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    「QMSを経営に生かしたいあなたに贈る」 QMS委員会

「BSCの構築の7つのステップを体得!受講者の満足度も上々」

                      2006年11月22日発行 第16号

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≪ 第16号 目次 ≫

  ・はじめに
  ・ISO 9000sの改訂動向
  ・QMS戦略セミナー「バランススコアカード」を終えて
  ・TL9000コーナー「設計プロセス測定について」			
 ・トピックス「バランス感覚」
 ・トピックス「目的と手段」
  ・編集後記						


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●はじめに
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会員の皆さま,こんにちは。

今回のメルマガは,QMS戦略セミナー「バランススコアカード」の実施結果
のご報告を中心にお送りいたします。

人は目標を設定するのと設定しないのでは,意識が変わってきます。
それは,仕事でも私事でも変わりません。

私は最近,ウォーキングラリーにエントリーしているので,万歩計を付けてい
ます。若いとき(?)は,万歩計なんて格好悪いと思ったのですが,以外にも
万歩計をつけていると,歩こうという気になるから不思議です。

それは,すなわち,目標設定をしているからなのです。

今までですと,会社が休みの日で,特段予定もない場合は,ちっとも歩かない
で,パソコンやテレビなどで,動く間もなく一日が過ぎていました。
しかし,万歩計をつけていると,歩数表示を見て,あまりにも少ないことに,
愕然とするのです。そして,今日は歩数が少ないから,散歩でもしようという
気持ちになるんです。実際歩いてみると,とても爽快です。

過日実施された,QMS戦略セミナー「バランススコアカード」では,企業の
目的に合わせた目標設定をするためのツールとしてBSCを学んだわけですが,
これも,ウォーキングラリーと同様,自分(企業)がどうなりたいかを明確に
して,そのための行動目標を決めていきます。

従って,仕事も私事も,やる気になる目標でなければいけません。
ビジョンとかけ離れた絵に描いた餅では,やる気スイッチはONされません。

BSCの演習編から一ヶ月ちょっとが経過しましたが,参加された皆様の企業
ではどのように生かしているでしょうか?
主催者としては,受講者の皆さまの積極的活用を期待しています。


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●ISO 9000sの改訂動向
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品質マネジメントシステム規格国内委員会(TC176)が,去る9/15に開催され
ました。今回の議題は,11/13〜11/18にわたり韓国プサンで開催されるISO/
TC176 サブコミッティーSC1,SC2,SC3での,日本側の見解の確認と対応案に
つき審議し確認をいたしました。

 主な内容は下記の通りでした。
 1.SC1:ISO9000の“基本”に関する日本提案,
 2.SC2:ISO/WD9001/9004への日本コメントの確認,
 3.SC3:ISO10001(行動規範)およびISO10003(外部紛争処理)の
      最終コメントの確認

 特に現在見直しが行われているISO 9001については,世界中の委員から389
のコメントが寄せられております。
 また,大幅な見直しが行われているISO 9004では,基本的な部分で合意が得
られていない部分が多く,世界中で510のコメントが寄せられました。
プサン会議の結果報告会が,来る11/29(水)虎ノ門にある発明会館ホール
にて13:00〜17:35の予定で開催されます。ご興味がある方は,参加された
らいかがでしょうか。
詳細は日本規格協会ホームページにてご確認ください。

http://www.jsa.or.jp/standard/meeting_02.asp?fn=061129-tc176pusan.htm

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●QMS戦略セミナー「バランススコアカード」を終えて
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◆10/ 6 バランススコアカードの基礎と活用[講義編]
    〜組織力向上につなげるBSCの活用方法と注意すべき落とし穴 〜
   講師:横浜国立大学大学院 吉川 武男 教授

