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━ CIAJ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

   「QMSを経営に活かしたいあなたに贈る」 QMS委員会

      2013年度新体制が発足しました!


                      2013年 7月31日発行 第56号

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ CIAJ ━
≪ 第56号 目次 ≫

 ・はじめに
 ・2013年度QMS委員会体制のご紹介
 ・総会特別講演報告
 ・QMS戦略セミナー報告
   「リスクマネジメントの本質とQMSにおけるリスクマネジメント
 ・QMSサロン報告
   「知識活用型企業におけるリスクマネジメント」
 ・ISO 9000の改訂動向「ISO規格類の妥当性確認情報と今後の動きについて」
 ・TL 9000コーナー「TL 9000セミナー開催他」
 ・知識活用型企業への道「QMSにおける知的資産運用への取り組み」
 ・QMS委員会「委員会活動功労者」として顕彰
 ・編集後記

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●はじめに
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皆さんこんにちは。
2013年度 QMS委員会委員長の橋本辰憲です。
ISO 9001,TL 9000,AS 9100を通じてQMSに関与してきました。
どうぞよろしくお願いいたします。

QMS委員会では,6月に開催した総会で皆様から2013年度の委員会体制と
事業計画をご承認いただきまして活動を開始いたしました。
今年度も継続して「 QMSをいかす」をテーマに,セミナー/講演会等を実施し
ていきますので,どうか各分科会,WGの活動に会員の皆様のご参加とご協力
をお願いいたします。

それでは,メルマガ56号をお届けいたします。


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● 2013年度QMS委員会体制のご紹介
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6月6日のQMS委員会総会でご承認戴きました新体制をご紹介致します。

委員長  富士通     橋本 辰憲

副委員長 三菱電機    岩崎 信広(新任)

運営委員 沖電気工業   米山 正彦(新任)
  〃  沖電気工業   青柳 礼子(研究分科会主査)
  〃  東芝      佐藤 勇一 (新任)
  〃  日本電気    飯田 政良(TL 9000WG チェア, 新任)
  〃  日本電気    斉藤 仁 (普及分科会副主査)
  〃  日立製作所   阿部 雅之(普及分科会主査, 新任)
  〃  富士通     馬渡 登 (TL 9000WG バイスチェア)
  〃  アンリツ    鈴木 和幸(新任)
  〃  サンコーシヤ  音居 文雄

会計監事 日立製作所   小田 明

特別委員 (元)ソニー   山本 正 (研究分科会副主査)


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●総会特別講演報告
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【第一部】「QMSによる価値創造に向けて −知識活用型企業への道−」

    [講師]山本 正 様
       (QMS委員会フェロー,元ソニー㈱,Ph.D.)


 [講演概要]

 ・最先端ではなく,足元を固めていく。
 ・QMSがどうも上手く動かない。
 ・2015年ISO 9001の見直し。

 ・QMSを有効に活用する例として
  「企業内の見えない資産」に注目して
  「知識活用型企業への道」をメルマガへ掲載,本日小冊子を配布した。

     匠→TQM→QMS→知的生産性

  知的生産性向上のために,QMSを活用できるようにする。

 ・手続き化できる知識,手続き化できない知識,手続き化しない方が良い
  知識

 ・情報と知識の違い
    情報による行動 →他律的行動
    知識による行動 →自律的行動

 ・QMSは他律的
   組織は手続きや標準だけで機能している訳ではない。
   組織がうまく機能するためには,QMSの中で,知識や情報を,組織的に
   うまく活用すること。

 ・「品質マネジメントの原則」の見直し

  1.顧客重視 顧客と相互作用のあらゆる側面は顧客への提供価値向上の
         機会となる。
         従来は,「要求事項を満たすこと」であった。
         どのような顧客を創造していくのかがテーマ。
 
  2.リーダシップ 全ての階層のリーダ
         従来は「全ての」がなかったが,現場のリーダがキチンと
         しゃべれの意図が入った。自律的な行動を推進する。

