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   「QMSを経営に活かしたいあなたに贈る」 QMS委員会

    「QMS委員会はポスト2015年版移行の活動を開始します!」

                       2017年7月31日発行 第80号

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≪ 第80号 目次 ≫

 ・はじめに

 ・QMS委員会の2017年度体制のご紹介

 ・2016年度QMS委員会総会特別講演会のご報告
   「人生100年時代の健康づくり」
     〜ウェルネスマネジメントに学ぶQMSのあり方〜

 ・第22回 QMSサロン報告
   『QMS内にある情報の特性とその活用について考える』
     〜数値化された情報と質的情報の活用とマネジメントへの応用〜

 ・第8回 QKMアクティブラーニング報告
   『わたしは,QMSでどこを見ているのか』

 ・ISO 9001関連の最新動向

 ・TL 9000コーナー『TL 9000セミナー報告 & 測定法リリース5.5発行』

 ・【連載】知識活用型企業への道
   『QMSにおける知的資産運用への取り組み』

 ・編集後記

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●はじめに ─────────────────────────────────── 2017年度 QMS委員会委員長を拝命いたしました相澤です。 就任にあたり今年度のQMS委員会活動について一言申し上げます。 昨今の状況として,ISO 9001:2015への移行は,今年に入り加速して,続々と 移行審査が行われているようです。会員企業の皆様には3月にリリースした QKM e-ラーニング規格解釈による新規格の学習をお勧めいたします。 2017年度のQMS委員会は,ポスト2015年版移行に向けた活動を開始します。 まずは2015年版の意図である主体性・自律性のある事業と一体化したQMS の浸透化に向け,QKMアクティブラーニングで学びの場を設けます。 また,ポストQMSとして研究分科会では知識活用型企業をテーマに活動を 開始します。 メルマガは,本号で2004年7月の創刊から80号を迎えました。当初会員向けの 情報発信をさらに強化して委員会の活性化を図る一環として開始したもので, 日頃,浜松町までお越しいただけない皆様への情報発信であることは,今も 変わりなく毎号内容を精査して発信しています。 2007年7月の第20号からは,知識活用型企業への道の連載を開始し,こちら も丸10年が経過しました。この連載は,筆者のメーカ勤務時代に知的資産と 組織活動の連携への疑問が原点で,読者の皆様に雑談的な記事で知的資産に 関心をもってもらうことが発端でしたが,昨今では競争優位の原点も知的資 産に依存することは定説となっており,先見の明があったと思っています。 既に2015年版移行を終えた組織では,知識活用型企業へのシフトが持続可能 な組織の必須の要素であるものとQMS委員会は考えます。 是非,知識活用型企業への道の連載は,Next QMSへのメッセージとして ご一読されることをお勧めいたします。 今年度も会員企業の皆様に役立つ企画を提供してまいります。 ご期待ください。 それでは,メルマガ80号をお届けいたします。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●QMS委員会の2017年度体制のご紹介 ─────────────────────────────────── 6月21日の2016年度QMS委員会総会でご承認いただきました2017年度の体制 は以下の通りです。よろしくお願いいたします。 委員長   日立製作所    相澤 滋  (TC176国内委員会委員) 副委員長  富士通      橋本 辰憲      運営委員  アンリツ     青木 一浩       沖電気工業    青柳 礼子        日本電気     飯田 政良 (TL9000WG チェア)       富士通      宮下 正則 (普及分科会 主査)       特別委員           山本 正  (元)ソニー      会計監事  日本電気     川津 一郎 (研究分科会 主査)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●2016年度 QMS委員会総会特別講演会のご報告   「人生100年時代の健康づくり」      〜ウェルネスマネジメントに学ぶQMSのあり方〜 ─────────────────────────────────── 6月21日開催の総会特別講演会の概要をご報告いたします。 