 今回は,バランススコアカード(以下,BSCという)の基礎を適用事例に
よる説明を多数交え,さらに,導入の実態と陥りやすい問題点にも焦点をあて,
初級から中級向けの教育と致しました。
参加者は吉川先生の熱くウィットにとんだお話ぶりに引き込まれ,全員参加型
の講義となりました。
 参加いただいた半数の方がBSCの講義は初めてでしたが,皆様からは,
「ビジョンは精神論なものでなく具体的でなければならないことを理解した」,
「因果関係の突き詰め方を習得した」 ,「可視化することでベクトルの向きをひ
とつにすることができると思いました」 など,具体的な業務への活用を感じさ
せるコメントを多数いただきました。
 恒例の講義後のフリートーキングでも4割強の方が参加され,活発な意見
交換が行われました。 

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◆10/16 バランススコアカードの基礎から構築まで[演習編]
    〜吉川教授の直接指導によるBSCの実践演習〜
   講師:横浜国立大学大学院 吉川 武男 教授

 今回は,BSCの構築の7つのステップを体得していただくことを目的に
1日コースの演習として設定いたしました。
 講義編を受講された17名の方が参加され,おさらいの後,4チームに分かれ
てケーススタディを行い,最後にグループ発表,吉川先生の講評,学生作成の
BSCの紹介,BSCの分析評価の概要を行いました。
 参加者からは,「分析に時間がかかり,順序通り考えないとまとまらないこと
を実感した」,「因果関係の整合性確認の重要性を認識した」,「ビジョン,目標
,成功要因など20項目を挙げるのがきつかった」など,演習ならではの感想と
ともにBSCの理解がより深まったとのコメントをいただきました。

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◆受講者アンケートの公開
 皆様より頂戴したアンケート結果は,QMS委員会HPの会員専用ページで
ご覧いただけます。(QMS委員会限定:パスワード要)

  講義編  http://www.ciaj.or.jp/qms_m/pdf/061006.pdf
  演習編  http://www.ciaj.or.jp/qms_m/pdf/061016.pdf

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◆QMS委員会のBSCに対する想い
 QMS委員会では,毎年,吉川先生をお招きしてBSCのセミナーを行って
おります。これには,単にBSCというツールを広めたいという想いの他に,
各企業で,中期計画やら予算を策定するも,実行との乖離が生じている事実に
対して,BSCは,この両者をリンクさせてくれる手法であることに着目して
おります。
 BSC自体は,講義を聞けば,しごく当然のことと思うのですが,いざ実行
しようとすれば,聞くとやるとでは大違いです。
 毎回の演習でも,苦しみもがき,終わる頃にようやく努力の甲斐があって
「BSCの構築とは・・・なり」という各人なりのBSC構築手法を実感していた
だいております。
 本年の受講人数は,51名と昨年の72名(人数はいずれも2日間の延人数)
を下回りました。これには,すでにBSCがQMS委員会関係者では周知され
てきたことなどが要因として推測されますが,参加者は皆高い満足度評価を
しております。
 QMS委員会では,BSCの手法や思考をマスターすることが,日常の業務
においても広く活用ができるものと確信し,今後も継続していく予定です。
 3文字のマネジメント手法に飽きたみなさんも,是非,国内第一人者の吉川
先生を講師としたBSCセミナーにチャレンジいただき,BSCの真の良さを
実感いただきたいと思っております。

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◆BSCの構築の7つのステップ【ご参考】 

第一ステップ:ビジョンと戦略の策定
第二ステップ:重要成功要因による視点の洗い出し
第三ステップ:戦略マップの作成と戦略目標の設定
第四ステップ:重要成功要因の洗い出し
第五ステップ:業績評価指標の設定
第六ステップ:ターゲット(数値目標)の設定
第七ステップ:戦略プログラムないしアクションプラン(実行計画)の作成

「QMS戦略セミナー BSCセミナー[演習編]テキスト 」より引用

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◆BSCセミナーの企画募集について
 QMS委員会では,BSCセミナーで,「取り込んでもらいたい事項」,「実施
方法への要望」,「実施時期への要望」など企画についてのご意見を募集致します。
 事務局宛メールにてお知らせ下さい。


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●TL9000コーナー「設計プロセス測定について」
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■1.「設計プロセス測定について」