  3.人々の積極行動
         他律ではない,自律である。
         人々を個人として尊重する事こと。知識を向上する事。
         獲得すべ技能と知識を明確化する。

  4.プロセスアプローチ
         従来のマネジメントへのシステムアプローチがプロセス
         アプローチと一体化した。

  5.改善
         内外の変化に対応し,新たな機会を創造するために必須。

  6.根拠に基づく意思決定
         データ・情報の分析および評価に基づく意思決定
         評価能力を獲得するには段階がある。評価は人の行動を
         導く。米国初等教育では重要。

  7.関係性管理
         人的資本,顧客資本→今後強化されそう。
         組織資本,プロセス資本
         地域問題,環境問題などこれのQMSの領域を超える部分
         もでるであろう。

 ・まとめ
    QMPと知識循環

    顧客の知識,リーダーの知識,現場の知識,プロセス内の知識
    これらを上手く循環させる。


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【第二部】「スーパーコンピュータが拓く未来」
 
    [講師]門岡 良昌 様
       (富士通㈱ 次世代テクニカルコンピューティング開発本部
        アプリケーション開発統括部長,理学博士)

[講演概要]
 スパコンは研究室のおもちゃではない。生活に密着したものになっている。
 さまざまな苦労があった。

 1.「二番じゃいけないの!?」
  すっかり有名になったフレーズですが,蓮舫議員のおかげで,世界一を
  狙うプロジェクトが動いていることが分かった。
  スパコンに1100億円,国民の血税を投入。答える側に問題があった。
  分かる様に説明して欲しかった。2011年に世界一になった。

 2.コンピュータの歴史
  エニアック 1946年 モークリーが開発 真空管17000本利用
        ワイヤーを張りながらプログラミング。 300FLOPS
  FACOM 128  1954年 池田敏雄  日本の初の実用リレー式コンピュータ。
  FACOM 230-75 APU 1977年 22MFLOPS

 3.トップ500に見る性能トレンド
  11年で1000倍。500位が一位になるのに6年。1位のコンピュータが6年後に
  500台となる。早いから持ちたいのではいけない。アプリが大切。
  システムボードは水冷式。水冷式と空冷によるハイブリッド方式。
  「京」コンピュータは人が計算すると16億年かかる分を一秒で行う速さ。

 4.応用分野
  速いコンピュータを作って,さあ買ってくださいではダメ。
  世界一速いのを作るんだといきまくがただの箱。アプリケーションを作る
  人がいない。富士通でできるものかと言われ,だったら俺がやってやる!
  こうしてアプリの研究開発をスタートした。しかし,世界のアプリを5年
  10年では作れない。そこで研究所,大学などに飛び込んだ。アプリとコ
  ンピュータをつなぐ技術は研究開発。

 5.事例
  (1) 磁界シミュレータ
    ハードディスクの磁気ヘッドが磁界。ヒステシスカーブでシュミレート。
    レアアース磁石の磁化反転機構の研究,自動車モータ。

  (2) 高精度津波シュミレータ
    神戸製鋼 大分別府間の防波堤 粒子法で高炉設計,鋳造プロセス最適化。
    津波予測による防災へのチャレンジ。東北大 今村先生。

  (3) テーラーメード医療の研究
    東大と共同研究。久田 俊明教授。力学的現象,電気的現象,分子構造
    から生体まで。クラウドの中にスパコンを置いて活用する形になる。
    あと3年で実現したい。

 6.TOP500のスパコンが何に使われているが

      大学・研究機関  258
      製造・半導体    61
      金融       233
      その他(ゲーム等)  147

    日本では,23セット中20セットが研究機関。産業界でのスパコン利用が拡大
    しない。コストの8割がアプリライセンス料。ハードウエアは1割。ISVソフト
    の収益は米国に流れる。
    企業のニーズ(秘密主義)VS アプリケーションソルバ/大学ISV(シーズ指向型)
    にギャップがある。

 7.なぜー番でないといけないのか
    日本は資源が乏しい国。人間力で勝負するしかない。
    世界最高の知恵を早く実用化のためには,世界最高のスパコンが必要。
    マルチスケール心臓シミュレータは,一拍の計算するのに京では2-3日かかる。
    二番だったら1ケ月以上で研究速度が10倍かかる。
    米国は日本にスパコンを売らない。売っても五年後。

