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    「QMSを経営に活かしたいあなたに贈る」 QMS委員会

    「2009年度もQMS委員会は価値ある情報発信を続けます。
                          ご期待ください!」

                      2009年 3月31日発行 第30号

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≪ 第30号 目次 ≫

 ・はじめに
 ・JAB/ISO 9001公開討論会ご報告
 ・QMS戦略セミナー結果報告『改めて問われるQMSのあり方,審査制度の課題』
 ・QKMレベルアップセミナー結果報告『信頼性データ解析』
 ・ISO 9000 動向
 ・TL 9000コーナー『TL 9000 R5.0改版情報について他』
 ・知識活用型企業への道「QMSにおける知的資産運用への取り組み」
 ・編集後記

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●はじめに
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QMS委員会会員の皆様,こんにちは。

通勤中の車窓からも,桜の花が目を楽しませてくれる季節になりました。
桜を見ると,なんだかとても日本人を意識してしまうのは,私だけでしょうか。

自宅で植えた球根も,この頃の春の陽気を感じたのか,かわいらしい芽を出し,
太陽にキラキラと輝いていました。
春ってワクワクした気分になりませんか!皆様はいかがでしょうか?

さて,先日は,日本国民の大多数が熱狂したWBCが幕を閉じました。
侍ジャパンは見事連覇を果たし,ベースボールの歴史を塗り替える瞬間でした。
選手たちは晴々しい顔をしていました。スポーツってほんといいですね〜!
その勇姿に,元気をもらった方も多いと思います。私もその一人です。

QMS委員会では、その元気を活動に活かし,引き続き,皆様のお役に立つ情報を
展開して参りますので引き続きよろしくお願いいたします。

それでは,メルマガ第30号をお楽しみください。

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●JAB/ISO 9001公開討論会ご報告
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2009年3月16日にビッグサイトで開催された,第15回 JAB/ISO 9001公開討論会
に参加しましたので,その一部をご紹介します。

今年のテーマは「審査を変える〜QMS認証制度の価値向上」でした。

QMS認証制度を有効に活用している組織がある一方で,形骸化している部分も
あり,さらに,昨今の不祥事続きで,本制度に対する価値が問われています。

昨年のテーマは「ISO 9001認証を考える」でしたが,今年はその内容を引き
継ぎ,審査に焦点を当て,QMS認証の価値向上のために本制度はどうあるべき
かを考察したものであり,本制度の運営サイドの変えなければならないという
意識が伝わってきました。

■基調講演
 「審査を変える〜QMS認証の価値向上」 東京大学教授 飯塚 悦功 氏 

 ISO 9001認証制度の設計意図,誰のための制度か,制度の信頼性,審査で
 何処まで出来るかを改めて整理し,現状制度の枠内・限界の中で出来ること
 をWGのテーマとして研究してもらった。

■JAB/ISO 9001研究会報告
 WG1〜WG3が1年間かけてまとめた以下のテーマで報告がありました。
 WG1:「QMSの有効性をみる〜ISO 9001逐条審査からの脱却」
     ISO 9001逐条審査から脱却する有効性審査の意味と方法についての
    考察。
    ・逐条審査 :ただ単純に(形式的に)ISO 9001の条項ごとに要求
           事項を満たしているかを判定する審査。
    ・適合性審査:ISO 9001に適合しているかを見る審査。
           ISO 9001の条項が全て満たし,QMSが有効に機能して
           いれば合格。
    有効性審査の事例を3件ほど紹介。
 WG2:「社会・組織の期待に応える審査〜現行制度の枠内でどこまで可能か」
    現在の制度の枠組みを守りつつも,社会・組織が期待するQMS認証の
    ための審査について提案。
 WG3:「組織からみた価値ある審査〜審査の活用と期待」 
    組織の経営にとって価値ある審査について組織の視点からの提案。

■パネルディスカッション

 今回の公開討論会の新たな取組みとして,当日の意見交換をスムーズに進め
 ることを目的に発表用の資料(PPT)を事前にJABのホームページに公開し質問
 をメールで受け付ける方式でした。

 JABでは,この事前質問を受けて発表資料の見直しをしたようで,言葉尻や
 表現の稚拙さに時間を取られることもなく取組みの効果はあったようでした。

 ディスカッションの中心は,逐条審査と有効性審査についてでした。

 従来より,QMS認証制度を活用しようと取り組んでいる審査機関及び受審組
 織にとっては,有効性審査の考え方は,従来と何も変わらないという意見
  もありましたが,少なくとも,タイトルホルダー程度にQMS認証制度を考え
  ていた組織にとっては,参考になる内容であったと思います。

