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    「QMSを経営に活かしたいあなたに贈る」 QMS委員会

  「 2010年度も“QMSをいかす”ための情報提供と活動に邁進します! 」

                       2010年3月31日発行 第36号

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≪ 第36号 目次 ≫

 ・はじめに                              
 ・JAB/ISO 9001公開討論会ご報告
 ・異業種見学会ご報告「味の素株式会社・川崎工場」        
 ・QMS戦略セミナーご報告「バンダイにおける品質・安全への取り組み」 
 ・ISO 9000 改訂動向
  「ISO規格類の妥当性確認情報と今後の動きについて」
 ・TL 9000コーナー「TL 9000要求事項R5.0の改訂背景について」
 ・知識活用型企業への道「QMSにおける知的資産運用への取り組み」
 ・編集後記                              

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●はじめに
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桜前線が北上し,着実に春が訪れています。

会員の皆様は,年度の変わり目で慌しくお過ごしのことと思いますが,
今週から来週にかけ,お花見にお出かけになる方もいらっしゃると思います。

満開の桜は自然の力を感じると共に,一つ一つの花を眺めますと桃色の小さな
花が集まって懸命に咲いている姿が繊細で癒しを覚えますね。

関東ではもう散り桜の桜吹雪でしょうか?これもまた風流です。
皆様もちょっと普段の生活にうまく四季を取り入れてリラックスして下さい。

さて,QMS委員会では,一人でも多くの会員の皆様に,新たな気付きや業務の
継続的改善につなげて頂ければと思い,各種教育事業や情報展開を行っており
ますので,引き続きよろしくお願いいたします。

それでは,メルマガ第36号をお楽しみ下さい。


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● JAB/ISO 9001公開討論会ご報告
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3月15日にビッグサイトで開催された「第16回JAB/ISO 9001公開討論会」に
参加しましたので, その一部を紹介致します。

今年のテーマは「ISO 9001認証の社会的意義と責任」でした。

今年度は, 一昨年度の「ISO 9001認証を考える」, 昨年度の「審査を変える
〜QMS 認証の価値向上〜」というテーマのもとで検討した内容を引き継ぎ, 
認証の社会的価値と信頼性の向上に寄与するために, 組織・認証機関・審査員・
認定機関がそれぞれ担う役割について研究した成果の紹介・発表でした。

■基調講演
 「ISO 9001認証の社会的意義と責任」  東京大学教授 飯塚 悦功 氏
 ISO 9001認証制度の目的,制度利用者の期待, 制度の質についての検討を基
 礎に"ISO 9001認証制度の社会的意義, 責任"を再認識し,関係者がどのよう
 な行動をとるべきかを, ISO 9001適合とは何か, 組織による実証とはどのよ
 うな状態かを考察し3つのWGのテーマに導いている。

■JAB/ISO 9001研究会報告
 WG1〜WG3から以下の3テーマの報告がありました。

 WG1:求められるQMS能力
   〜QMS運営能力を有していると判断するための審査〜

  ISO9001の意図に適合していることを確認するにはどのような審査を行う
  べきか。
  ISO 9001 QMSモデルの意図は何かをISO 9001:2008 1.1 a)b)に言及し,
  「あるべきISO9001認証審査」のやり方を仮定し, その為の「QMS能力評価」
  をどのように行うかの考察。

 WG2:認証付与の判断基準
   〜認証機関によるISO 9001適合の判定〜

  第三者制度の現在の枠組みを尊重, 現在使用されている規格,基準に準拠
  して, 認証付与の判定基準にとどまらず, 認証機関の活動全体に焦点を当
  て, 認証付与決定に必要な機能・体制・情報についての研究, 提言。

 WG3:組織によるISO 9001適合の実証
   〜組織自らによる能力の実証とそのメリット〜

  組織自らがISO 9001への適合状態の確認を自律的に実施し, その内容を認
  証審査においても提示することが, 認証を受ける組織の社会的責任である
  との認識のもと, 自らの能力の実証方法とそのメリットについての考察。

■パネルディスカッション
 今年も昨年同様, 当日の意見交換をスムーズに進めることを目的に, 事前資
  料を公開し, 質問を求めていた。質問は全部で21, 当日会場からは関連す
  る質問はあったものの, 新たな質問はありませんでした。

当日公開された資料は, JABのホームページに掲載されておりダウンロード
することが出来ます。是非, ご一読ください。

URL : http://www.jab.or.jp/news/2010/10010400.html

また, 当日の質問と回答が掲載されることになっています。


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● 異業種見学会ご報告   「味の素株式会社・川崎工場」
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3月5日,味の素株式会社・川崎工場を訪問し見学会を実施しました。