「人生100年時代の健康づくり」     〜ウェルネスマネジメントに学ぶQMSのあり方〜 講師:近藤克則 国立長寿医療研究センター 部長 千葉大学予防医学センター 教授 日本老年学的評価研究 JAGESプロジェクト代表 1. 講演依頼の経緯紹介 山本正 QMS委員会特別委員より QMS委員会が近藤氏に講演を依頼した経緯は,長期的,予防的視点は,QMS に活かせる部分がありそうなので依頼をした。 QMSは品質管理システムであり,質を管理する。ビジネスと個人人生を対比し てみると,予防的思考で中長期に渡る課題の認識と準備は,ビジネスと個人は 共通である。 業務の質—個人の人生の質,企業社会の関係性—個人のいる地域社会,多様な ビジネス環境—個人の多様な人生観に対比できる。そこで,QMSとは異分野で はあるが共通点があるので講演依頼に至った。 2.講演概要 講演は, ・高齢者増大に伴うマネジメントへの期待, ・地域づくりと社会参加の重要性, ・介護予防の都市型モデル構想 の3つに分けて解説いただきました。 (1)高齢者増大に伴うマネジメントへの期待 最近の寿命予測によると,日本では2007年生まれの10歳の子供の半数が107歳 まで生きるという予測がでている。 (出典:「ライフ・シフト」リンダ・グラットン他著,東洋経済新報社発行) 寿命が長くなったため,65歳の定年後も30年は生きている。この状況で,個人 は無数の選択肢を与えられて,次々と選ばなければいけない。自分はなにを 大切にしたいか:アイデンテティを持っておかないと選択できない。 平均寿命と健康寿命の差が大きくなってきている。即ち介護が必要な期間が 長くなってきており,マネジメントが必要。これには段階があり,  1.事故をなくす  2.質保証の底上げ  3.質改善  4.全体的管理(個々ではなく全体的ボトムアップ)TQM どの段階に位置しているかは,評価指標が必要。 そこで,ベンチマークシステム(比較システム)の開発に取り組んだ。 これが日本老年学的評価研究 JAGESプロジェクトである。 但し,良いベンチマーク(比較)が存在していても使う人にとって意味がなけ れば使われない。そこで,調査するチーム(研究機関)と使うチーム(自治体) が相互補完する仕組みにしている。 健康な後期高齢者を増やすことが目標である。即ち予防が重要である。 (2) 地域づくりと社会参加の重要性 評価指標の例としては転倒率がある。転びやすい町がある。 スポーツ組織への参加割合が少ない町では転倒率が高い。 うつになるリスクの割合は,趣味の会に参加している比率が高いとうつが少な い。即ち,社会参加の数が多いほど要介護認定が減る。 特に男性にその傾向があり,日頃の地元でのコミュニケーションが大事なよう である。皆さんは『地元デビュー』はされていますか? 笑わない人の方が健康感(自己評価)が低い。 人間は誰かと交わっているときに笑う。 社会参加していない人の方がうつになりやすい。 役割を持っている人の方がよさそう。 この状況から厚生省は政策を変えた。即ち,社会参加する人が多い町を作る。 地域作りを行う。地域診断書を作成し,ベンチマークを行うと各町の健康度が わかる。武豊町で地域つくりを行った。 (3) 介護予防の都市型モデル構想 日本全体では人口が減少に転じているが,都市部では人口が増えている。 即ち高齢者問題は都市部の問題である。個人個人に対策をフィードバックする だけではなく,環境が重要。高齢の人々が集まれる拠点を作る必要がある。 産官学の分担と共同が必須。単なる社会政策ではなく,究極の成長戦略である。 JAGESでは松戸市と共同研究プロジェクトを開始した。 これにはプロボノと呼ぶ専門性を持ったボランティアが必要である。 コレクティブ・インパクト(立場の異なる組織がお互いの強みを出し合い社会 的課題を解決するアプローチ)もとりたい。 都市型介護予防モデル「松戸プロジェクト」への企業提案を募集している。 また効果検証モデル事業への参加をお願いする。 <質疑応答> Q: ベンチマークの指標(転倒率,笑う回数など)はどの様にして決めるのか。 A: 最初はブレーンストーミングで項目アイデアを出す。  次に6つの基準に従っているかを検証する。  基準は信頼性の担保,社会的に受け入れられるか,データが入手できるか,  インパクトがあるか等。  基準に合致している項目がコア指標となる。 Q: 著作「健康格差社会への処方箋」には,どんな内容が記載されているか。 A: 本日の講演内容を含むが,より広く,地域間格差,社会経済格差について 記載している。 例えば,高学歴の人ほど転ばない,うつにならないというデータがあり, どうするかの処方箋,地域とのつながりについて示している。 <所感> これまでは,健康,高齢者,予防という言葉から,個人の問題で,個人として 課題を解決しなければならないと考えていました。しかし,個人の頑張りには 限界があり,そして人が集まるためには,場を作ることを含めて,地域社会, 自治体が行わないと全体の底上げにならない。高齢者問題は,個人の問題では なく,地域の問題,ひいては日本全体で解決すべき喫緊の課題であることが 認識できました。 解決の方法としては,評価基準を作り,比較を行い,フィードバックと対策を 実施するという,QMSと全く同様な手法をとっている。ビジネスに限らず, 高齢化社会の課題についても QMSの手法と考え方が有効であることを再認識 できました。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●第22回 QMSサロン報告   『QMS内にある情報の特性とその活用について考える』     〜数値化された情報と質的情報の活用とマネジメントへの応用〜 ─────────────────────────────────── 7月14日に第22回「QMSサロン」を開催致しました。 山本正 QMS委員会特別委員(MBA,Ph.D)をファシリテーターに迎え, 上記テーマについて話し合いました。 QMSサロンでは,ここ数回は統計処理をしたデータから何を読み取るか, 何を語るかを中心としたテーマで行ってきましたが,今回は,そのデータに 着目し,QMSの中に存在する数値化した情報と質的情報を取り上げ,どんな 情報でマネジメントして(QMSを動かして)いるのかを考えました。 導入として,山本ファシリテーターから, 「マネジメントは数値だけで動いているのか」という問いかけがありました。 例えば業務を進める中で,これはそろそろ駄目だな,マズイと感じたときは, 次の手を打つディシジョンメイキングしているのが普通であるが,数値だけ では判断していないはずである。とのことです。 これは,肌感覚でいえば正にその通りで,数字だけの判断ではない質的情報が 判断に関与していることは明らかです。 判断の場面では, 検証活動など主に数値化された量的情報を手がかりに適合を判断する場面と, 質的要素を手掛りに主観的に判断しマネジメントする場面が混在しています。 では,一体どんな情報でマネジメントしているのでしょうか? そこで,「情報について考える」マネジメントに必要な情報をQMSから得ると いうテーマで話し合いました。 まず,情報の性格をおさらいし,様々な情報の形式を教わりました。 ・客観的情報(数値化された情報,量的情報)  数値化されると,一見正しいように見える。  情報の妥当性が保証される必要がある。 ・主観的情報(複合的情報)  間接的でいくつかの要素が含まれる場合が多く,曖昧さがあり価値は読み手  の理解力に依存する。  情報には納得性が求められる。納得性は読み手の関心事や能力に依存する。 ・還元主義(Reductionism)  作業手順は還元主義である。  必ず一つ下位の法則と概念で書き換えが可能である。 ・全体論(Holism)  ある系(システム)全体は,それの部分の算術的総和以上のものである。  部分々々バラバラに理解しても系全体の振る舞いを理解できるものではない。 ・意味論(Semantic)  セマンティックアプローチは,主観的考え方で理解者の立場によって変わる。  人間は同じ事を色々なものの言い方をする。  例えば「バケツをひっくり返したような雨」  これは,人間には分かるが,機械には分からない。  他には,「コップ半分の水」  これは,人により,半分しかない,半分もある,置かれた状況立場によって  捉え方(意味)が変わってくる。 これらをもとに,QMSの中にある情報の概念的位置づけをすると, 意味論的情報は,同じ情報を発信しても,立場が違うと違う結果を生み出して しまう。コミュニケーションを取るには,情報のリテラシーが必要となる。 例えば,業務上ある問題が発生すると担当者は直接原因の対処に重きを置く, しかし,上司から見るとどこのシステムを改善したのか,上のレイヤーから モノを見る。 同じ情報でも,立場,問題意識の違いでアウトプットが変わる例でした。 以上から,QMS内にある情報について考えると,数値化された情報と質的情報 が共存しながらQMSを動かしていることが理解できました。 そして,個人的なものはQMSの情報にならない。共通できるものしかQMS (仕組み)にならない。 個々人の手段(マネジメントによるディシジョン,とっさの判断・対応・指示 など)はQMSにならないことを再認識しました。 これは仕組みの宿命であり,個々には完全網羅しないということが良く分かり ました。 次に「情報という窓からQMSを観る」ISO 9001:2015規格の分析からの情報の 見方について話しました。 