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    「QMSを経営に活かしたいあなたに贈る」 QMS委員会

    「2011年度も,QMS委員会は,価値ある情報発信を続けます!」


                      2011年3月31日発行 第42号

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≪ 第42号 目次 ≫

 ・はじめに
 ・QMS戦略セミナー延期について
 ・ISO 9000の改訂動向「ISO規格類の妥当性確認情報と今後の動きについて」
 ・TL 9000コーナー「クエストフォーラムホームページに日本語訳が掲載」
 ・知識活用型企業への道「QMSにおける知的資産運用への取り組み」
 ・編集後記

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●はじめに
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 3月11日の東北地方太平洋沖地震は未曾有の大震災となり,被害を受けられた
皆様に,謹んでお見舞い申し上げます。
また,一日も早い復興と皆様のご健康を心よりお祈り申し上げます。

QMS委員会においては,やむなくセミナーの延期を致しましたが,今後,
委員会としてできることを着実に行うことで,この状況下での企業活動の一助
となればと存じます。

それでは,メルマガ第42号をお送りいたします。


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●QMS戦略セミナー延期について
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3月14日に開催予定の戦略セミナー『QMSを今一度考える−QMS事務局の
役割とは』は大地震の影響のため,3月12日の時点で早々に延期の判断をさせて
戴きました。

今回のセミナーでは,19の事務局からの参加申し込みがあり,事務局の方々の
関心の高さを実感致しました。
QMS委員会としては,QMS事務局だけを対象にして,ワークショップを行
うという新たなトライアルでもありました。
これに対して,私たちも皆さんの期待に応えるべく参加者より事前に頂戴した
コメントよりテーマ選定等の議論を重ね準備をしておりました。

また,講師のアムシックの日吉様,奥村様とも12日に何とか連絡が取れ,本セ
ミナーの再開検討に向けて心強い励ましの声を戴きました。

本セミナー企画は2011年度に引継ぎ,整い次第会員の皆様へご案内をさせて戴
きます。


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●ISO 9000の改訂動向「ISO規格類の妥当性確認情報と今後の動きについて」
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QMS監査に関する要求事項の作成に関する必要性の調査(NWIP)が行われました。
その背景に,内部・外部監査のための一般的な指針としてISO 19011 が見直し
されていますが,これは各分野のマネジメントシステム監査に適用できるもの
とするためです。
分野ごとの特別な監査員の力量に言及する予定になっております。

NWIP:New Work Item Proposal (新業務項目提案)


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●TL 9000コーナー「クエストフォーラムホームページに日本語訳が掲載」
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クエストフォーラムホームページには,TL 9000を紹介する数々の文書が掲載
されていますが,全てが英文(米文)となっています。

しかし,現状のままでは,日本国内でTL 9000に関心のある方,取得を目指し
ている企業などに言語的な不便をかけていることから,昨年,クエストフォー
ラム日本ハブの翻訳チームが中心となって,TL 9000関連文書の和訳に取り組
んできました。これらが,クエストフォーラムのウェブサイトから閲覧可能に
なりましたので紹介します。

クエストフォーラムのウェブで,TL 9000を紹介するホームページに進むと,
(URL:http://tl9000.org/about/tl9000/overview.html)
左側に,"Overview"の中国語訳,日本語訳,韓国語訳,スペイン語訳が表示さ
れ,"概 要"をクリックすると,日本語の内容にリンクされています。

現状は,ABOUT TL 9000, HANDBOOKS, TL 9000 REGISTRATION を主体に18種の
文書の和訳に留まっており,リンクを進めていくと,或る部分からは英文にな
ってしまいますが,翻訳チームでは,TL 9000認証に関る全ての文書を対象に,
状況に依っては,今後も翻訳活動を進めていきたいとのことです。


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●知識活用型企業への道「QMSにおける知的資産運用への取り組み」
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前回は,QMS の記録を学習に活用してはどうかというお話をしました。
企業の経営目的を実現するためにQMS が有効に機能するためには,人,もの,
金と一般的に言われている経営資源がまずは必要です。また,最近では時間も
競争環境の中では貴重な資源といわれています。それら経営資源を使ってQMS
により製品やサービスを顧客に提供していくことになりますが,そのためには
最も重要な人的資源の質と量がQMS のアウトプットの質に大きく影響を与える
ことは当然のことだといえます。そこで,今回は教育・訓練について少しお話
をしたいと思います。

経営資源の提供は,ISO 9001では6項「資源の運用管理」で述べられています
が,その中の「人的資源」の「力量,認識及び教育・訓練」に関連する内容で
す。
ISO では必要な力量を明確にすることから始まり,その力量を持てるように
教育・訓練することを求めていますが,当たり前のように見えることですが実
際には非常に難しいものです。経済産業省・厚生労働省・文部科学省の「2007
年版 ものづくり白書」によれば,ものづくり人材の育成にはOJTによるところ
が大きいのですが,多くの企業でOJTがうまくできないと報告されています。

そして技能伝承について計画的OJT が実施できない理由として「業務が多忙で
時間がとれないから」が64.2%,「計画立案ができないから」が39.1%,「指導
する人材がいないから」が29.2% と報告されています。この調査結果をみます
と教育・訓練の必要性は十分に分かっているけれど時間がとれないという現実
が見えてきます。さらには,教育・訓練の計画が立てられないとか,指導する
人材がいないなど,教育・訓練の基本となることもうまくできていないことが
明らかになっています。この結果をみると,QMS の仕組みとして教育・訓練を
適切に行うことは容易でないと見えます。