川崎工場では,「味の素」の原料・作り方の紹介,「ほんだし」「CookDo」の
製造ラインや資料展示室の見学を通じて,原料調達から最終製品までの工程の
流れを学ぶとともに,実際に試飲して旨味調味料の効果を確かめるなど,
食品メーカーらしい見学となりました。

川崎工場の見学コースは大変よく整備され,製品を作る工場としてだけでなく,
消費者に見せる工場としての取り組みとして,高級料亭に案内されたような印
象を受けるコース設定や,食品加工見学の中では「食の安全」「環境貢献」を
訴求するなど,消費者視点での工夫がされていました。

 受講者アンケート結果は,下記の会員専用サイトからご覧戴けます。

 <会員専用サイト(ID,PWが必要です)>
 http://www.ciaj.or.jp/qms_m/pdf/100305.pdf


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● QMS戦略セミナーご報告「バンダイにおける品質・安全への取り組み」
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3月10日,株式会社バンダイ・プロダクト保証部 川元 真一 様をお招き
して,『バンダイにおける品質・安全への取り組み』というテーマで講演を
いただきました。

バンダイでは,約350項目にも及ぶ「バンダイ品質基準」を制定し,
生産協力メーカーを含めた製品安全に関する教育・情報提供を行うとともに,
基準検討会/基準審議会を年間24回実施して品質基準の更新・維持に
注力するなど,玩具メーカーとしての品質・安全への取り組みについて紹介が
ありました。

講演後のフリートークの場にも多数の参加を戴き,特に安全に対する取り組み
や課題について活発な議論が行われ,関心の高さが伺えました。

 受講者アンケート結果は,下記の会員専用サイトからご覧戴けます。

 <会員専用サイト(ID,PWが必要です)>
 http://www.ciaj.or.jp/qms_m/pdf/100310.pdf


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●ISO 9000の改訂動向「ISO規格類の妥当性確認情報と今後の動きについて」
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3月16日「ISO 9004 組織の持続的成長のための運営管理 −品質マネジメント
アプローチ 規格説明会」東京 自治労第一会館で開催されました。

プログラムは,
 (1) ISO 9004 改正の経緯及び全体構成
 (2) ISO 9004 規格構成と改正の要点について
 (3) JISQ 9005/9006 (ISO 9004との比較を含む) JIS改正の動向について
 (4) 品質マネジメントシステム自己評価について
でした。

会場は満員の状態で,関心を持たれている方が少なくなかったといえます。


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●TL 9000コーナー「TL 9000要求事項R5.0の改訂背景について」
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TL 9000WGでは, TL 9000セクタ規格から役立つ情報の抽出を検討しており,
その一環として,3/2(火)に研修機関テクノファから,要求事項R5.0改訂内容
の講習を受けました。この場では,規格の文面からは読み取れない規格改訂の
背景も聞くことができ,非常に有益なものでした。

上記講習の情報から,TL 9000の進んでいる方向を推測してみると,
“TL9000を普及させるため, 他の規格との整合”が窺えます:
 (1)環境保護への配慮 … 持続可能性,製品廃棄を含めたLCMの強調
 (2)TS16949自動車規格の取込み … SCM,根本原因分析の強調
 (3)CMMI品質フレームワークの取込み
              … リスクマネジメント/過去の教訓の強調
 (4)BCP事業継続性 … 災害復旧,クライシスマネジメントの強調

TL 9000規格を開発するクエストフォーラムとしては,電気通信業界の持続
可能性への全面的サポートが,要求事項「7.1.C.3製品寿命終了計画」や,
「7.4.1.C.2 供給者のパフォーマンス管理」の規格改訂の背景に滲み出ている
ようです。

更に,注目すべきは,要求事項「6.2.2.HV.1要員の適格性」の注記に,ラボ
での作業プロセスが記載されたことです。
“組織には,要員の格付け及び格付けが必要と思われるが,安易に見逃しがち
な例を想起させる。事実,ラボでの作業は,ESD保護や校正への適用がしばしば
見逃されがちである。 たとえ,一般運用製品を常時扱っていないとしても,
ラボでの作業は,潜在的欠陥を持ち込んだり,試験結果に影響することにより,
依然として製品の出来栄えに影響を及ぼす可能性がある”
と示唆されており,国内の製造メーカーも一目おくべきではないでしょうか。


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●知識活用型企業への道「QMSにおける知的資産運用への取り組み」
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前回は, 疑似暗黙知として文書化されていない知識の重要性を述べました。
また,それらを文書化することにより,新たな気付きを与えてくれると述べま
した。今回は現場の知識とQMSとの関連を少し述べたいと思います。

