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    「QMSを経営に活かしたいあなたに贈る」 QMS委員会

      「QMS委員会は2009年度も価値ある情報発信を続けます!」

                      2009年7月31日発行 第32号

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≪ 第32号 目次 ≫

 ・はじめに
 ・2009年度 QMS委員会役員のご紹介
 ・総会特別講演会から
  「企業体質を変える!『知識活用型QMSの構築』」
  「当社がオプティマイゼーションにこだわる理由」
 ・ISO 9000 改訂動向
  「ISO規格類の妥当性確認情報と今後の動きについて」
 ・TL 9000コーナー「TL 9000 R5.0改訂情報」
 ・知識活用型企業への道「QMSにおける知的資産運用への取り組み」
 ・横浜国立大学吉川名誉教授によるBSC構築セミナー開催のご案内
 ・編集後記

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●はじめに
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2009年度QMS委員会委員長の青柳礼子です。
どうぞよろしくお願いいたします。

梅雨明け宣言はされたものの,すっきりとしない空模様が続いていますね。
この時期は,暑さよりも湿度が我慢できずに,ついクーラーに頼りがちです。
体調を壊しやすい時でもありますので,会員企業の皆様も健康管理には十分
配慮して,元気に夏を乗り切って下さい。

ところで子供たちはもう夏休みですね。40日間の休暇は羨ましい限りです。
一方,社会人になると一週間程度の休みです。しかし,少ないからこそ普段
出来ない体験をしたり,行けない所に出掛けたり休みを満喫したいものです。
私も,工場見学など,子供と一緒にできるイベントを計画しています。
QMSの運営にも通じることですが,経験することは人を成長させてくれます。

さて,QMS委員会では,先日の総会で皆様から2009年度計画・体制をご承認
頂きまして活動を開始いたしました。今年度の方針は「QMSをいかす」です。
会員の皆様にQMSがいかせるような気付きがあたえられるようスタッフ一同
頑張ってまいります。
是非ともQMS委員会へのご参加・ご協力をよろしくお願いいたします。

それでは,メルマガ32号をお楽しみ下さい。


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●2009年度QMS委員会役員のご紹介
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QMS委員会総会でご承認頂きました新体制をご紹介致します。

◆役員◆
【委員長】
  沖電気工業               青柳 礼子

【副委員長】
  東芝                  町田 淳  (新任)

【運営委員】
  アンリツ                多田 聡
  岩崎通信機               大槻 裕 (新任)
  東芝      (研究分科会主査兼務)  南部 昇
  日本電気    (普及分科会主査兼務)  斉藤 仁
  日立製作所               相澤 滋
  富士通                 橋本 辰憲
  富士通     (TL 9000WGチェア兼務)  馬渡 登
  QMS委員会フェロー(元ソニー)      山本 正

【会計監事】
  三菱電機                吉田 見岳


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●総会特別講演概要
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2008年度総会特別講演会では, 第1部は過去の失敗事例などからのQMSへの
提言,第2部では企業改革の成功事例という,いずれも2009年度テーマである
「QMSをいかす」ための気付きを与える演題を選び,ご講演をいただきました。
以下に概要を報告いたします。

<第1部> 「企業体質を変える!『知識活用型QMSの構築』」

 [講師]山本 正 様
    ・QMS委員会フェロー(元ソニー)
    ・品質マネジメントシステム規格国内委員会 (TC176)委員
    ・ISO 19011対応WG委員
    ・WICI Japan F&T委員会委員長
    ・MBA
    ・早稲田大学大学院博士課程

 [概要]

  1.ISO 9001:2008改訂の背景と有効性審議
   ・QMSの有効性を問う問題提起の元,の範囲内でISO 9001が見直された。
    -問題提起の内容は,「ISO 9001に適合していても現実に要求事項を満
     たす製品を提供できていないことがある。」である。

  2.QMSの現状 失敗事例から学ぶ
   ・現状の企業のQMSはどうなっているかをQMS委員会にて,実際の失敗事例
    を収集,分析した。分析結果は,
    - ISO 9001の章別に分析すると8章:測定,分析及び改善が半分以上。
    -「八つの品質マネジメントの原則」に照らして分析すると,マネジメ
     ントへのシステムアプローチ」原則の失敗が23%で最大であった。
   で形はできているがマネジメントとしてできていない事が分かった。

  3.知識活用型企業におけるQMS有効活用
   ・ヒト・モノ・カネが経営資源であるが,これに「情報」を加えたもの
    がマネジメントシステムである。
    知識活用型企業での QMSは,ある種の「知識・情報システム」と考え
    てみる。

   ・この情報を扱うのが情報システム:ITシステムである。
    IT投資と企業業績の間に,「投資すると業績向上する」という相関関係
    がありそうと考えられる。
    しかし,結果は統計的に有意ではなかった。
    一方,組織能力(組織IQ)がIT投資の有効性に大いに影響を及ぼして
    いることが判明した。

   ・IT投資は,システムとそれがおかれるコンテキスト(状況),即ち,
    組織文化,組織特性,タスクなどの組合せで効果が出る。
    知識活用企業では,QMSも「制度/プロセス」アプローチから,「コン
    テキストアプローチ」にきりかえる時期がきているのではないか?

