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    「QMSを経営に活かしたいあなたに贈る」 QMS委員会

      「充実の戦略セミナー,見学会,QMSの糧が満載です ! 」

                      2010年11月29日発行 第40号

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ CIAJ ━
≪ 第40号 目次 ≫

 ・はじめに
 ・結果報告:QKM レベルアップセミナー『信頼性データ解析講座』
 ・結果報告:QMS 戦略セミナー『バランススコアカードの基礎から構築まで』
 ・ISO 9000の改訂動向「ISO規格類の妥当性確認情報と今後の動きについて」
 ・TL 9000コーナー 「役立ち情報(TL 9000規格から得られる気付き情報)」
 ・知識活用型企業への道「QMSにおける知的資産運用への取り組み」
 ・トピックス  「企業価値を高める「品質経営」」
 ・編集後記

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●はじめに
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このところ,東京近辺でも朝の気温が10℃以下となったり,富士山の雪の量も
増してくるなど季節の変わり目を感じる今日この頃ですが,会員の皆様には
いかがお過ごしでしょうか?

この時期,昼間は赤や黄色に色づいた鮮やかな紅葉,夜はクリスマス仕様のき
れいなイルミネーションと,仕事疲れの目を癒せる自然と人工の美が堪能でき
得した気分になります。

QMS委員会では,10月より定評ある「信頼性セミナー」,BSCセミナー」,
そして,好評に応えて「全日空異業種見学会」の第2弾といろいろなイベント
を開催しましたが,皆様はご参加いただけましたでしょうか?
それぞれに気づきや感動があるもので,今後開催のイベントには多数のご参加
をお待ちしております。

参加ということでは,次期のISO 9001の改正検討を前に,ISO 9000ファミリー
のユーザ調査が始まりました。これまでの妥当性確認への積極参加などからの
期待からか,QMS委員会に協力の依頼がきております。
よりよいQMSに向けて会員企業のみなさんの声を反映させませんか。

それでは,メルマガ第40号をお楽しみください。


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● 結果報告:QKM レベルアップセミナー『信頼性データ解析講座』
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10月8日,QKMレベルアップセミナー『信頼性データ解析』を開催致しました。
当日は品質保証,品質管理部門,開発部門の方から18名の参加をいただきまし
た。

本セミナーは,QMS 会員企業の現役品質管理エキスパートが講師を務め,信頼
性の見方,考え方についてワイブル確率紙や累積ハザード紙を使った演習で体
得していただくメニューで,アンケート結果に基づき毎年テキストの見直しを
図っております。

講者アンケートでは,「よかった」(67%),「ややよかった」(17%)と,全体の
84%から好評をいただきました。

ワイブル解析などの信頼性データ解析は市販のツールを使うと簡単に答えが出
てきますが,確率紙を使った手作業での演習によって理解が深まったとの意見
もいただきました。その他,多数の貴重なご意見もいただいておりますので,
次回に向けて更なるブラシュアップをして参ります。

 受講者アンケート結果は,下記の会員専用サイトからご覧いただけます。

 <会員専用サイト(ID,PWが必要です)>
 http://www.ciaj.or.jp/qms_m/pdf/101008.pdf


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● 結果報告:QMS 戦略セミナー『バランススコアカードの基礎から構築まで』
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11月1日〜2日,今年もBSCの国内第一人者の横浜国立大学大学院の吉川武男
名誉教授をお招きして,『バランススコアカードの基礎から構築まで(定員制
2日間コース)』を開催致しました。
今年のQMS委員会は「QMSをいかす」をテーマに活動をしております。
そこで“Change! あなたを磨く2日間〜マネジメント時代の企業人のための
BSC的思考の体得”と題してQMSをいかす人づくりの場として実施致しま
した。

この講座は,今年で7年目になりますが,受講者の意見をひと言で表すと,
「難しかったけれど大変満足です」という一風変わったコメントになります。
アットホームな環境のなかで演習時間が7割を占めるカリキュラムは,BSC
の基本と構築のためのステップの講義と,少人数のグループ演習で構成され,
受講者の皆さんにとにかく考えてもらうことを重視し,吉川先生のアドバイス
により知恵を引出してBSCを構築してもらうというやり方を採用しています。

