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2019年度第1四半期(4~6月) 通信機械生産・輸出入概況 ~有線系は好調であるが、無線方式が変わる端境期のために携帯電話や基地局が減少し、生産全体は低迷~

2019年9月25日

一般社団法人 情報通信ネットワーク産業協会(CIAJ)では、2019年度第1四半期(4-6月)の通信機械生産・輸出入の概況をまとめました。

I.概況

2019年4-6月の日本経済は、実質GDPが1.8%(速報値、年率換算)で3四半期連続でプラス成長となっています。個人消費や企業の設備投資が継続して堅調なために、内需はプラス成長が続いていますが、中国や欧州など海外経済の減速に加え、通商問題の影響で海外での需要が減速しているために、輸出が2四半期連続で減少しています。

この中で通信機器市場は、無線通信システム方式が変わる端境期であることから、無線系の端末機器やネットワーク関連機器の需要が減少していますが、4K/8K映像の伝送や5G伝送容量の増大に向けてデータトラフィックの急増が期待されていることから、まずはバックボーンとなる有線系のネットワーク関連機器の需要が高まりつつあります。

(1)国内市場動向

4月~6月の国内市場金額(=国内生産金額-輸出金額+輸入金額)は5,533億円となり、前年同期比では3.5%増と3四半期ぶりに増加しました。国内生産金額が改善し、輸入金額が増加したためです。

(2)国内生産動向

4月~6月の国内生産金額は901億円となり、前年同期比では2.7%減となり、四半期では2017年度第2四半期から8期連続で減少しました。有線端末機器や有線ネットワーク関連機器が増加していますが、無線関連の移動体端末機器や基地局通信装置が、無線システム方式が変わる端境期のために大きく減少していることから前年同期比で減少しました。

(3)輸出動向

4月~6月の輸出総額は775億円で、前年同期比19.4%減と大幅減が継続しています。中国などアジアでの新興国経済の低迷を背景にスマートフォン生産が減少し、その生産部品の輸出が大きく減少しています。また通商問題などから海外の設備需要も減速しており、輸出総額では、四半期で6期連続で減少しました。

(4)輸入動向

4月~6月の輸入総額は5,539億円となり、前年同期比2.1%増と2か月振りにプラスに転じました。携帯電話が料金プラン変更を見据えた買い控えから上向きになりつつあることと、有線ネットワーク関連の国内需要が好調なため、データ通信機器のうち「その他のデータ通信機器(伝送装置、通信装置、変復調装置等)」が増えたことから、輸入総額は増加しました。

II.国内市場動向(生産動態統計と貿易統計からCIAJにて纏め)

(1)機種別の詳細動向(参照:図表1-1)

機種別の4月~6月の実績は以下の通りです。
生産動態統計と貿易統計から「国内市場規模=国内生産金額-輸出金額+輸入金額」として、国内市場規模を算出しています(海外メーカーの輸入額も含みます)。

①端末機器:3,635億円(前年同期比  0.6%減)
②ネットワーク関連機器: 1,880億円(前年同期比 12.8%増)

図表1-1:国内市場(機種別、年度別)

III.国内生産動向(経済産業省「生産動態統計調査」からCIAJにて纏め)

(1)機種別の詳細動向(参照:図表2-1)

機種別の4月~6月の実績は以下の通りです。

①有線端末機器
122億円(前年同期比6.5%増)。うち電話機8億円(同13.2%増)、ボタン電話装置36億円(同2.7%増)、インターホン78億円(同13.0%増)となりました。パーソナル・家庭向けではセキュリティに対応した機種が増加傾向にあります。ボタン電話は、BCP対策、高機能化や、増税前の駆け込み需要などの増加要因がありますが、固定電話としての価値低下によるマイナス傾向が継続しているために、国内生産は横ばい傾向が続いています。

②移動体端末機器
224億円(前年同期比22.3%減)。うち携帯電話(公衆用PHSを含む)158億円(同22.9%減)となりました。携帯電話は、端末価格の上昇による買い替えサイクルの長期化が進み、さらに海外生産への移行も継続しており、四半期では2017年度第2四半期から8期連続で減少しました 。

③有線ネットワーク関連機器
281億円(前年同期比10.9%増)。うち局用交換機16億円(同15.4%減)、構内用交換機20億円(同59.9%増)、デジタル伝送装置87億円(同6.4%増)、その他の搬送装置145億円(同12.6%増)となりました。構内用交換機は、国内では企業の設備投資が好調なため、リプレイス需要が堅調ですが、海外の景気低迷で輸出は減少しました。デジタル伝送装置は、データトラフィック増大を見込んだバックボーンなどの有線系ネットワーク設備への需要増のため、国内生産の増加が継続しています。

④無線ネットワーク関連機器
122億円(前年同期比12.6%減)。うち固定通信装置59億円(同12.3%増)、基地局通信装置63億円(同27.6%減)。官庁向けの防災/MCA無線基地局や、民間向けマイクロ波通信装置、官庁向け衛星系通信装置の国内生産は増加していますが、携帯電話向けの基地局通信装置が低迷しているため、無線ネットワーク関連機器全体では同比で減少しました。

⑤ネットワーク接続機器
83億円(前年同期比55.6%増)。クラウド、IoTや5Gに向けた既存装置のリプレイスや、セキュリティ強化のIT投資により需要が伸び、ネットワーク接続機器全体の国内生産は同比で増加しました。

⑥有線部品(有線機器用リレー、中継器用など)
69億円(前年同期比9.7%減)。海外でのスマートフォン生産部品の需要が減少しているために、部品生産の減少も継続しています。

図表2-1:生産総額(機種別、四半期別)