前々回のQMSサロンで語彙分析(クラスター分析)をした結果をもとに, 情報とプロセスは関係が深いということを導き出し,「QMSとは現場と全体 組織とをつなぐ,ある種の「情報装置」でもある」という考察に至りました。 「情報という窓からQMSを観る」考え方で,私が今回一番勉強になったのは 『情報と行動 (意思決定の閾値)』です。まさに目から鱗でした。 QMSでは,単に情報が来たからと言って即行動するかといえばノーです。 ある情報が,あるマネージャーのところに来たと仮定して,この人から来た 情報は1.2,あの人から来た情報は0.5と頭の中で重み付けしている。 マネジメントの頭の中では,情報に関する重み付けの閾値がある。 過去の経験などを元にした閾値を持っている。 閾値を超えた瞬間に次のシステムに情報が伝達される。 QMSの中には,ディシジョンメイキングは書かれていない。 マネジメントの意思決定はその状況に応じてスレッシュホールドが変わる。 同じ情報でも,どのプロセス・組織・人などからアウトプットされた情報かで 重み付けが違う。 閾値はプロセスのゲートである。実は出さないという行為が大事である。 情報はアナログなのでノイズが入っているということ。何でも次のプロセスに 送ればいいというものではないこと。 行動,意思決定をするためには,閾値という考えが大事である。 プロセスに閾値を入れていく。このプロセスは,どういう時に出力をするのか 考えていくことが大事である。 ある閾値までは,いろんな情報が来ても何もしない。 閾値を超えたら,次のシステム(シナプス,神経回路)に信号を出す。 以上の話は,凄く納得しながら聴くことが出来ました。 質的情報でマネジメントが判断するロジックが少し理解できた気がします。 最後に,QMS内のさまざまな「情報」について考えました。 ・手順書のように「手続き化」の道具 ・基準書など「判断基準の明確化」手段 ・品質方針など広範囲な「意志通達」手段 ・「コミュニケーション」手段 ・知識を明示化する受け皿(皆に伝える) ・証拠の保存手段 ・文書化を行い必要な人が必要な情報を利用できるようにする手段 このように,情報はいろいろな意図で書かれていることが分かりました。 そして,ISO 9001:2015で求められている情報例として,それぞれの箇条に ある要求事項が,数値化情報か質的情報かを分類した例が示されました。 これを見ると,QMSの中には多くの質的情報がちりばめられていることが 再認識できました。 出席者からは,感想として以下が挙げられました。 ・分かり易い話しだった。情報はQMSを形成している。 ・インターネットの時代は情報が垂れ流し。QMSでそれはやってはいけない。 ・雑音,意図しない情報を除くようにしないといけない。 ・判断するところの意思決定は閾値を考えて出力するのはいい組織。 ・組織によって企業によって情報の感度が違う。QMSにはその可能性がある。 ・数値化できないKPIは,両方を組み合わせないと出来ないと分かった。 ・読み手の知識とリテラシーによって情報は変わってしまう。基準を作っても  ずれないように作らないといけない。 ・定性的情報は納得できる情報かどうか,なんらか説明できないといけない。 ・経営層に入れる情報として,無理やり数値化しているところもある。  妥当性を持たせるためにどんな情報を付加すれば良いか考えようと思った。 今回もまた,場を共有したからこそ得られる内容が多くありました。 特に,情報と行動 (意思決定の閾値)は,この話を聴くことができただけで とても得をしたと感じます。脳が刺激されたという言葉がぴったりです。 毎回メルマガで,内容のダイジェストをお伝えしていますが,参加しているか ら味わえる素晴らしさまではお伝えできないのが残念なところです。 今回も新しい参加者がいらっしゃいました。どんどん広がって欲しいです。 是非,メルマガ読者の皆様にも,“場に参加するからこそ腑に落ちる”感覚を 直接味わってもらい,自分の知識として持ち帰ってもらいたいと思います。 次回,第23回は,2017年10月後半に開催予定です。 QMSサロンは,自身の勉強目的のみならず,会員間コミュニケーション, リレーションを築くことにも最適な場です。新たな参加者を大歓迎します。 皆様のご参加をお待ちしております。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●第8回 QKMアクティブラーニングの報告   『わたしは,QMSでどこを見ているのか』 ─────────────────────────────────── 7月26日にQKMアクティブラーニングとして,株式会社イノベイション代表取締 役 山上 裕司様に,『わたしは,QMSでどこを見ているのか』というテーマで ワークショップを開催いたしました。 