BSCは,様々な視点から,ビジョンと戦略の因果関係を明確にすることで
企業体質の強化とビジョンの達成を図る手法です。
確実にプロジェクトを進行させて成果を得ることが当たり前の使命である企業
活動に共通する考え方やテクニックが満載されています。
さらに演習体験を通じて,達成感を含めた高い満足度評価を戴いております。

また,受講後のアンケートでは率直なご意見を多数頂戴致しました。受講者の
力量アップが図れるよう次年度に向けてフィードバックをして参ります。
受講者アンケートの結果は,以下の会員専用サイトからご覧戴けます。

 <会員専用サイト(ID,PWが必要です)>
 http://www.ciaj.or.jp/qms_m/pdf/101102.pdf


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●ISO 9000の改訂動向「ISO規格類の妥当性確認情報と今後の動きについて」
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11月に品質マネジメント規格国内対応委員会(TC176) が開催されました。報告
された内容は,前回のボゴタ会議の内容と次回シドニー総会に対する日本案の
確認でした。

ボゴタ会議では,TC176 の戦略計画としてISO 9000ファミリーと社会との相互
関係について“ISO 9000エコシステム”として捉える方向が出されました。

また,ISO 9001/9004の発行に伴い用語定義 ISO 9000の改正を日本が提案しま
した。さらにFuture 9001 TGでは,20のコンセプトを検討しています。

一方,支援技法として開発中のISO/TC 1004(顧客満足の監視・測定),
ISO 10018(人の側面),ISO 19011(マネジメントシステム監査),ISO 10008
(電子商取引)の進捗報告がされました。

★なお,現在ISO 9001の次期改正がスタートしています。その準備として
ISO 9000シリーズの関するWebによるユーザ調査が開始されました。
委員会の席上で情報通信ネットワーク産業協会へも調査参加を依頼されました。
調査サイトは以下の通りです。皆様のアンケート調査への協力をお願いします。

 <調査サイトURL>
 http://www.jsa.or.jp/stdz/iso/iso9000.asp#4

 ユーザ調査の問合せ先
  (財)日本規格協会 規格開発部 規格第三課
   品質マネジメントシステム規格国内委員会事務局
   電話:03-5770-1569  e-mail:cstd@jsa.or.jp


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●TL 9000コーナー 「役立ち情報(TL 9000規格から得られる気付き情報)」
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◆TL 9000WGでは,TL 9000セクタ規格から役立つ情報として気付きを得られる
 キーワードの抽出を検討しています。規格要求事項の背景まで遡り,組織に
 とって有効であり QMSに取り込むと良いと考えられるものを抽出し分析して
 います。まだまだ検討段階ですが,その一部をご紹介いたします。

 (1) BCP(事業継続性)
   …社会ニーズ,および電気通信業界の持続可能性への全面的なサポート
    として災害復旧,クライシスマネジメントの考えが取り入れられてい
    ます。
 (2) ESD再教育
   …ESD対策の新しい技術に伴う再教育の方法と頻度の検討
 (3) 供給者のパフォーマンス管理
   …TL9000を優先して外注管理を調整するというサプライチェーンマネジ
    メントの考え方

◆「TL 9000 品質マネジメントシステム 測定法ハンドブック リリース4.5」
 の邦訳版が日本規格協会から10月に発行されました。
 この翻訳作業にはクエストフォーラム日本ハブからの協力要請を受けて,
 当 QMS委員会 TL 9000WGメンバーも参加しました。
 リリース 4.5の主な変更点は,ISO 9001:2008を反映したTL 9000要求事項ハ
 ンドブックリリース 5.0と整合したこと,測定法の更新,製品分類表に新規
 追加を行なったこと等です。


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●知識活用型企業への道「QMSにおける知的資産運用への取り組み」
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10月に名古屋で開催されたCOP10(生物多様性条約) の会場に,ひょんなことか
ら会場を訪れる機会に恵まれました。

もちろん国際会議に参加するわけではないので周りの展示場を見学するだけで
した。開会日であったせいかNHK のテレビ中継をはじめ多くのマスコミが取材
に来ており,その雰囲気だけは感じることができました。

前回のメルマガでは,QMS の中のリスクを不確実性と不確定性の比較を通じ考
えてみましたが,そこで今回は多様性について少し考えたいと思います。

多様性とは,「幅広く性質の異なるものが存在すること」(Wikipedia),多様
「いろいろ異なるさま,異なるものの多さ」(広辞苑)などと説明されており,
何か複雑なものをイメージしてしまいます。

一方で,複雑性に対応する逆の言葉は何でしょうか。単純,均一,特化,特殊
化などが思い浮かびますが本当でしょうか?