  4.企業体質の変化の必要性
   ・知的資産を活用できる企業体質がなければ,知識活用型企業ではITシ
    ステムも,QMS も有効に役立たない。
   ・知識活用型QMS 構築による企業体質変化と強化を実現する。


<第2部> 「当社がオプティマイゼーションにこだわる理由」

 [講師]仙石 通泰 様
    ・株式会社 三技協 代表取締役 社長
    ・(社)神奈川経済同友会常任理事
    ・ビジネスプロセス革新協議会(BPIA)副会長
    ・慶応義塾大学 情報産業三田会 会長
    ・NPO柔道教育ソリダリティ 理事 等

 [概要]
  無線基地局設置を業務とする企業:三技協でオプティマイゼーションを構
  成する以下の3つの要素を実行した。

   1.CM(サイバーマニュアル)のエンジン=インフラ+システム+ソフトを準備
    し,見える化のための文書化(サイバーマニュアル)を行い,WEB経由
    で,いつでもどこでも入力と参照を可能とした。
    CMにより,初級者でも熟練者の'こつ'を使えるようにした。

   2.PBT(パフォーマンスブレイクスルー:問題提起→問題の解析→再設計に
    よる最適化の手法)
    作業手順の見直しで問題点を発見,解決策をみんなで考え話し合い,議
    論し,従来のやり方を変え,作業環境を改善することで作業効率を上げ
    る独自の問題解決手法を実践した。

   3.インセンティブ(社員の構造を起こさせる動機付け)を準備した。
    週間報告はアイテム別に一行のみ記述し詳細はクリックする様にした。
    顧客,戦略,競合の話も入れ,さまざまな人が情報を載せ更新しないと
    不整合になるため,更新自体がインセンティブになるようにした。

  上記の実行により以下の効果があり,組織,企業文化の変革に成功した。

   - 経営の最適化が「見える化」=「情報共有の徹底」から実現できた。
   - 知識体系(文書化)と実施手法(サイパーマニュアル)を統合できた。
   - 実業務の中身は,PBT→サイバーマニュアル→PBT→の曼荼羅となった。
   - 知識そのものではなく知識の組み合わせなので集団知となった。
   - アイデアを磨いて文書化するので企業IQを高めることになった。
   - 社員の価値観が劇的に変わった。
   - 社員が多機能化して組織能力が向上し個人のエキスパティーズをかか
    えこむ人はいなくなった。
   - エキスパティーズを分解することで,総務部も人事部も無くなった。
   - コミュニケーションが劇的に良くなった。
   - 組織学習が進んだ。
    個人→チーム→他チームの学習が進み,切磋琢磨が進んだ。


 参考文献:「社員の[一行報告]が会社を変える」仙石 通泰著 かんき出版
 三技協 URL: http://www.sangikyo.com/jp/index.html


[追記]
  第1部及び第2部の講演アンケート結果は,http://www.ciaj.or.jp/qms/
  (QMS委員会ホームページ)の会員専用ページに掲載しています。


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●ISO 9000の改訂動向「ISO規格類の妥当性確認情報と今後の動きについて」
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昨年のISO 9001の追補改正発行に伴い,現在,SEM ハンドブックの見直しが行
われています。

SME ハンドブックとは,中小企業向けの品質マネジメントシステムの活用ハン
ドブックのことですが,従来のものに対し,見直した内容は,「ビジネス」と
いう言葉を「組織」という言葉に置き換えています。ビジネスの大小ではなく
組織の大小という理解です。

( SME: Small and Medium-sized Enterprises )

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●TL 9000コーナー  「TL 9000 R5.0改訂情報」
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TL 9000 R5.0改訂版が6月末に発行されました。

今回の改訂で追加された項目は,"リスク管理"と"供給者パフォーマンス管理"
の2項目ですが,これ以外にも,従来の要求項目の内容変更が実施されており,
"危機管理"や"サステイナビリティ(持続可能性)"などが盛り込まれています。

それぞれの追加要求の言葉は短い一言ですが,その対応は一言では片づけられ
ないものがあります。

現在発行されているものは英語版ですが,秋ごろには和訳版が発行される
予定ですので,参考に一度,目を通してみては如何でしょうか。


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●知識活用型企業への道「QMSにおける知的資産運用への取り組み」
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前回は,図書館に沢山の書籍を集めたといって,利用者の知識が増えるわけで
はなく,利用者の知識を扱う知識(メタ知識)すなわちリテラシー(読み書き
能力)が重要だということをお話ししました。これは,システムが充実したと
しても,その利用者の能力しだいでシステムの有効性が変わってしまうという
ことの類推としてお話ししました。

品質マネジメントシステムも同じで,規格要求事項を満たしたからと言って企
業目的に対して有効に機能すると考えるのは皆さんがお分かりのように安易す
ぎるようです。

特に知識活用型企業では,そのシステムを使う人々の参加意識と能力が不可欠
です。コンピュータシステムの開発であれば,さまざまな約束事やコミュニケ
ーションおよび問題解決能力が不可欠であることは体感的にわかるのですが,
業務システムとなると日々システムとして認識していなくとも機能しているわ
けであり,特に体系化しなくとも何らの不便も感じないというのが現場感覚で
す。