 有効性審査を進めていくには,審査員の力量が必要になってくることは,
 会場の共通認識として得られたようでした。
 いずれにしても,QMS認証制度の価値向上は,審査側,被審査側双方で協力
 して取り組むべき課題と認識しました。

 ・有効性審査を行うと時間がかかり標準審査工数では出来ない。(組織が
  望むならば)審査工数を増やしても審査をしてもらう必要がある。

 ・JABは,QMS規格認証制度の信頼性確保のためのガイドラインを作成中で
  ある。ほぼWG1の結論に近いものになる。

資料は財団法人 日本適合性認定協会(JAB)のホームページ
http://www.jab.or.jp/news/2009/09010500.html
発表資料は,当日配布されたものになっています。


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●QMS戦略セミナー結果報告『改めて問われるQMSのあり方,審査制度の課題』
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 2月3日日本適合性認定協会(JAB)常務理事の久保様をお招きしてQMS戦略セミ
ナーを開催しました。

 今回は,ISO 9001:2008追補改正版の発行を機に,認定機関であるJABの視点
から「QMSのあり方,審査制度の課題」というテーマでセミナーを開催したと
ころ,会場ほぼ満席の86名もの多数のご参加をいただき,ありがとうございま
した。

 久保様からはQMS認証制度に関わる課題への対応として,審査結果の情報公開,
逐条審査からプロセスアプローチ審査への転換,有効性審査の推進,組織への
期待などのお話をいただきました。

 アンケート結果からは,「非常に参考になった」(9%),「参考になった」
(70%)という評価をいただきました。また,セミナーで印象に残ったことに
ついては,約40%の方が「有効性審査」に関心を示していました。

 さらに,認証制度やQMS運営に関する,数多くのご意見,日頃の悩みをいた
だき今後のQMS委員会の運営の参考となりました。

 受講者アンケート結果は,下記の会員専用サイトからご覧いただけます。

<会員専用サイト(ID,PWが必要です)>
http://www.ciaj.or.jp/qms_m/pdf/090203.pdf


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●QKMレベルアップセミナー結果報告『信頼性データ解析』
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 2月27日QKMレベルアップセミナー『信頼性データ解析』を開催いたしました。
昨年度までは「信頼性解析」と題して開催しておりましたが,コース内容をよ
り的確に表すため今回から「信頼性データ解析」に名称し,内容も大幅に見直
しを図りました。

 当日は品質保証,品質管理部門の方以外にも,設計開発部門,生産技術部門
など幅広い部門から,これまでの最多の23名参加をいただきました。

 受講者アンケートでは,「よかった」(57%),「ややよかった」(35%)
と,多数の方から好評をいただき,主催者として安堵する一方で,改善に向け
た貴重なご意見もいただいておりますので,次回に反映したいと考えておりま
す。

 受講者アンケート結果は,下記の会員専用サイトからご覧いただけます。

<会員専用サイト(ID,PWが必要です)>
http://www.ciaj.or.jp/qms_m/pdf/090227.pdf


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●ISO 9000 動向
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去る, 2月23日から28日まで, 東京国際フォーラムにてTC176総会及びSC総会が
開催されました。この総会では, TC176 の各サブコミッティ, ワーキンググル
ープから活動報告され, ISOハンドブック「ISO 9001 for Small Businesses」
がアップグレード, ISO 10005, ISO 10006, ISO 10007の見直しが, 報告され
ています。


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●TL 9000コーナー『TL 9000 R5.0改版情報について他』
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1)TL 9000 R5.0改版情報について (日本ハブからの情報)
 2月に開催されたダラスサミット報告からの情報として,要求事項(Require
 -ment Handbook)はISO 9001:2008をベースに,今年7月末に発行される予定
 です。発効は2009年12月31日からとなっています。

 和訳対応は,クエストフォーラムオーバーサイトWGより日本規格協会を通じ
 て,日本ハブに翻訳委員会編成の依頼が来る予定です。これを受け,CIAJも
 一部分担の可能性があります。

 測定法(Measurement Handbook)は,要求事項発行後に検討されるとのことで,
 要求事項との同時期発行はない模様です。

2)「設計プロセス評価指標」に関わるDPAMについて
        (DPAM:Design Process Assessment and Improvement Model)
 TL 9000WGでは,実際に役立つ品質測定方法,プロセスを評価する場合の目的・
 方法・活用の立場から調査研究を重ねています。
 今回,に「設計プロセス評価指標」に関わるDPAMに
 ついての情報がありましたので参考紹介します。

 DPAMは,設計プロセスの健康診断的手法であり,①イノベーション,②スピ
 ード, ③コスト,④品質,⑤人・社会の視点から,25項目の現場力で把握
 するものです。