多様であることと単純は,相反する概念でしょうか。単純でありながらも多様
なものはないのでしょうか?などなど疑問がわいてきました。

ベトナム政府から派遣されてきた留学生が友人にいますが,彼女のお母さんは
家や財産は爆撃されると一瞬でなくなるという戦争時代の経験をもとに,絶対
になくならない財産は知識であるとして子供さんたちを教育したそうです。

この例では,知識はその使い方により,さまざまな分野に使え多様的なもので
あると理解できます。幅広く性質の異なる知識を得ておけば,その組み合わせ
でその応用範囲はいくらでもあります。

あるとき,高校生のグループにお話をしてくださいと頼まれたので,この例を
使ってお話をさせていただきました。「私は自分の将来を考えると,例えば数
学を使うことはないのでそれを学ぶことの意味が分からない」と考えるのは間
違えであると述べました。何故ならば,その時点でその人の将来の多様性の一
部を失うことであるとお話しました。その時点で無駄と思えることでも将来の
多様性を確保するためには努力が必要ですとお話ししました。(現在価値と将
来価値の話です)

ここで言いたいことは,多様性を保つことは努力が必要であるということです。
多様性をバラバラで放置された無秩序な状態と理解してはいけないと思ってい
ます。多様性とは,異なった性質のものを併存させるので大変苦労することで
す。その意味で現在最適ではありません。

ここで話をQMS に戻しますが,QMS は業務を単純化することでしょうか。手続
きを決めて形にはまった業務を強要するものでしょうか。QMS は多様な考えや
行動様式をもつ人々を制限するものでしょうか。少し考えてみるとQMS のあり
方が見えてきそうです。QMS は,組織の中にある多様のものを,うまく組織の
目的に結びつけるために必要なものと考えたらいかがでしょうか。

個々の特性を活かし,まとめる仕組みとしてQMS の役割を考えると,QMS が単
純化を促進するのではないと見ることができます。

むしろ多様性を許容するために仕組みが必要であると考えると,QMS の存在意
義もありそうです。

多様性を組織的に活かすには,組織自体が多様性を持っていなければならない
とする「最小有効多様性」という原理がありますが,すなわち多様性を持たな
いものは,多様な物事を理解できないので,QMS の構築に当たる人々は業務の
多様性について理解する必要がありそうです。単純にISO 規格要求事項だけを
理解しても,意味がないことです。

恐竜は隕石衝突後の地球環境の急激な変化に対応できず滅亡したとされていま
す。一方で,哺乳類はうまく対応できたので哺乳類は繁栄したといわれていま
す。恐竜はその時の温暖な地球環境下で最適化した勝者でしたが,哺乳類はネ
ズミ的なものでしたので非常に劣位(すなわち敗者)でした。しかし,その後
の環境変化により,恐竜のように特化できなかったことが幸いして,その後の
環境変化にも対応でき,生きのこり,その後の繁栄に至ったとされています。

この例は一度特化すると,それを捨て去ることは非常に困難となることです。
むしろ,哺乳類のように何も特化していなかった(多様性を持っていた)方が,
変化に対する選択肢が多かったといえます。哺乳類は何も特化しなかったため,
その後の世界で繁栄を築くことができたと見えます。

ここで,何も特色がないことが最大の特徴だと思われても困るので少し補筆し
ますと,いつでも特化できる能力を維持させながら特化しない状態と,何をや
っても特化できない状態とは違うということです。少し面倒な説明をするなら
ば,エントロピーの世界です。(エントロピーとは熱力学のものですが,簡単
に言えばデタラメさとおもってください)海の水が持っているエネルギーは,
その量の大きさから大変なエネルギーを持っています。しかしながら,それを
利用しようとしてもエントロピーが大きく利用がむずかしいエネルギーです。