 今年6月に改訂されたTL 9000 rls4.0 要求事項に,「設計プロセス測定」が
追加され,ISO9001 要求「プロセスの監視及び測定」から,さらに一歩,踏み
込んだ要求となっている。日本においても,既にプロセス測定を実施している
企業が多いと考えるが, その設計プロセス測定システムについてのガイドが,
QuEST ForumのWebで公開されているので,その概要を以下に示す。 

*** プロセス測定について(概要) ***

1) プロセス測定システム:
 目的は,管理者がプロジェクトを効率的に監視して,より良い意思決定を
 手助けするものである。
  (1)プロジェクトの測定項目を設定。
  (2)測定項目を収集し,報告する方法とツールを導入。
  (3)測定結果を使って,プロジェクトを管理し改善。
    
2) 測定項目のテーラリング(仕立て):
 測定項目を,必要により修正/追加を行い,測定データの有効性を図る。
 測定項目が多すぎると,データ収集にコストが掛かり,経済性が悪い。
 
3) 測定値の収集,報告,分析:
 データの有効性,適時性,一貫性などは,情報の価値を決定する。
 収集と報告のタイムラグは,可能な限り短くするのが良い。

4) 顧客コミュニケーション:
 組織は,定期的に設計プロセス測定報告書を提供。 顧客は測定プロセスの
 知識が必要である。
   
  <注>
 プロセス測定に当たって,PSM(実用ソフトウェア及びシステム測定法)
 ガイドブックが参考になる。
 (1)計画と進捗,  (2)資源と経費,       (3)製品規模と安定性
 (4)製品品質,   (5)プロセスパフォーマンス, (6)技術効果
 (7)顧客満足    (測定項目のテーラリングは自由である)
***

■2. 「その他のトピックス」

1) TL 9000 rls4.0の翻訳参加。 (9/22, 10/5)
2) QuEST Forumボードメンバ,CIAJ表敬訪問(10/23)
     先月,当TL 9000WGが関係している「QuEST Forum」のボードメンバが,
     CIAJを表敬訪問。  相互に意見交換を行い,友好な関係を維持。
        ・CIAJ概要説明 
       ・QMS委員会活動概要紹介 
       ・TL9000WG 活動紹介
       ・QuEST FORUM Global WG紹介

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●トピックス「バランス感覚」
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 讀賣新聞社は「団塊の世代」層5000人に対してアンケート調査を行い,その
結果を発表した。(2006/11/17) 
この結果を見ると(1)「物質的に豊かになった」との意見が80%,(2)「技術革
新や情報化が進んだ」62%,(3)「女性の社会進出が進んだ」58%と続く。
一方,マイナス面として,(1)「モラルや道徳心が失われてきた」80%,(2)
「将来に希望が持ちにくい社会になった」61%,(3)「地域社会のつながりが
薄すれてきた」57%となっています。

 この結果を見ると,物事にはプラス面とともに失ったマイナス面があり,
全体的に見るとバランスが崩れているのかもしれないと見えます。物質的に豊
かになり過去にない豊かさを享受しているにもかかわらず,モラルや将来のへ
の希望,また地域とのつながりなど人生にとって大切なものを失ったと感じる
「団塊の世代」の人々が多いことに,あらためて気付かされます。

 一方,企業活動においても経営者,製品に係わる不祥事が軒並み指摘される
ようになってきました。高度経済成長下で企業の活動を経済的な側面で評価し,
多少の問題には目をつぶるとしてきた社会が,このところ急激に国内だけでな
く世界的にも厳しさを増してきていると見えます。企業活動が,社会に大きな
影響力を与えるため当然ともいえることです。

 そもそも企業とは(1)経済的存在,(2)人間集団的存在,(3)法的存在,そして
(4)社会的存在という側面があるといわれていますが,高度経済成長下では経済
的存在の面が強調され,成長すれば何でもありとまでは言わないが社会的に許
される部分が多くあったように見えます。
 それを許した背景の一つとして,経済成長が社会に多くのプラスの側面を提
供してきたからです。しかし,低経済成長時代に入り経済面の社会的効用は薄
れ,マイナス面である公害問題や不正などに焦点が当てられるようになってき
ました。企業活動自体は変わらなくとも,社会環境が変化するにつれ企業の
役割の評価される面も変わってきたと見えます。一種の社会的なバランス感覚
でしょう。