     と,蓮舫議員に回答して欲しかった。

 8.スパコンとアプリは車の両輪
    超大規模スーパーコンピュータの開発を新たなアプリケーション創出により
    社会に貢献していきたい。

 9.質疑

  Q: ICT業界への活用は?
  A: ビックデータを扱っていくなどがある。
   例えばIBMワトソンが巨大な業績データから医師の診断を手助するなど。

  Q: MTBFは?
  A:ノードが壊れたとき,プログラムをチェックポイントでリスタートを行う,
   別なノードでスタートする。
   CPU破壊のときボードを取り換える仕組みを組み込んでいる。

  Q: 2045年問題はどのようにとらえているか?
  A: 性能がサチル時,技術の限界になりそうなとき,
    パラダイムシフトが起きると思う。
    例えば,マクロをミクロを一括して処理する技術が生まれてきている。

                                 以上


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●QMS戦略セミナー報告
   「リスクマネジメントの本質とQMSにおけるリスクマネジメント」
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7月4日,新興プランテック株式会社 榎本徹様をお招きして,「リスクマネジ
メントの本質とQMSにおけるリスクマネジメント」というテーマでQMS戦
略セミナーを開催しました。

今回は,ISO 31000「リスクマネジメント-原則及び指針」を通じて「リスクマ
ネジメントの本質」の理解を深めると共に,現行のISO 9001をリスクマネジメ
ントの側面から見つめ直すことにより「QMSにおけるリスクマネジメントとは
何か」について解き明かしていくというものでした。

ボリュームのあるセミナー資料をもとにテンポの早いお話でしたが,アンケー
ト結果では,「よかった」が60%,「ややよかった」が30%と全体の9割の方か
ら好評をいただきました。

特に,『レビューは危険予知だ』,『目的の無い活動からリスクを探し出すこ
とは難しい』,『リスクマネジメントの本質とは組織が「未来を統制する」こ
とにある』など,今回のセミナーの本質に迫るキーワードに多くの方が気付き
と共感を得たようです。

また,今後のシリーズ企画化については約8割の方から「期待する」または
「是非期待する」とのお答えをいただき,リスクマネジメントが会員の皆様の
業務のおける大きな関心事であることが改めて示されました。

セミナー後のフリートークの場にも多数の参加を戴き,リスクマネジメントの
に対する具体的な取り組みや課題について活発な議論が行われ,ここでも関心
の高さが伺えました。

今回のアンケート結果を踏まえ,リスクマネジメントに関するシリーズ企画第
二弾をご案内できるよう,講師の方と企画を検討してまいります。ご期待くだ
さい。

 受講者アンケート結果は,下記の会員専用サイトからご覧戴けます。

 <会員専用サイト(ID,PWが必要です)>
 http://www.ciaj.or.jp/qms_m/pdf/130704.pdf


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●QMSサロン報告「知識活用型企業におけるリスクマネジメント」
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第10回「QMSサロン」を7月19日(金)に開催いたしました。

QMS委員会の山本フェロー(MBA,Ph.D)をファシリテーターに迎え,
「知識活用型企業におけるリスクマネジメント」をテーマに意見交換が行われ
ました。

今回のQMSサロンは,QMS戦略セミナーにて,リスクマネジメント概要を
会員の皆様にお伝えしたことを受けて,表記のテーマを取り上げました。

リスクマネジメントを理解するにあたり,
品質は自分たちでコントロールできる範囲,できない範囲があること,
一般的なリスク・アプローチ(リスク特定→リスク分析→リスク評価)概念,
ISO/CD 9000 QMSの原則案を学びました。

ISO/CD 9000 3.2.5にて,リスク(risk)の定義を effect of uncertainty
(不確かさの影響)としており,ISO/CD 9001 3.09に引用されているとの
説明を受け,リスクマネジメントの構造は,「不確かさ」「影響」の二つで
成り立っていることを理解しました。