タイトルは,毎回,山上講師ならではのユニークなもので,テーマへの興味と 合わせ,組織のQMSを有効なものにしたいという期待をもった13名の方たちに ご参加いただきました。 最初に,山上講師が監査を行ったときの経験を紹介いただきました。 是正処置が完了したことを確認のため,「何が変わりましたか?」と質問しま した。答えは,「部品と手順書」ですとの回答でした。 もう一度,ゆっくりと,聞きました。「で,何が変わりましたか?」と。 今度は,「何も変わっていない」との回答でした。 この瞬間,回答者の視点が物理的なものから,より大きな,深い視点に切り替 わったものと推定できます。 ワークショップでは,この視点の違い,即ち自分自身及び他者の認知の違いを 知ることを経験しました。 例えば,QMSの業務において自分はどこの視点で見ているのか? に関し,  ・モノ  ・紙の上でのルール  ・人の頭の中の知識,経験  ・事業環境 の4つのボックスに当て嵌めた場合,状況によって見るところが異なります。 相手はどの段階にいるのか,同じQMSを物理的に見せるのか,事業環境の関係 性で見せるのかで全く異なってきます。 この4つのボックスに自分の業務を当て嵌めて書き出してみると自分の癖が分 かります。癖が分かると変えることが可能になります。 他の実例では,〇印だけのチェックシートを見たときに,素晴らしい結果とい う見方と,いい加減にチェックしているのではないかという正反対の視点に分 かれます。 次のワークショップでは,質問の仕方について演習しました。 テーマを決めてインタビューを行います。テーマは例えば「夏休みの宿題」で も良いです。そして以下の質問を行います。 ・どのような「夏休みの宿題」ですか? ・他に何かありますか? ・どこにありますか? ・喩えると何ですか? ・そこで起きて欲しいことは何ですか? 質問はゆっくりと,柔らかく,前提を持たずに行います。こうすることで, 回答者は,視点が広がったり,気づいていないことに気づく場合もあります。 この方法を山上講師は「認知のエンジニアリング」と呼んでいます。一般には 前提や固定観念が入っておらず,質問者の思いで汚染されない質問の言葉なの で「クリーンランゲージ」と定義されています。 今回は,人それぞれの視点はあるものの前述の定型的な質問のみをゆっくりと 問いかけ,助け舟をだすことなくじっくりと待ち回答を引き出すことで,回答 者の本音が引き出せるというコミュニケーションスキルとなることを学びまし た。 読者の皆様も是非お試しいただくことをお勧めいたします。 <質疑応答> Q:ゆっくり聞くということは 回答者に対し,「ゆっくり回答して良いです。」 「いつもまでも,待ちます。」と言外に述べていると考えてよいですか? A:その通りです。その時の言葉だけでなく質問者の表情も重要です。眼を見   てはプレッシャーを与えてしまいます。そして,助け舟は出さずに待ちま す。 <所感> ・常に,自分の視点と相手の複数の視点で考慮することは,監査の場面のみな  らず,日常のコミュニケーションや業務遂行でも有効な方法と認識します。 ・ゆっくりと質問をすることは,回答者に余裕を与え,本質を深堀できる可能  性が広がることを実感できました。 ・この2点は,ISO 9001規格に掲載されていない有力な武器を2つ示していただ  いたと思います。 このQKMアクティブラーニングは,講義の時間帯の殆どがグループ討議と受 講者が考える作業ということもあり,受け身の聴講ではなく参加型の形式で, まさにアクティブラーニングに相応しい時間を過ごすことができました。 次回のQKMアクティブラーニングもご期待ください。 今回の受講者のアンケートは,以下の会員専用サイトに別途掲載予定です。 是非,ご一読くださるようお願いいたします。  <会員専用サイト(ID,PWが必要です)>  http://www.ciaj.or.jp/qms_m/pdf/170726.pdf
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●ISO 9001関連の最新動向 ─────────────────────────────────── ISO 9001関連では,ISO 9000:2015ならびにISO 9001:2015の発行以降は大きな トピックスはない状況が続いています。 前号でお伝えしたISO/TS 9002:2016(品質マネジメントシステム−ISO 9001: 2015適用の指針)は,1月のメルマガでJIS化され,JIS Q 9002として開発され コメントの採否の検討を終えたところまでの報告をいたしましたが,その後, 日本規格協会による標準化アドバイザーの校正まで終了しています。今後の 日程が近々発表されるものと推測いたします。 ISO 19011の改訂が行われDIS(Draft International Standard)の段階までき ているとの情報が日本規格協会からありました。