一般社団法人 情報通信ネットワーク産業協会(CIAJ)では、2025年上期(4-9月)の通信機械生産・輸出入の概況をまとめました。
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I.日本経済の概況
2025年度4月~9月の日本経済は、7月~9月の実質GDP成長率(2次速報値:12月8日)は前期比0.6%減、年率換算で2.3%減と1年半ぶりのマイナス成長となりました。需要項目別にみると、民間住宅への投資が大幅に減少したことが大きく影響しました。個人消費は猛暑の影響によるアルコール類を含む飲料全体や外食などの飲食サービスが好調で、プラスが継続しました。設備投資も、人手不足を背景とした省力化投資が後押しし、ソフトウェア投資の好調により、プラスを維持しました。一方、輸出は減少しました。米国による関税政策の影響があり、自動車の輸出減が影響しました。輸入も原油・天然ガス等が減少しました。
II.通信機器市場の全体概況
2025年度4月~9月の通信機器市場は、端末機器、ネットワーク関連機器ともに前年同期比4~5%増で推移し、国内市場規模は4期連続増加しました。端末機器は、各キャリアが提供する買い替えプログラムを利用するユーザーが増えていることや、AI機能の搭載による利便性の向上などが牽引する形で、需要を後押ししています。また、3Gサービスの2025年度末終了に伴い、3Gからの移行需要も一定程度含まれています。
ネットワーク関連機器は、基地局通信装置では、各キャリアの設備投資が回復傾向にあり、5Gネットワークの通信品質向上、5G SA(Stand Alone)のエリア拡大などへの投資に注力しています。ネットワーク接続機器(ルーター、LANスイッチ)も、データセンター需要の急増と、生成AIやクラウドサービス需要の拡大が市場を牽引し、堅調に推移しています。
今期の米国向け輸出は前年同期比7.5%減となりました。ネットワーク関連機器(基地局、データ通信機器ほか)においては米国相互関税の影響による大幅な減少には至っておりませんが、先行き不透明な部分があり、今後も注視していく必要があります。
(1)国内市場動向
2025年度上期の国内市場規模は1兆8,547億円、前年同期比では5.1%増となりました。海外メーカー製スマートフォンの輸入拡大基調は変わらず、国内生産はネットワーク関連機器が増産され、国内市場規模は増加しました。
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(2)国内生産動向
2025年度上期の国内生産金額は1,623億円、前年同期比では4.4%増となりました。搬送装置(デジタル伝送装置含む)、固定通信装置、基地局通信装置、ネットワーク接続機器の各機種が堅調に推移し、国内生産は増加しました。固定通信装置は地方自治体による防災対策・災害復旧のためのインフラ整備などの影響で、また、ネットワーク接続機器はクラウドサービス及びWeb会議の利用の定着や生成AIを活用したサービスの拡大を背景に、大容量かつ高速伝送のニーズへの対応のための通信ネットワークの増強、およびデータセンターの新設・拡張等の影響で増加しました。
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(3)輸出動向
2025年度上期の輸出総額は1,240億円、前年同期比では20.3%減となりました。アジア向け部品の輸出が36.2%減、うち中国向けは55.1%減と、中国国内のスマートフォン市場の需要低迷や、長期化する米中対立を受けて中国は半導体や電子部品の国産化を加速させており、中国における生産の変化が日本のサプライチェーンに影響を及ぼしていると考えられます。
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(4)輸入動向
2025年度上期の輸入総額は1兆8,546億円、前年同期比では4.5%増となりました。海外製スマートフォンの旺盛な需要継続に加えて、国内のネットワーク拡張とデータセンター建設向けインフラ整備にも海外ベンダーが台頭し、輸入総額は増加しました。
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