ここで,リスクを理解するには「不確かさ」とは何かを理解することが大切
であるとの説明を受け,目からうろこでした。
「不確かさ」とは,アクシデントや,ハザードを意識している訳ではなく,
アクシデントや,ハザードは,起きても企業が対応できない,コントロール
できない部分で,ここを勘違いしている人が多いとのコメントがありました。

改定審議中のISO/CD 9000では,リーダーシップ,及びプロセスアプローチの
原則に,リスク関連の概念が組み込まれたことの説明がありました。

そして,知識活用型企業がもつリスクを特定するために,
 (1)ナレッジ・ワーカーが持つ不確実性
 (2)知的労働とプロセスが持つ不確実性
 (3)因果アプローチが導く不確実性
これらについて,今までのQMSサロンで学んだことの復習を含め,リスクを
軸に話し合いました。

ISO 9001の次期改訂では,リスクが入ることが話題になっていますが,まず,
リスクの正しい理解をすることが大切であることが分かりました。


<次回開催のお知らせ>

今年度から,「QMSサロン」は4ヶ月毎の開催に変更させて戴きました。
次回は11月中旬に開催する予定で調整中です。
内容が決まり次第お知らせいたします。

「QMSサロン」は会員間コミュニケーション,リレーションを築くにも最適
な場です。皆様のご参加をお待ちしております。


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●ISO 9000の改訂動向「ISO規格類の妥当性確認情報と今後の動きについて」
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コミッティードラフト(CD)の段階にあるISO/CD 9001およびISO/CD 9000の検討
が進められており,国際規格のドラフト(DIS) にすべきかどうか投票が行われ
ますが,特にISO 9001の影響は大きいと予想されるため,国内では品質マネジ
メントシステム規格国内委員会による説明会が開催されています。

今回のISO 9001の改正は様々なマネジメント規格類の共通性を意識した付属書
SLに準じ構成されているため,これまでに慣れ親しんだ規格構造から変更され
ております。また,リスク概念の導入やパフォーマンス評価などがより具体的
に示されているため,今後の動向に注目する必要があります。

また,次の規格類の定期見直しの投票された結果,具体的な検討が開始されま
した。
 1) ISO 10005(品質計画)
 2) ISO 10006(プロジェクトマネジメント)
 3) ISO 10007(構成管理)
 4) ISO 9004 (組織の持続的成功のための運営管理)


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●TL 9000コーナー「TL 9000セミナー開催他」
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1.「TL 9000セミナー開催」
 7月18日に, TL 9000セミナーを開催いたしました。
 今回,受講対象をCIAJ会員と,共催のクエストフォーラム日本ハブ会員に拡
 大しました。

 QMS委員会内部に留まらず,CIAJ会員とクエストフォーラム日本ハブ会員から
 幅広く参加があり,国内の電気通信業界関係各位に,TL 9000 をご理解戴く
 機会となりました。

 講師:クエストフォーラム認定研修機関
    (株)テクノファ TL 9000 審査員研修講師
    内田 勲 氏, 小林 真一 氏

 演題:TL 9000 セミナー 〜要求事項 最新改訂(R5.5)概要も含む〜
    1)TL 9000 の概要
    2)TL 9000 要求事項(R5.0)
    3)TL 9000 測定法 (R5.0)


2.TL 9000要求事項ハンドブックR5.5翻訳について
 7月9日にTL 9000要求事項ハンドブックR5.5翻訳委員会のキックオフ会議が
 開催されました。TL 9000WGメンバも委員会に参加し,翻訳作業予定。

 TL 9000WGにおける翻訳活動は,7月3日に「委員会活動功労者」として表彰を
 受けました。
 (詳細は本メルマガ「QMS委員会「委員会活動功労者」として顕彰」 の記事を
 ご参照ください。


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●知識活用型企業への道「ISO規格類の妥当性確認情報と今後の動きについて」
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企業の目的に向け組織的行動を調整するには,システムとしてそれらを全体的
な視点からコントロールしマネジメントを行うことが重要であることは言うま
でもありません。

