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    「QMSを経営に生かしたいあなたに贈る」 QMS委員会

「情報通信インフラのあるべき姿・社会的役割って何だろう」
   〜 新潟県中越地震から学んだこと 〜

                      2004年12月3日発行 第4号

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≪ 第4号 目次 ≫

 ・はじめに
 ・QMS委員会活動紹介(TL9000WG)
 ・トレンド情報「ISO 9000シリーズ 2008年改訂動向」
 ・コラム「情報通信インフラのあるべき姿・社会的役割って何だろう」
 ・QMS委員会からのお知らせ
 ・編集後記


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●はじめに
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街を歩いているとクリスマスの装飾があちらこちらで見られるようになり,
晩秋から初冬への移り変わりを感じる今日この頃です。

QMS委員会では,11/29に本年度2回目のQMS戦略セミナーとして
松尾谷先生をお招きし,ソフトウェアにおけるテスト手法とプロジェクトに
おけるモチベーションを中心に熱いご講演を戴き盛況のうちに終了致しました。
ご参加いただいた皆様にはその余韻とともに新たな気付きを感じていること
ではないでしょうか。

このメルマガも7月に創刊し第4号となりました。今回はQMS委員会の
活動をご理解いただくため,TL9000ワーキンググループ(TL9000WG)の
紹介と,QMS委員会より委員を派遣しているISOの国内委員会の最新情報
をお届け致します。

QMS委員会は情報発信型委員会として,これからも活発な活動を展開して
参ります。引続き皆さんの積極的なご参加をお待ちしております。
また,よりよい活動のため,皆さんの声をお待ちしております。


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●QMS委員会活動紹介(TL9000WG)
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自分達はQMS委員会に属しているのだけれど,はて,QMS委員会って何を
やっているところなのだろう,なーんて疑問に応えるのがこのコーナーです。
委員会には,2つの分科会(普及,研究),1つのタスクフォース(QMSビ
ジョン検討),それともう一つのワーキンググループ(TL9000WG)があります。

読んで字の如く,普及分科会はQMS技術普及,教育,研修を,研究分科会は
QMSの研究と交流を,QMSビジョン検討タスクフォースは効果的,効率的
QMSのための委員会ビジョン検討をしています。そしてTL9000ワーキ
ンググループは?,と云うとTL9000の調査,研究,検討,情報共有化を
推進しています。

ここまで読んで,皆様は,「TL9000って何? 何でCIAJでTL90
00を研究しているの?」と疑問に思ったかもしれませんね。ということで,
最初の活動紹介は,「TL9000ワーキンググループ(TL9000WG)」を取り上
げます。

TL9000WGは,1999年8月19日にQMS委員会・研究分科会の下部組織と
して発足しました。背景には,9月に開催されるISO/TC176サンフランシスコ
総会にてTL9000の新規格開発提案が行われるとのことで,当時の通商産業省の
要請に基づき,日本規格協会を事務局として「TL9000電気通信セクター規格ワ
ーキンググループ」が発足し,当時の通信機械工業会からも数名の委員を派遣
したのが発端です。これら数名の委員を中心にしてCIAJにもTL9000WGが発
足したのです。

TL9000のTLはTelecommunications Leadershipの略で,国際規格であるISO9001
に電気通信業界特有の要求事項を追加し,この業界をリードするセクター規格
として考案されたものです。皆さんはクエストフォーラムと云う言葉を聞いた
ことがあると思いますが,電気通信業界のプロバイダとサプライヤで構成され
たフォーラムであり,TL9000の開発母体となっています。従って皆様方の会社
もクエストフォーラムの会員になり,TL9000の開発に参加できるようになって
います。現在,QMS委員会では,日本電気,ノーテルネットワークス,日立,
富士通がフォーラム会員となっています。プロバイダではNTTが会員となっ
ています。

TL9000は,要求事項と測定法から構成されています。要求事項はISO9001の51
項目に電気通信業界として特に要求したい81項目が追加されたものです。例え
ば,製品ライフサイクルモデルの確立,災害復旧などがあります。測定法は
TL9000特有のものであり,ISO9001や他のセクター規格には存在しません。登
録組織は,クエストフォーラムが定めた製品分類に従って対象装置を区分し,
市場品質データを報告します。この測定結果がベンチマークの為の統計の基礎
となり,競合他社製品との品質比較ができる仕組みが提供されています。