 さて,今回もQMS委員会では恒例となったBSCセミナーが行われました。
  BSCは企業活動を多面的に評価し,経営者から従業員までを繋ぎながら企
業活動の計画をねる仕組みです。
 企業活動とそれを取り巻くさまざまな要素をバランス感覚と織り交ぜながら
戦略を練る仕組みともいえます。今後の企業活動を考えるときに役に立つ手法
の一つとして評価されています。

 将来に希望が見出せないと答えている「団塊の世代」を初め多くの方々も,
多面的な評価手法をマスターし企業活動だけでなく個人のライフプランにも
考えてみたいものですね。


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●トピックス「目的と手段」
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 経営者は,最初にどうするべきなのか,その後には何をしなければならない
のか,その真理に至る道程はどうあるべきなのかという話を聞きました。

 ソフトウエア開発の測定で, 測定活動の出発点は「測定の目的は何か」であ
るべきであり,「私たちはどの測定法を使用すべきか」ではない。と, 指摘が
ありました。

 真理=目的に至る道を見失うと, 手段が目的になってしまうのは, どの局面
でも,同じと思います。

 目的と手段を連鎖させて, 具体的計画を作るのがBSCの特徴であることを
連想しました。企業ビジョン達成のためには,戦略策定が必要で,その戦略実現
のための手段を見出し, 今度はその手段を目的としてこれを実現する手段を見
いだしていく, を続け, 行動計画を社員の一人一人までブレークダウンさせて
いく手法です。

 市民の生の声を聞いて政策に役立てることを目的として,タウンミーティン
グを開催するのは良い試みです。しかし, 予め, 政策に賛成意見を述べること
を参加者に依頼しているのは, 手段が目的というより, 本末転倒かつ, 政府の
見識を疑います。まだまだ,日本は後進国なのかも知れません。

 最近, 新車を買い, 運転がしたくて, 買い物はなくてもショッピングセンタ
ーへドライブしています。さらに, ミニチュア, エンブレム, カタログも集め
出し, 本来の車の目的とかけ離れていることは承知ですが止められません。 

 趣味の世界での, 目的と手段の逆転は, 多いにエンジョイすべきと, 確信し
ています。


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●編集後記
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今回のメルマガいかがでしたか。
皆さんの会社では, BSC, ISO 9001, TL 9000等どんなツールや考え方を使っ
ていますか。

主なツールや考え方を, 筆者が20年間実際に関わった順に並べてみると, 

 TQC, ISO 9001, ISO 14001, NQAS, TL 9000, シックスシグマ, 
  QS9000(ISO/TS16949), ISO 9004, TQM, ISMS, リスクマネジメント, 
  BSC, CMM/CMMI, 経営品質賞, トヨタ生産方式, JIS Q 9005 ・・・

という具合です。
いやー, こんなにいろいろやってきたのかと感心するとともに、体系的に整理
できるかと問われたら, 「はてどうしよう?」と考え込まざるをえません。
それは, 目的と手段や因果関係を十分に考えてこなかったためだと思います。

自分の反省はさておいて, 会社の中の現場では, 実際に結構いろんなことをや
っています。これら一つ一つを担当する部門も目的も違うため, すべてを同じ
ように理解してやるのはかなり大変なことです。

そこで, BSCを上手に使うと, これらの運用の仕組みをより効果的に活用す
ることができると, 吉川先生はずっと言われています。
BSCは, 道具に使われることなく, 上手に使いこなせるように導いてくれる
便利な道具なのかもしれないと考える今日この頃です。


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──「QMSを経営に生かしたいあなたに贈る」──

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* 発行:情報通信ネットワーク産業協会 QMS委員会メルマガ編集部
 http://www.ciaj.or.jp/top.html
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* 発行責任者:QMS委員会メルマガ編集部事務局(菅野 清裕)
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