一方,相互に影響し依存しあう組織的活動を一つのバリューチェーンとしマネ
ジメントすることは,その要素の複雑さだけでなく多くの人々が関係するがゆ
えに,複雑で不確実だといえます。

組織間や人々の間にある関係性は複雑で不確実であるため同一原因が同一結果
を導くとする画一的な因果関係が必ずしも成り立ちませんので,知識創造や知
識活用する業務では,ルール化を進めただけではうまく機能させるには至りま
せん。つまるところ組織間の活動も人間というところに帰着するものですが,
そこに最初から帰着させたのでは話は進まなくなります。

それゆえ例えば,組織内部および外部とのコミュニケーションを深化させるこ
とが求められています。コミュニケーションを双方向性情報伝達など表面的な
手法で終わらせたのではその価値は少なく,最終的なゴールは組織活動を行う
ための共通の理解と行動を導くことにあります。

そのためには相手との信頼感や相性など主観的な要素までも視野におさめるこ
とが必要です。極端にいえば,価値観や相性が合わない相手との共同作業はむ
ずかしく,実際に「役割と責任」だけで話を進めても効果的に機能せず,パフ
ォーマンスに大きく影響を与えるものです。

話は変わりますが,成長著しいベトナムを数年前訪問した時,政府高官と食事
する機会に恵まれ同席しました。そこで話題になったのがなんと NHKの「おし
ん」でした。「おしん」は世界中で放映され高い評価を得ていると聞いており
ましたが,耐え忍び苦しみや悲しみを超え成長していくストーリーは,人種や
宗教の壁を超え人間の本質的な部分の琴線に触れるものなのだと見えます。

成長を続けているベトナムの高官から「おしん」の話題が出た時,ベトナム戦
争から現在までの過程と「おしん」が示した価値観と共振し共有されているの
だろうと思いつつ,その行動や思考に多少なりとも影響を与えるものと見えま
した。

ともすれば,組織にいると人々を役割や責任など,いわゆる“ロール概念”で
識別しやすいものですが,人と人のリレーションが重要な役割を担う知識創造
活動ではロール概念は役に立たず,むしろ知識と“共有した価値観”が行動を
導くと見えます。ゆえに,プロセスとして見える化できないモノ(インタンジ
ブルズ)の働きにも今後も注目せざるをえません。

さて,今回のISO 9001の改正では要求事項の本質に大きな変更はないものの,
その表現は変わってきております。予防処置に代わりリスク概念を使い,また
従来から指摘されてきた QMSの有効性に対する疑念に対応し,パフォーマンス
評価を示しています。さらに,注目すべき点は“見えないモノ”すなわちイン
タンジブルズに対し具体的な配慮がされてきたことにあります。これまで“製
品”には有形のモノと無形のモノがあるという理解は ISO関係者のみなさんに
は当たり前ですが,表現上でも分けてほしいという要望から始まったと聞いて
います。

その結果今回の改正案では“商品とサービス”(goods and services)という呼
び方を使っております。その表現の妥当性については議論があるかと思います
が,インタンジブルズを識別していく動きは妥当かと思います。

もともと,このコーナーは“知識”や“経験”というインタンジブルズをいか
に QMSで扱うのかを考えるために始まったものなので,今回の ISOの動きは当
然の成り行きだと見ていますので,今後も関連するお話をご紹介していきたい
と思います。


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●QMS委員会「委員会活動功労者」として顕彰
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7月3日に,QMS委員会は下記活動が認められ,2013年度第1回全委員長会議の場
においてCIAJ会長名の感謝状を授与されました。
今回で 4度目の表彰となりますが,これもひとえに皆様のご支援のお陰であり
厚く御礼申し上げます。

◆受賞テーマ:
「TL 9000ハンドブック翻訳委員会への協力」

◆受賞理由
 ・情報通信産業分野における海外セクタ規格にTL 9000がある。
  1. TL 9000ハンドブックの和訳を実施。
  2. TL 9000セミナーを開催。
  により,TL 9000規格の日本の通信業界への普及,推進に貢献した。