むしろ文書化し体系化することにより矛盾が生じてしまうという現象に直面す
る場合があります。そのような場合,問題解決しないまま構築したシステムは
形だけのものとなりやすいものです。

それでは,品質マネジメントシステムを構築する意義をどこに求めたらいいの
でしょうか?それは,部分すなわち各職場では解決できない課題を全体(企業)
として解決することに意味が一つ有りそうです。各職場では日々さまざまな改
善が行われてきており部分最適化の道を突き進んでいます。しかし,部分最適
したからと言って全体最適になるとは限りませんし,場合によっては他の職場
にとって大変不都合な場合も生じるでしょう。

書面の関係で途中を省略しますが,結果的にいえばシステムとして何を目的と
するかが明確でなければ,全体最適はできないということです。認証取得を目
的とした場合,そのシステムは認証取得と維持に対し有効に機能するだけでし
ょう。他にシステムに求めるものが有るとすれば,それを明確にし,それを達
成するための“グランドデザイン”を明らかにしなければ,達成は成り行き任
せとなるでしょう。その意味で,経営者または管理責任者のリーダーシップが
不可欠となるとみています。一度,この観点からシステムを見てみると得るも
のが有るかと思います。

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●横浜国立大学吉川名誉教授によるBSC構築セミナー開催のご案内
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好評のQMS戦略セミナーの中でも根強い人気のセミナーが,今年で6年目を迎え
るこのBSC(バランススコアカード)構築セミナーです。

その秘密は何といってもBSCの国内第一人者である横浜国立大学の吉川武男
名誉教授による直接指導で,BSCの講義から構築までを習得できることです。
さらに,QMS委員会会員企業の皆さんは,無償で受講できる会員特典が適用さ
れます。

折角の機会ながら,日程調整ができないといったご要望にお応えし,今年も
早い段階での日程のご案内をすることになりました。

このBSC構築セミナーは,バランススコアカードをマスターしたい方は勿論の
こと,演習を通じて,企業では当たり前になった目標管理の基礎をはじめ,
日々の業務に大いに役立つ要素が盛り沢山で,地頭力(じあたまりょく)(*1)
を鍛えるにはもってこいの内容です。

予算を気にせず最高レベルの講義が受けられるまたとない機会です。是非,
この機会をお見逃しの無いよう受講者の選定・派遣の計画をお願い致します。
詳細については,整い次第ご案内を致します。

◆開催日: 2009年10月 5日(月),6日(火)
◆講座名: QMS戦略セミナー
      バランススコアカードの基礎から構築まで(定員制2日間コース)
◆講師:    横浜国立大学 吉川武男名誉教授
◆募集定員数: 20名程度
◆会場:    JEI浜松町ビル3階 CIAJ会議室

 *1:地頭力;物事を筋道立てて考えることができる能力
                        (Yahoo辞書より引用)


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●編集後記
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 7月22日,日本では46年ぶりとなる皆既日食が観察されました。首都圏でも雲
の切れ間から部分日食が観察できました。しかし,残念ながら当日は多くの地
域で天候に恵まれず直接観察できなかった方も多かったと思います。

当日は,国立天文台,NHK ,大学,非営利団体などで,ライブ映像または動画
をネット配信していました。私も会議の合間,ネット中継を覗いて少しだけ日
食観察の気分を味わいましたが,これもインターネット普及のお陰ですね。
日食の地域が西から東に移動することもネット中継のホームページで知りまし
た。

今回の反響で売れたのが日食グラス。世界天文年2009日本委員会の推奨として
世界天文年のホームページで紹介されると一斉に注文が殺到したそうです。
この日食グラスを製造するメーカでは年間100 枚程度しか売れず生産を止めて
いましたが,今春以降70万個を出荷したと報道されました。まさにインターネ
ットの影響力の大きさです。

そう言えば北海道東部で皆既日食が観察された46年前の1963年の11月,衛星に
よる初めての日米テレビ中継で伝えられたのはケネディ大統領の暗殺の衝撃的
な映像でした。通信技術の進歩は私たちの予測を超えた影響力をもたらします。

次に日本で見られる皆既日食は26年後の2035年。通信技術はさらに進歩し,中
継のしかたも大きく変化しているでしょうね。

本号も最後までお読みくださいましてありがとうございました。


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──「QMSを経営に活かしたいあなたに贈る」──

* 配信追加は下記にお知らせください。
 mailto:qmsmelg@ciaj.or.jp
* 発行:情報通信ネットワーク産業協会 QMS委員会メルマガ編集部
 http://www.ciaj.or.jp/top.html
 http://www.ciaj.or.jp/qms/(QMS委員会ホームページ)
* 発行責任者:QMS委員会メルマガ編集部事務局(菅野 清裕)
* 皆様のご意見・ご要望をどしどしお寄せください!
 qmsmelg@ciaj.or.jp
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