一方で,外部の講習会などに参加して新たな知識を獲得することも重要です。
しかし,講習会に参加すれば必要な知識が得られるとは限らないことを皆さん
も体験されていることと思います。その原因の一つが教える側の経験と,受講
者側の経験の違いが考えられます。経験的に学んだことがその個人の学習の基
盤となる場合が多いので,そこに違いがあると講演会を聞いたとしてもうまく
学習できないことがあります。実務に必要な知識には,「知的に知る」と「体
験的に知る」という二つタイプがあることを知っておくと便利です。
専門的な知識は「知的に知る」行為ですが,実行する段階では「経験的に知る」
ことが重要です。この二つを兼ね備えて初めて企業活動に貢献できると言えま
す。

このように学習と知識の獲得についてさまざまに研究されていますが,課題の
一部を次に紹介いたします。

一つ目は,技能やスキルに関連するものでその人材の資質に影響を受けるため
同じように教育・訓練をしても効果が全く違うことです。例えば,デザインな
どは先天的なセンスが必要でありだれしもができるものではないことです。こ
れは才能に起因するものです。

二つ目は,「学習水平」といわれる課題です。現場で試行錯誤しながら体験を
とおして学ぶ場合において自分が行った行為が,どのような結果に結び付いて
いるか必ずしも知ることができない場合があり,フィードバックを受けながら
学習する場合その範囲に水平線があるのだという考え方です。個々の活動で
QMS は機能するのですが,個々の活動が全体の結果にどのように貢献している
のか分かりづらいため,どの程度貢献しているのか把握できないことです。
また,時間的な水平線としては,行った行為が必ずしもその段階で結果が出る
ものでないことが挙げられています。長い時間を経て初めてその効果が確認で
きる場合があるということです。すなわち,教育・訓練の成果はいつどのよう
に出てくるかわからないということを述べています。ゆえに,できるかぎり早
めにフィードバックを何らかの形で教育・訓練の成果を見せてあげると効果が
上がりそうです。

三つ目が,「熟練した無能」といわれる課題です。成熟した組織が陥りやすい
課題とも言えるのですが,現状を維持し変化することをさけることと言えます。
このような状況では学習機能は,その組織の好ましい方向を強化する部分のみ
に集中することになります。これを補償的フィードバックと言います。すなわ
ち,強いところをだけを強化し弱いところを補強しようとは思わない行為に結
びつきます。

四つ目が,「敵は向こうに」シンドロームです。問題が発生するとその原因を
組織外部に求める傾向を示しています。問題は他にあり自分たちには問題はな
かったと考える傾向です。

このように,教育・訓練にかかわる課題はOJT を実施するにしても講座などで
行うにしても多々ありそうです。これらを配慮しながら教育・訓練の計画を見
直すことが必要になるかもしれません。教育・訓練にかかわる最も基本的な要
素は,前回も述べた教え側と教えられる側の知的協力関係です。これは,教え
られる側が学ぼうとする学習への思いがなければどうしようもないということ
です。これは受講者側の主体性の問題ですが,少し難しい表現になりますが,
受講者側が「経験をもとに能動的に知識を形成する」努力をしなければ知識は
獲得できないということです。
紙面の関係で詳述することは避けますが,ISO 9001の 6項を実現することは大
変なことだといえます。


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●編集後記
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 2011年3月11日 14時46分,この時を境に日本ではこれまで経験をしたことの
ない規模の地震・津波,そして,原発事故と,日本にとって最大の緊急事態に
陥りました。

現場での救援活動をはじめ,義援金活動には著名人も積極的に参加し,これほ
ど日本が一つとなって活動しているのは,とても頼もしく感じます。
また,海外からも人道的見地からの様々な形での援助があり,誠にありがたく
思います。

この中,東京電力管内では電力供給の制限を受けて,計画停電をせざるを得な
い状況となり,今夏は電力の需要に対して8割程度の供給能力となる見通しと
なっています。
これに対して,様々なところで自主的な節電が行われ,街中では「いま一番
早く届く救援物資は電気です」と書かれたポスターも目にします。
被災地や医療機関など,ほんとうに電力を必要としているところに届くよう
ひとりひとりが節電を実践しなければなりません。

電力供給はすぐに改善されるものではありません。知らず知らずのうちに電気
を使用し便利になった生活ではありますが,この機に「無駄なもの」「必要な
もの」を今一度見直して,エコなスタイルにしなければならないと思います。

また,会員の各社におかれましては,計画停電などで仕事に支障をきたして
いるところも多いと思いますが,会社としてできること,個人としてできるこ
とを考え,この危機を乗り越えるべくしっかりと実践していきましょう。

最後までお読みいただき,有難うございました。


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──「QMSを経営に活かしたいあなたに贈る」──

* 配信追加は下記にお知らせください。
 mailto:qmsmelg@ciaj.or.jp
* 発行:一般社団法人 情報通信ネットワーク産業協会
    QMS委員会メルマガ編集部
 http://www.ciaj.or.jp/top.html
 http://www.ciaj.or.jp/qms/(QMS委員会ホームページ)
* 発行責任者:QMS委員会メルマガ編集部事務局(菅野 清裕)
* 皆様のご意見・ご要望をどしどしお寄せください!
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