同規格は,TC176からPC302 の管掌に変更されたため詳細情報はありません。 その他,定期見直し(JIS化されていない規格を含む)等のコメント処理などで, 皆様にお伝えすべき情報はありません。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●TL 9000コーナー 『TL 9000セミナー報告 & 測定法リリース5.5発行』 ─────────────────────────────────── 1. TL 9000 セミナー報告 恒例となっています「TL 9000 セミナー」が7月24日(月)にクエストフォーラ ム日本ハブとCIAJ QMS委員会の共同で開催され,CIAJ会員始め24名(初参加 :12名)の方に参加いただきました。 今回は,「導入コース」として,従来の「要求事項」と「測定法」の説明に加 え,初めての方々にTL 9000の情報の入手をナビゲートする「TL 9000に関する WEB等の情報の見方」の説明を行い好評をいただきました。 本セミナーは半年に一回,定期的に開催しており,次回は2017年11月頃を予定 しておりますので,機会を見てのご参加を歓迎いたします。 2.TL 9000測定法ハンドブックR5.5 英和対訳版 TL 9000 測定法ハンドブック R5.5ポイントリリースは2017年6月30日に発行さ れました。 リリース5.5では,2つセクションが変更になり,新しいセクションが1つ追加 され,そしてこれに関連する製品分類表が改訂されました。 追加/変更の概要は次のとおりです。 ・7.1(FR) - 規準化年間返品率(NYR)の削除     (改版) ・8.1(SFQ)- ソフトウェア問題処置品質の分母の変更  (改版) ・9.3(IRR)- インシデント復旧率(IRR)測定の追加  (新規) ・R5.5 TL 9000製品及びサービス分類表         (改版) なお,リリース5.5は,2017年7月のデータから適用可能になり,2017年12月か ら適用が必須になります。 リリース5.5の英和対訳版は,日本ハブHPから無償でダウンロードできます。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●【連載】知識活用型企業への道    『QMSにおける知的資産運用への取り組み』 ─────────────────────────────────── 最近話題になった出来事とのひとつに,中学生棋士である藤井聡太四段の29連 勝でしょう。将棋に関心がない方も,大いに興味を引かれたのではないでしょ うか。 14歳2カ月でプロ棋士となり最年少記録を62年ぶりに更新しただけでも驚異的 ですが,プロデビューし連勝記録を更新したことでも実力が分かるというもの です。この話題により,将棋界に新たなムーブメントが起きそうです。 またスポーツ界では,例えば卓球の平野美宇選手のワールドカップでの最年少 優勝,張本智和選手の世界ジュニアシングルスの最年少優勝など,中高生によ る驚くべき成果が出現しています。 さらに,水泳の渡部香生子選手は高校生ながら平泳ぎ日本高校記録を樹立し, その直後に平泳ぎ100mにて日本新記録で優勝してしまいました。 スポーツ界でも新たなムーブメントが起きており,東京オリンピック・パラリ ンピックでの日本人選手の活躍に期待が高まります。 このように新たなムーブメントを感じられる時,その背景に何があるか気にな るところです。 まず大きなムーブメントを創ってきたと言えば,ベビーブームの団塊世代です (1947〜1949年生まれ)。その世代はその成長に応じムーブメントを次々と起 してきました。 人口が突出して多いため受験戦争から始まり,社会にでても常に競争環境下に 置かれる宿命を持っています。 個人差があるとしても,これらの競争環境は前向きに取り組む人々を多く醸成 し,技術と知識を持った人々を大量に生み出しました。 その結果,日本の高度経済成長を支える基盤となりましたが,世界はこのよう にガムシャラに働く人々を,ある種の軽蔑感を込め“働き蜂”と呼びました。 しかし,大きな社会的資産を残してきました。 一方,この団塊世代も年を重ねリタイヤし,2030年には65歳以上の世帯主が約 4割を占めるようになると見込まれています。(厚生労働白書 平成20年版) このような少子高齢化の状況は介護費用の増加など社会的な財政負担が膨大に なるため,高齢者の健康寿命を延ばすことが急務となっています。これにより さまざまなムーブメントが起きることは容易に想像できます。 このような中,当委員会の総会講演(2017/6)では,「人生100年時代の健康 づくり」(千葉大学 近藤克則教授)のお話をうかがいました。 