企業の活動現場では,手順化された段取りとともに現場の知識が多く使われて
います。これらの知識は経験知も含め成文化できない知識,もしくは成文化し
ていない知識が少なくありません。しかし,成文化されていない知識は QMSに
関連付けることが難しく,組織的にそれらを活用することがうまくできません。
これらは主に,属人的な関係でやり取りされます。組織規模が小さく知識を持
つ相手が職場にいる限りは,これでもうまくいきます。しかし,その相手が異
動し退職されたらどうするのでしょうか。困ったことになりそうです。何らか
の形で知識を残しておいた方がよさそうです。

さて,知識は大きくは形式知と暗黙知に大別できます。形式知は文書など成文
化された知識であり,暗黙知は「見えない知識」ともいわれ,具体的に外部か
らは直接的に観察することもできない人間の内面にある知識です。

定形的な活動は段取りが中心であり外部から直接観測できる知識なので形式知
化しやすいものです。(段取りや手順も経験的に裏付けされた立派な知識です。)
一方で,非定形型の活動は段取りなどで表現することは難しく,さまざまな知
識を使いその都度判断しながら活動を進めるものです。この場合,その中で使
われた知識が重要な役割を担っており,手順だけでは活動の本質を述べること
はできません。この場合,手順だけを文書化しても QMSとしては価値が少ない
ものです。

このように考えると,現場の活動は手順などで成文化できるものと,そうでな
いものが混在して活動していると考えた方が妥当なようです。なんでもかんで
も成文化しようと考えるのは無理がありそうです。また,成文化ができるかど
うかという二者択一のデジタル的な考えで行うと文書化できない知識は, QMS
の中では捨て去られてしまいがちです。その結果 QMSはどこかで限界に突き当
たってしまいます。(形骸化)

そこでアナログ的に気楽に QMSを考えてみましょう。
もともと人間の内面にある暗黙知は直接外部から観察できないので,文書化す
ること自体に無理があります。一方で,実際にはこのよう知識も現場では多く
使っており,文書など成文化された知識と暗黙的な知識が混在し使われている
のが QMSであると考えてみましょう。
その場合 QMSとしては,どのように対応したら良いのでしょうか。

それでは,ここで知識活用型プロセスを例として考えてみましょう。まず,漠
然としたアイディアから始まった企画が,レビューや審議などのステップを経
て,何らかのもの,例えば回路図やデザインなどに実現していくとします。
まず,最初のアイディアの段階では,活動に使われる知識は概念的であり,あ
いまいで暗黙的な知識が中心です。このような知識で組織的な活動を行うこと
は困難です。相変わらず属人的な関係でしか活動できません。さて次のイベン
トでは,関係者の知識を集め活動し,前よりはより具体的に成文化されてくる
でしょう。このように段階を経て漠然としたアイディアから,製品を実現する
ことができる具体的な知識へと変化していくことに気がつかれるでしょう。
暗黙的な知識から,組織的に活用できる文書化された知識へと知識の状態が遷
移していくのが,知識活用型プロセスの特徴です。

もう,お分かりのとおり知識活用型活動は,暗黙的な知識を集め,それを形式
知として成文化するプロセスそのものです。このように考えると,知識活用型
企業の QMSがなすべき働きへのヒントがありそうです。段取りだけではありま
せん。知識活用型活動のプロセスからアウトプットされるのは知識です。また,
インプットも同じく知識です。インプットされる知識は規格や標準など形式知
化された知識だけでなく,経験的な知識や直感など暗黙的な知識もあります。
段取りや手続きだけでは新しい知識は創出することはできませんから,優れた
多面的な知識がインプットとしてそのプロセスに投入されることが必要です。
知識活用型プロセスでは,まず,投入される知識のマネジメントが知識活用型
QMS にとって非常に重要な要素といえるでしょう。少し話が面白くなってきま
したが,紙面の制約で今回はここまでにします。皆さんも一度考えてみてくだ
さい。


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●編集後記
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春は,別れ,出会いと節目の季節といわれます。冬の墨絵のような風景から,
梅,桃,桜の花が咲き一気に明るさのあるカラフルな様相に変わります。
一方で,寒い時期にはくっきり見えていた遠くの山の稜線が,なんとなくかす
んで見えてくるのもこの時期です。

この春,東京では異彩を放つ景色が見られます。そうです。2011年に完成予定
の東京スカイツリーです。完成すると高さ634mの世界一の自立型電波塔にな
るようですが,今週の報道では,338mの高さとなり国内最高の高さになった
とのことです。

暗い話の多い今,戦後の復興から高度成長期へのシンボルとして東京タワーを
見ていた”ALWAYS・・・”の如く,建設途中の姿をカメラにおさめようと
する方たちでにぎわっているようです。

今しか見られないすくすくと伸びていく東京スカイツリーの姿は,一見の価値
があり,近くで見ると結構感動モノです。晴れた日に出かけてみては如何です
か。本号も最後までお読み戴きありがとうございました。


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──「QMSを経営に活かしたいあなたに贈る」──

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