 概要は以下の通り。
 "TL 9000 Quality Management System Measurements Handbook Release 5.0"
 が2012年7月に発行され,2012年12月より本リリースが適用開始となった。
 TL 9000は原文が英語であるため,日本で適用するにはISOと同様に,和訳が
 必須であった。日本に初上陸の規格であるため,クエストフォーラム(米国)
 が日本規格協会経由で情報通信分野の業界団体であるCIAJに依頼がなされ,
 翻訳委員会が設立され,2001年以降,規格改版の都度,和訳が実施されてい
 る。
 今回2012年度は,2012年7月にTL 9000翻訳委員会が設立され,CIAJ QMS委員
 会では,TL 9000 WGメンバが中心となり,翻訳委員会に参画し翻訳協力した。
 翻訳活動は. 2012年7月から2012年10月である。その結果,英和対訳版
 (A4,334ページ)の完成に貢献し,日本規格協会より,2012年11月1日に,
 ハンドブックとして出版された。このハンドブックは,日本規格協会のHPか
 らだれでも購入できる。加えて,本ハンドブック内容を中心に,TL 9000
 セミナーを2013年2月に委員会内で開催した。


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●編集後記
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サッカー観戦が好きな私は,国際試合をテレビ観戦するのはもちろんですが,
Jリーグの試合にも足しげく通って応援しています。

そして,応援しながらも,職業病なのか,仕事でのチームワーク,個人の力量,
リーダーシップなどを考えながら観てしまいます。
そこで,サッカー日本代表の話題から,人的資源と教育について考えてみます。

コンフェデレーションカップ2013(*1)では,日本はアジア王者として参加し,
結果は3連敗で,世界の壁を感じる結果となりました。
日本のサッカーはチームワークを重視するようで,個を主張したい場面でも,
個人技に踏み出せなくて遠慮してしまうところもあったように思えます。

これは,プロジェクトで仕事をする時に,輪を重んじるか,個人の直感を信じ
判断するかということにも似ています。
結果的には,その場その場の判断ということになりますが,最適な判断をする
だけのデータを持っているか,一緒に働いている人をどれだけ信じるかなど,
単に管理(Control)だけでは解決できない要素を含んでいます。

そして韓国で開催された,東アジアカップ2013(*2)は,日本の優勝で幕を
閉じました。東アジアカップ2013は,Jリーガーだけ(日本国内から召集)で
構成され,日本代表チームに初召集の若いメンバーも多くいました。

現場教育の目で見ますと,机上であれこれ教えるより現場で教える方が理解も
進みますし,自身の利点・欠点もすぐ分かります。
仕事も単なる自己満足ではなく,顧客や上司から褒められることは,やる気も
あがり,仕事のアウトプットにプラスの作用を促します。
今回の初召集メンバーは,最大の自身のアピールの場でもありますので懸命に
プレイします。「百聞は一見に如かず」で,まさに仕事もその通りです。

人的資源を活かすには,個人教育に終始するのではなく,資源を活かす土壌も
必要だと,サッカー観戦をしながら,しみじみ感じました。

 *1:サッカーの6連盟の選手権を制覇した王者と開催国,ワールドカップの
   前回優勝国の8カ国が参加する大会。日本はアジア代表として出場。

 *2:東アジアサッカー連盟(EAFF)が主催する,ナショナルチームによる
   サッカーの国際大会。

最後までお読み戴き,ありがとうございました。


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──「QMSを経営に活かしたいあなたに贈る」──

* 配信追加は下記にお知らせください。
 mailto:qmsmelg@ciaj.or.jp
* 発行:一般社団法人 情報通信ネットワーク産業協会
    QMS委員会メルマガ編集部
 http://www.ciaj.or.jp/top.html
 http://www.ciaj.or.jp/qms/(QMS委員会ホームページ)
* 発行責任者:QMS委員会メルマガ編集部事務局(菅野 清裕)
* 皆様のご意見・ご要望をどしどしお寄せください!
 qmsmelg@ciaj.or.jp
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