寿命が100歳時代になると,就労年数と同じ程度の第二の人生があり,新たな 人生に向かい再学習する必要があるというお話から始まり,健康寿命を維持す るための多くの知識を得ることができました。(参考;「健康格差社会への処 方箋」,近藤克則,医学書院,2017) その中でも,健康寿命を延ばすためには適度な運動が必要であることは良く知 られていますが,社会的な関係を持ち続けることが,より効果的であるという データも示されています。それゆえ地域社会活動への参加,生涯学習,ボラン ティアなど新たなムーブメントが起きつつあると感じます。 こうなると気になるのが,団塊世代と最近の中高生の間にはさまれた“ゆとり 世代”層です。文部科学省が1980年代に学習指導要領で大幅な授業時間の削減 し,ゆとり教育を受けた世代もすでに30〜40代になっております。 この世代は不幸にして世界金融危機(2007)から始まった世界不況の影響を直 接受け,就職氷河期にも直面してしまいました。低迷した経済的ムーブメント の中,本人の意図と関係なく活躍する場が限定され,何となく割り切れない感 覚を持ち続けている人々も少なくないかと思われます。 その結果,この世代は流行に左右されず,実質性を重視し堅実で安定した生活 スタイルを重視する“さとり世代”と言われる個性的で実質的な価値観を持っ た人々が多いと言われています。この静かなムーブメントは何かを底流に秘め ていそうです。 考えて見れば,これらの人々の子供から,前述したような突出したスーパー中 高生が生まれ始めていることは関係があるのかもしれません。 このように見てみますと,現在の日本は,元気な高齢者層,堅実で個性的な現 役層,そして時として傑出した能力を示す若年層が共存する世界です。 このように異なるムーブメントを経験した層が共存し,それぞれの価値観を受 容しつつ活かしている社会は日本以外に見つかりそうもありません。とても興 味深い状況です。 さて,このコーナーの話題とは一見関連がない話題から入りました。 冒頭の話題は,人生の質(QOL; quality of life)の話でしたが,企業は製品 やサービスの質が重要な関心事ですから,知識活用型企業における品質マネジ メントシステム(QMS)の話題に戻します。 企業活動を観てみますと,その企業に所属する人々の行動パターンは,所属す る企業の文化や風土と無関係ではないように思えます。また,品質マネジメン トシステムもその影響を強く受けているかと推察できます。 現場では,業務課題を抽出し,改善し,プロセスの質を高めていく工夫が日々 に行われていますが,その視野は往々にして部分的なものとなりがちです。 部分が良くなれば,結果として全体が良くなるという考え方(還元的思考)も できますが,昨今のように企業を取り巻く状況や経済的ムーブメントがさまざ まに変化する場合,これまでの状況をベースとした部分最適が,必ずしも全体 最適にならない場合があると考えられます。それゆえ,全体としての働きをモ ニターし学習するシステム的な仕組みが必要になります。 このように現場と企業全体とをつなぐフレームワークとして,ご存じのように 国際規格ISO 9001:2015 品質マネジメントシステム(QMS)規格が活用できます。 プロセスアプローチと称した個々のプロセスを軸に企業活動を体系的に運営管 理する提案がなされてきました。 QMS規格自体は概念的なものと要素的な要求事項との集合体であり,システム として機能させるには,企業の経営目的と状況に応じた固有のシステムとして まとめ上げる必要があります。 一方,部分的改善やQMS監査などを定期的に行ったとしても,システムをうま く機能させることができない場合があり,結果としてQMSの形骸化や有効性へ の疑問の声が上がることになります。これは,皆さんが良くご存じのとおりで す。 一時的にQMS規格への適合は,品質保証やマネジメント能力の証明として大き なムーブメントを起こしましたが,このところ行き詰まりを感じるようになり ました。 それゆえ予防的処置にも注目し規格が改訂されましたが,予防的処置のような 不確実性に対するシステム的なアプローチはさらに困難となりますから,従来 の組織的な壁とともに複雑性の壁にもQMSは直面することになります。 このような複雑系に対応するソリューションとして現在脚光を浴びているのが 人工知能の活用です。人工知能を使ったムーブメントがさまざまな場面で起 きつつあります。 例えば,ご存じのようにビックデータと人工知能による機械学習を組合せ,新 たな関係を明らかにしていくデータマイニング手法は,すでに定着しつつあり ます。 また,画像認識による自動停止装置つき自動車は,人口比率が高い高齢者向け に新たなニーズを喚起し販売促進しようとしています。さらにその先には自動 運転も実用化が視野に入ってきています。 