一方で,温めた水は,エントロピーが小さくなり高圧になりますので機関車も
動かせます。利用しやすいエネルギーになります。エネルギー量が同じでも,
エントロピーが違えばその利用価値はまったく異なることを理解していただけ
ればと思います。これはQMS にも同じアナロジーが使えそうです。
(エントロピーに興味がある方は,シャノンの情報理論も参考にしてみてくだ
さい。彼は情報量について述べましたが情報の質には言及していません。)

ここで,話を整理すると多様性と特化は矛盾しないように思っています。むし
ろ多様性を持つことが特化を促進するもとになるということではないか思える
ので,簡単に述べてみました。みなさんにはQMS の関連でお考えいただければ
と思います。

今回の話は,本当は多様性とサステナビリティだけでなく,単純化とサステナ
ビリティについて話を進めたいとおもい筆をとったのですが,前座の部分で紙
面が足りなくなりました。次の機会にでもお話しできればと考えています。


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●トピックス  「企業価値を高める「品質経営」」
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オリンパス株式会社 代表取締役社長 菊川 剛氏の講演を紹介します。

・日時 平成22年10月18日

・場所 都市センターホテル

・主催 平成22年度 標準化と品質管理全国大会 日本規格協会主催

・講演概要

 <企業価値>
  企業価値とは: 財務的体質+企業体質(知的資本価値)
  企業価値の最大化は,株主価値の最大化ではなく,
  全ステークホルダの価値の最大化。
  全てのオリンパスのステークホルダの皆さんが
  オリンパスとの関係に誇りを持ち,
  オリンパスと信頼の絆を結び,
  お互いがWin,Winの関係を築く。
  →ブランド経営

 <品質と環境>
  ・品質理念
   世界一流のトータルクオリティを実現
   最高品質の商品とクオリティとサービスの提供

  ・環境理念
   「オリンパスは人々の安全,健康とそれを支える自然のいとなみを尊重
   し,環境と調和する秘術の開発と事業活動を通して,持続的発展が可能
   な人間社会と健全な環境の実現に貢献します。」

 <徹底三原則>
  (1)やるべきことはやる。
  (2)してはならないことはしない。
  (3)リ−ダーは自己規律をしっかりして,リーダーシップを発揮する。

 <社長方針>
   スピード最優先
   バスの前を走れ。
   おみこしを全員で担ぐ。

・所感
 品質経営に関しては,ここで紹介された理念が現場にどれだけ浸透している
 かで実現の度合いは左右されますが,「品質は経営の要諦」と認識する社長
 の元,徹底三原則が分かりやすく,現場の力になっていると感じました。

参考文献
 「標準化と品質管理」2009年11月号に関連記事掲載。


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●編集後記
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東京地方でもきれいな紅葉が見られるようになり,秋の深まりを感じますが,
気温が下がってくるとお酒が美味しく感じる方も多いのではないでしょうか。

実はこの私,今号の記事にある吉川先生のBSCセミナーにチャレンジをして
みました。先生の講義を聞いた後に用意された様々なシチュエーションのケー
ススタディを少人数でグループ演習をする2日間のセミナーでしたが,普段
使わなくなってしまった頭を酷使し,なんとか纏めて発表にこぎつけることが
できました。

結構本気で取り組んだおかげで最後にはずいぶんと疲れましたが,成果として
ビジョンを掲げ,戦略を立て,目標達成のため首尾一貫した行動計画を立案
することの重要性を理解することができました。

そして,参加者が達成感を感じているところに,吉川先生にご持参いただいた
日本酒を飲みながら歓談をして終わるというおまけ付で,この時の染み入る
ようなお酒の味は格別でした。
充実した2日間で,心よりチャレンジしてよかったと思いました。

いよいよ師走です。忘年会やクリスマスなどでお酒を飲む機会も増えることと
思います。是非,美味しいお酒,楽しいお酒にしたいですね。
また,飲み過ぎにはくれぐれもご注意ください!

最後までお読みいただき,有難うございました。


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──「QMSを経営に活かしたいあなたに贈る」──

* 配信追加は下記にお知らせください。
 mailto:qmsmelg@ciaj.or.jp
* 発行:一般社団法人 情報通信ネットワーク産業協会
    QMS委員会メルマガ編集部
 http://www.ciaj.or.jp/top.html
 http://www.ciaj.or.jp/qms/(QMS委員会ホームページ)
* 発行責任者:QMS委員会メルマガ編集部事務局(菅野 清裕)
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