IV.輸出動向(財務省「貿易統計」からCIAJにて纏め)

(1)機種別の詳細動向(参照:図表3-1)

機種別の4月~6月実績は以下の通りです。(ファクシミリは2018年1月から廃止)

①電話機及び端末機器65億円(前年同期比40.6%増)
内訳は、携帯電話59億円(同56.0%増)、コードレスホン0.6億円(同56.1%減)、その他6億円(同22.5%減)となりました。携帯電話は米国向けが2017年度第2四半期から8期連続で大きく増加しています。

②ネットワーク関連機器297億円(同3.0%減)
内訳は、基地局7億円(同44.8%減)、データ通信機器278億円(同2.3%減)、その他ネットワーク関連機器12億円(同42.4%増)となりました。データ通信機器は、海外景気低迷による需要減により輸出が低迷しています。

③部品(有線系・無線系の合計)414億円(同32.2%減)
中国などアジアで生産されるスマートフォンが減少しており、その生産部品の輸出減が大きく影響しています。

図表3-1:輸出動向(機種別、四半期別)

(2)地域別の詳細動向(参照:図表3-2)

地域別の4月~6月実績は、アジア向けが451億円(前年同期比31.5%減)、うち中国向けは144億円(同52.6%減)。北米向けが191億円(同10.9%増)、うち米国は189億円(同11.5%増)。欧州向けは104億円(同8.0%増)、うちEUは91億円(同7.3%増)となりました。

中国向け部品が部品輸出全体に占める割合は28.1%とさらに減少していることから、スマートフォンなどの生産地域が、中国から他のアジア地域に移管されています。

(3)地域別構成比

1位 アジア 58.2% (前年構成比 -10.4%)
2位 北米 26.6% (同 +8.7%)
3位 欧州 13.3% (同 +3.3%)
その他地域 1.9% (同 -1.7%)
図表3-2:輸出動向(地域別、四半期別)

V.輸入動向(財務省「貿易統計」からCIAJにて纏め)

(1)機種別の詳細動向(参照:図表4-1)

機種別の4月~6月実績は以下の通りです。(ファクシミリは2018年1月から廃止)

①電話機及び端末機器3,372億円(前年同期比1.6%増)
内訳は、携帯電話3,345億円(同1.7%増)、コードレスホン12億円(同24.5%減)、その他15億円(同4.9%増)となりました。携帯電話は料金プラン変更を見据えた買い控えが続いていましたが、消費税増税前の駆け込みもあって上向きになりつつあります。

②ネットワーク関連機器1,691億円(同10.7%増)
内訳は、基地局88億円(同14.8%増)、データ通信機器1,556億円(同11.5%増)、その他ネットワーク関連機器47億円(同13.9%減)となりました。バックボーンなどの通信ネットワーク設備の国内需要が増えたため、データ通信機器のうち「その他のデータ通信機器(伝送装置、通信装置、変復調装置等)」の輸入が同比29.9%増と増加しました。

③部品(有線機器と無線機器用部品の合計)476億円(同17.9%減)

図表4-1:輸入動向(機種別、四半期別)

(2)地域別の詳細動向(参照:図表4-2)

地域別の4月~6月実績では、アジアからが5,113億円(前年同期比1.2%増)、うち中国は3,744億円(同0.1%増)。北米からは183億円(同14.6%増)、うち米国は172億円(同14.2%増)。欧州からは107億円(同25.0%減)、うちEUは104億円(同26.3%減)。

データ通信機器のうち「その他のデータ通信機器(伝送装置、通信装置、変復調装置等)」は、アジア、欧州、北米、それぞれの地域からの輸入が増えました。

(3)地域別構成比

1位 アジア 92.3% (前年構成比 -0.8%)
2位 北米 1.9% (同 -1.2%)
3位 欧州 3.3% (同 +1.3%)
その他地域 2.5% (同 +0.7%)
図表4-2:輸入動向(地域別、年度別)

VI.受注・出荷動向(CIAJ自主統計「受注・出荷統計」より)

(1)2019年度第1四半期の実績

4月~6月のCIAJ自主統計受注・出荷総額は3,674億円で、前年同期比3.2%増となりました。このうち、国内出荷は2,932億円の同比8.2%増、輸出が742億円の同比12.7%減となりました。
※自主統計「受注・出荷」=CIAJ会員の国内メーカーの受注・出荷額
(=国内出荷額(国内生産+海外生産)+輸出額  =国内生産額+海外生産した輸入額)

(2)機種別動向

機種別の4月~6月実績は以下の通りです。

①有線端末機器  1,265億円(前年同期比4.6%減)
コードレスホンやインターホンが堅調でしたが、海外景気の影響を受けやすいパーソナルファクシミリ(複合機を含む)やビジネスファクシミリ(複合機を含む)の輸出が継続して減少しました。

②移動体端末機器  1,221億円(同比4.7%減)
携帯電話は料金プラン変更を見据えた買い控えが続いて、需要が落ち込んでいます。その他の移動端末機器(業務用無線など)は輸出が好調です。

③有線ネットワーク関連機器  463億円(同比15.5%増)
デジタル伝送装置など有線ネットワーク関連は、輸出は低迷していますが、国内需要が大きく増加しているため、同比で増加しました。

④無線ネットワーク関連機器  549億円(同比52.0%増)
官庁向けの防災/MCA無線基地局や、民間向けマイクロ波通信装置、官庁向け衛星系通信装置の需要が増加しているため、同比で増加しました。

⑤その他ネットワーク関連機器  99億円(同比10.4%増)
データセンター向けなどで引き続きLANスイッチが好調を継続しているため、同比で増加しました。

⑥通信機器用部品  71億円(同26.5%減)

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