また,人工知能による画像処理技術はガンの早期発見など医学への応用研究が 進められています。 このように,人工知能による新たなムーブメントが次々と実用段階に入る中, その変化を不安視する人々もいます。その不安のひとつは,人工知能のブラッ クボックス化です。何をどのように処理し判断しているかが理解できないため の不安です。 もうひとつは,自分の仕事がなくなるのではないかという不安です。これはコ ンピュータの導入時期にも同種の不安がありました。今回のムーブメントは高 度な専門知識が必要な公認会計士でさえも,無くなる可能性があると知ると驚 きを禁じ得ません。 しかし,どのように人工知能が発達したとしても,最終的意思決定は人間が行 うものなので,選択肢を増やしてくれる道具だと思えば不安はありません。 さらに人工知能の応用は,これまで世界経済をけん引してきた製造業だけでな く,定量化がむずかしいサービス業など非製造業の在り方にも大きな影響を与 えるものとなります。 例えば,当委員会の異業種見学会で訪問したヤマトホールディングスの物流セ ンター「羽田クロノゲート」は(2017/2),その巨大さに驚くとともにコンピ ュータで自動化された物流ネットワークの能率の良さを実感することができま した。 しかし,インターネット販売の急速な拡大に伴い運転手不足が話題となってお り,従来型の物流システムの在り方に限界が見えてきました。 物流は,需要の変化,天候や道路網の渋滞状況など刻々と変化する要素が影響 するため,人工知能による物流最適化への応用が期待されています。 このように見ますと,人工知能というムーブメントは避けられそうもありませ ん。その結果,労働者層も人工知能の仕組みや限界を適切に理解し人工知能を うまく使いこなす層と,単に人工知能に使われる層とに分かれることになるで しょう。 人工知能へのアプローチは興味深いので,何度もこのコーナーでご紹介してき ました。 昨今は,一般に開放されている人工知能がいくつかあります。例えば,アマゾ ン,グーグル,IBM,マイクロソフトなどは,インターネット環境で使えるク ラウド人工知能をそれぞれ公開しています。接続用プログラムをインストール すれば,個人でもそれらの人工知能を使いシミュレーションできる時代ですか ら,非常に身近になってきております。 QMSとしても,この人工知能のムーブメントを使わない手はありません。まず はなじみ深い統計的アプローチで人工知能を活用していくことが良いのではな いでしょうか。 いくつかのハードルがありますが,まずは試してみることです。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●編集後記 ─────────────────────────────────── 連日,大変蒸し暑く,寝苦しい夜が続いております。皆様はどのようにこの 暑い夏を乗り切ろうとお考えでしょうか。 気象庁の発表によると日本の年平均気温は,1.19℃/100年で上昇しているとの ことです。さらに,日本の大都市である東京,名古屋,福岡の平均気温に至っ ては,3℃/100年と急激に上昇しております。これから夏本番に向けてさらに 日本の気温は上昇すると考えます。 特に,熱中症は室内にいても発症するので適度に水分をとって,この暑さに 負けないよう健康管理には十分お気を付けください。 QMS委員会総会では,皆様の貴重なご意見をいただき,誠にありがとう ございました。 皆様のご意見を参考にさせていただき,お役にたてる企画を提供してまいり ます。 また,今回の知識活用型企業への道の連載記事はいかがでしたか?  最近の話題満載でしたが,皆さまは"AI"はお使いですか?  紙とペンのQMSから賢い道具立てを駆使したQMSへのシフトをしてみませ んか。 最後までお読みいただき,ありがとうございました。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ──「QMSを経営に活かしたいあなたに贈る」── * 配信追加は下記にお知らせください。  mailto:qmsmelg@ciaj.or.jp * 発行:一般社団法人 情報通信ネットワーク産業協会     QMS委員会メルマガ編集部  http://www.ciaj.or.jp/top.html  http://www.ciaj.or.jp/qms/(QMS委員会ホームページ) * 発行責任者:QMS委員会メルマガ編集部事務局(勝田 秀樹) * 皆様のご意見・ご要望をどしどしお寄せください!  qmsmelg@ciaj.or.jp ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ Copyright(C)2004-2017 CIAJ QMS committee All rights reserved.