 具体的には,市場・顧客理解力,新商品創出力,目標原価達成力など挙げら
 れています。評価レベルの,
   レベル1 → 個人能力に依存
   レベル2 → 部分最適
   レベル3 → 最低限できている
   レベル4 → 実績を定量的に把握
   レベル5 → 自律的な改善活動の風土
 は,CMMのような5段階でレベル分けされています。

 DPAM開発の背景として,「差別化された製品をいち早く投入するための素早
 い開発や,飛躍的なコスト削減を実現するための新たな製品設計方法の導入
 など,さらなる競争力強化を図るため」と紹介されています。絶えず新製品
 を開発し,先行者利益を享受するための企業の力量を評価する手法とも云え
 ます。


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●知識活用型企業への道「 QMS における知的資産運用への取り組み」
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前回は,「プロフェッショナル」とは,知識だけでなく実現能力も必要だという
ことでおわりました。

企業の組織活動においては, 必ずしも個人の能力が直接的に組織活動に活かさ
れるとはかぎりません。

組織の構成メンバーの活動ベクトルの向きが合っていなければ, 相殺しあって
組織としての実現能力が低下することも考えられるわけです。

このような組織活動の能力に関して, IT投資と企業の実績との関連性を調べた
結果が「組織IQの経営」というテーマで報告されています。
(日経 Harvard Business Review 2008 9月号)

この調査結果を要約すれば, 莫大なIT投資をしたとしても, 組織の能力が低い
場合,業績に対して逆相関になるという驚くべきものでした。
すなわち, 組織能力が高ければIT投資は効果が認められるが, 組織能力が低け
れば逆に業績が低下するというものです。

この報告では組織能力を「組織IQ」と称していますが, これを測定するために,
  ①外部情報感度, ②効果的な意思決定機構,③内部知識流通,
  ④組織フォーカス,⑤継続的革新
という五つの項目を使用していました。

さらに, この調査では組織IQの高い企業群では,人的投資を増やすと業績も高
くなるが, 逆に組織IQの低い企業群では, 人的投資を増やすと, 収益性がマイ
ナスになるという結果でした。これを見ますと, 単に教育・訓練さえすれば企
業活動に貢献してもらえると, 安易に想定することに疑問を持つ必要がありそ
うです。人的投資においても組織IQという基盤があって初めて投資効果が出て
くるというものでしょう。

さて, この報告では組織IQを高めるポイントとして, 特に「組織フォーカス」
が重要だと指摘しています。「組織フォーカスの明文化とは, 言い換えれば,
その組織におけるルール・ブックの作成に他ならない。」と述べています。
この主旨はまさにISO 9001の文書化の要求事項と合致します。
ISOでは,単に必要なものの文書化要求であり, 背景は述べられていませんが,
QMSを作り上げる時に, プロセスで使用する必要な手順や基準類の文書化を求
めています。 この文書化する行為自身が,組織フォーカスで述べている組織
IQを高めていくことにつながるものと見えます。

最近では形骸化した文書化がQMSの中で起きていそうですが,企業の実現能力
である組織IQを高めるために,QMS_IQという視点から文書化という行為を,
もう一度見直してみるといいかもしれません。

監査のための文書化ではなく, 文書化をQMSのIQを高める重要な活動と位置づ
け,新しい側面で企業活動への必要性と有効性を考えて見ることが必要でしょ
う。そうすれば組織の実現能力向上のためにQMSがより重要な役割を担うもの
となり,あらためてその価値を認識できるかもしれません。


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●編集後記
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QMS委員会のメルマガも本号で30号を迎えました。このメルマガは日頃分科会
活動やイベントに参加できない方々へ,対外的な活動やトレンド情報も含めて
お届けするという主旨で2004年7月に創刊し約5年が経過いたしました。
その間,読者も180名超となり,皆様に支えられて継続することができました。
心より御礼いたします。

話変わって,先週末から,ETC装備の乗用車,二輪車を対象にした高速道路の
通行料金の特別割引サービスが開始されました。
早速恩恵を受けてお出かけになられた方も多いのではないでしょうか。
旅に出かけることは,様々な出会いや感動があり,心をリフレッシュさせて
くれます。
お出かけにはよい季節となってきました。皆様も明日の元気を求めてお出かけ
になられてはいかがですか?

本号も最後までお読みくださいましてありがとうございました。


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──「QMSを経営に活かしたいあなたに贈る」──

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 qmsmelg@ciaj.or.jp
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* 発行:情報通信ネットワーク産業協会 QMS委員会メルマガ編集部
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* 発行責任者:QMS委員会メルマガ編集部事務局(菅野 清裕)
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