネットワーク関連機器
254億円(前年同期比10.7%減)。うち局用交換機19億円(同14.2%減)、構内用交換機12億円(同5.4%増)、デジタル伝送装置82億円(同16.2%減)、その他の搬送装置129億円(同8.6%減)となりました。構内用交換機は輸出向けの需要が増加しており、国内でもオフィスやホテル建設投資向けの新規需要が見込まれますが、単価低下もあって需要全体は漸減傾向にあります。デジタル伝送装置も輸出向けの需要が増加していますが、国内生産は減少しました。

④無線ネットワーク関連機器
139億円(前年同期比35.6%減)。うち固定通信装置52億円(同6.5%減)、基地局通信装置87億円(同45.8%減)。地上系や衛星系の固定通信装置と、官庁向け以外の基地局通信装置が、国内生産で大幅減少しました。

⑤ネットワーク接続機器
54億円(前年同期比31.9%減)。通信ネットワークのトラフィック増により需要は増加していますが、海外メーカーとの競争も激しく、国内生産は減少しました。

⑥有線部品(有線機器用リレー、中継器用など)
76億円(前年同期比6.6%増)。海外で生産される米国系企業等のスマートフォン新モデルの生産増によって増加しました。

図表2-1:生産総額(機種別、四半期別)

III.輸入動向(財務省「貿易統計」からCIAJにて纏め)

(1)2018年度第1四半期の実績

4月~6月の輸出総額は962億円となり、第1四半期からアジアでのスマートフォン新モデルの生産が始まって、その生産部品を中心とした輸出が伸びましたが、データ通信機器が減少したために、ほぼ前年同期並みの1.5%減となりました。
データ通信機器は、構内用交換機やデジタル伝送装置などの有線ネットワーク関連機器が需要増となっていますが、無線ネットワーク関連機器が通信技術の変革期によって低迷したために同比で減少しました。これにより、データ通信機器は、ほぼ全地域向けの輸出が減少したため、22四半期ぶりに300億円を割りました。
電話機及び端末機器では、2017年度第2四半期から米国向け携帯電話が増加しています。基地局は米国やEU向けに増加しましたが、アジア向けで大幅に減少したために、基地局全体では減少しました。

(2)機種別動向(参照:図表3-1)

機種別の4月~6月実績は以下の通りです。(ファクシミリは2018年1月から廃止)

①電話機及び端末機器46億円(前年同期比202.9%増)
内訳は、携帯電話38億円(同404.7%増)、コードレスホン1.3億円(同39.9%増)、その他7億円(同5.1%増)。

②ネットワーク関連機器306億円(同15.3%減)
内訳は、基地局13億円(同35.8%減)、データ通信機器284億円(同12.8%減)、その他ネットワーク関連機器8億円(同43.3%減)。

③部品(有線系・無線系の合計)610億円(同1.6%増)

(3)地域別実績(参照:図表3-2)

地域別の4月~6月実績では、アジア向けが659億円(前年同期比4.4%減)、うち中国向けは304億円(同5.4%減)。北米向けが172億円(同12.5%増)、うち米国は169億円(同12.8%増)。欧州96億円(同2.4%減)、うちEU 85億円(同3.6%減)。
中国向け部品が部品輸出全体に占める割合はさらに減少して43.0%となりました。中国国内では2017年にスマートフォン普及率が100%を超え、買い替え需要も低迷したために生産が減少した反面、中国以外のアジアでのスマートフォン生産は進んでいます。米国向け携帯電話は34億円(同5,529%増)で2017年度第2四半期から4四半期連続で増加しました。

(4)地域別構成比

1位 アジア 68.6% (前年構成比 -7.9%)
2位 北米 17.9% (同 +4.9%)
3位 欧州 10.0% (同 +2.5%)
その他地域 3.6% (同 +0.6%)
図表3-1:輸出動向(機種別、四半期別)
図表3-2:輸出動向(地域別、四半期別)

IV.輸入動向(財務省「貿易統計」からCIAJにて纏め)

(1)2018年度第1四半期の実績

4月~6月の輸入総額は5,424億円、前年同期比では8.1%減となりました。携帯電話は、2年縛りサイクルの影響もあって国内需要が低調となり、前年同期比で減少しました。ネットワーク関連機器も、通信技術の変革期にあるために前年同期比で減少しました。

(2)機種別動向(参照:図表4-1)

機種別の4月~6月実績は以下の通りです。(ファクシミリは2018年1月から廃止)

①電話機及び端末機器3,320億円(前年同期比1.9%減)
内訳は、携帯電話3,290億円(同1.9%減)、コードレスホン16億円(同14.0%増)、その他14億円(同15.7%減)。

②ネットワーク関連機器1,526億円(同12.2%減)
内訳は、基地局77億円(同12.8%減)、データ通信機器1,395億円(同12.7%減)、その他ネットワーク関連機器54億円(同5.8%増)。

③部品(有線機器と無線機器用部品の合計)579億円(同26.1%減)

(3)地域別実績(参照:図表4-2)

地域別の4月~6月実績では、アジアからが5,052億円(同9.0%減)、うち中国は3,739億円(同9.8%減)。北米からは159億円(同12.0%減)、うち米国150億円(同15.3%減)。欧州からは143億円(同67.9%増)、うちEU 140億円(同71.7%増)。
欧州からは、携帯電話(同1,290%増)、基地局(同336%増)、データ通信機器(同23%増)、部品(同281%増)とほとんどの機種で大幅に増加しました。

(4)地域別構成比

1位 アジア 93.1% (前年構成比 -0.3%)
2位 北米 3.1% (同 -0.2%)
3位 欧州 2.0% (同 +0.6%)
その他地域 1.4% (同 -0.1%)
図表4-1:輸入動向(機種別、四半期別)
図表4-2:輸入動向(地域別、四半期別)

V.受注・出荷動向(CIAJ自主統計「受注・出荷統計」より)

(1)2018年度第1四半期の実績

4月~6月のCIAJ自主統計受注・出荷総額は3,560億円で、前年同期比14.2%減となりました。このうち、国内出荷は2,709億円の同比16.5%減、輸出が850億円の同比5.7%減となりました。
※自主統計「受注・出荷」=CIAJ会員の国内メーカーの受注・出荷額( =国内出荷額(国内生産+海外生産)+輸出額  =国内生産額+海外生産した輸入額)

(2)機種別動向

機種別の4月~6月実績は以下の通りです。

①有線端末機器  1,325億円(前年同期比2.6%減)
コードレスホン/その他の電話機、事業所用コードレスホン、インターホンが堅調ですが、パーソナルファクシミリ(複合機を含む)の国内/輸出とビジネスファクシミリ(複合機を含む)の輸出が低調なために、同比で減少しました。

②移動体端末機器  1,286億円(同比20.4%減)
携帯電話は、2年縛りサイクルの影響もあり、夏モデルの出荷を控えて国内需要が低調になり、同比で減少しました。

③有線ネットワーク関連機器  401億円(同比17.7%減)
その他の伝送装置は好調なものの、それ以外の機器が低調なために、有線ネットワーク全体では同比で減少しました。

④無線ネットワーク関連機器  362億円(同比26.6%減)
官公庁向けの基地局が増加しましたが、無線ネットワーク全体では通信技術の変革期にあるために国内・輸出ともに、同比で減少しました。

⑤その他ネットワーク関連機器  90億円(同比12.2%増)
LANスイッチやその他が好調を継続しているため、同比で増加しました。

⑥通信機器用部品  96億円(同15.5%減)

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