TL9000が電気通信業界のセクター規格であることから,それが普及するに伴い,
皆様方の会社にも影響が及ぶ可能性が有り,CIAJがTL9000を調査,研究し
情報を共有化する目的がここにあります。過去,TL9000標準化動向説明会(99/
7),TL9000セミナー(2000/11),TL9000アンケート(2000/12,2004/3),TL9000
ホームページ開設(01/5),TL9000規格説明会(01/12),クエストフォーラムキ
ーパーソンとの意見交換会(2000/3,02/4,03/3,03/11,04/4)など実施し,情報
の吸上げや横展開を推進して参りました。

本年3月に実施したTL9000アンケート結果では,TL9000の認証取得要求がある,
又はその可能性のあると回答した会社は僅少であり,一方で,当面は取得不要
と回答した会社が6割を占めています。しかし,北米から始まったTL9000認証
取得の波も,今はアジア地区,それも日本を素通りして,中国,韓国,台湾,
インドにまで普及してきています。日本も,うかうかしているといつの間にか
世界から取り残されかねない状況です。いつ何時,日本にも黒船の如くTL9000
認証取得の波が押し寄せてこない,とも限りません。その時,皆様方の会社が,
少しでもTL9000認証取得活動を速やかに進行できるよう,TL9000WGは活動を続
けています。

TL9000を認証取得することにより,製品の市場品質データを提供する代わりに
世界的規模での品質ベンチマーキングが可能となり,継続的改善に直結させる
ことができます。そして,この業界に関与する全ての企業が,たゆまぬ改善に
取り組み,業界の品質を世界規模で向上させていく--このような世界をクエス
トフォーラムは願っているのです。TL9000WGの活動が,少しでも皆様方の品質
向上活動を支援し,クエストフォーラムの理念を後押しできることを期待して
います。

今回は,TL9000WG活動を,このような形で紹介させて頂きましたが,今後は,
このメルマガを介してTL9000やクエストフォーラムの最新動向をトピックス的
に提供していくことにしています。お楽しみに。

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●トレンド情報「ISO 9000シリーズ 2008年改訂動向」
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2004年11月30日より,ISO/TC176の総会がマレーシアのクアラルンプールで開催
されています。ISO9000シリーズの改訂動向として,主に次のものがあります。

(1) 次期ISO 9004(品質マネジメントシステム−パフォーマンス改善の指針)
  改訂について:
  日本工業標準調査会から標準情報(TR)として発行されている
  TR Q 0005「クォリティマネジメントシステム—持続可能な成長の指針」
  および「TR Q 0006:03 クォリティマネジメントシステム—自己評価の指針」
  をISO9004改訂のためのソース文書として導入を再度推進します。

(2) ISO 9000(品質マネジメントシステム−基本及び用語)修正について:
  DIS(ドラフト)の段階です。

(3) ISO 9000とISO 19011(品質及び/又は環境マネジメントシステム監査の
  ための指針)におけるCompetence(力量)の定義の差異について:
  審査員の力量に「実証された個人的特質」が含まれており,その違いに
  ポイントがおかれています。

(4) ISO 10019(品質マネジメントシステムコンサルタントの選定及びその
  サービスの利用のための指針)の進捗状況:
  現在FDIS(最終ドラフト)の投票段階です。


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●コラム「情報通信インフラのあるべき姿・社会的役割って何だろう」
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10月23日午後5時56分,震度7の地震が新潟県中越地方を襲い,多数の
死者・負傷者を出す大災害となりました。この地震により被害を受けられまし
た皆様に,心よりお見舞い申し上げます。

この地震で情報通信ネットワークにも少なからず影響が出ました。一方で,阪
神淡路大震災以降,災害発生時の重要通信確保のための取り組みが進み,災害
発生時の通信利用の環境が変化しています。今回の地震を検証し,情報通信ネ
ットワークのあるべき姿・社会的役割について考えてみたいと思います。

NTTの加入電話/ISDNでは,最初の地震発生直後,通常の約50倍とい
う交換機の処理能力を超えた電話のコールが集中し,電話がかかりにくくなる
輻輳状態が発生しました。同日午後6時15分,NTT東日本は「災害用伝言
ダイヤル(171)」の運用を開始。メッセージ録音件数と再生件数を合わせ
た総合利用件数は約34万6千件(11月1日9時00分現在)にのぼり,有
効な通信手段として再認識されています。

通信設備への影響では固定電話約4450回線が不通となったものの,迂回路
を確保することで,25日夕刻には山古志村の約1200回線を除く3250
回線が復旧しました。

NTTドコモでは地震発生同日の午後6時6分に「iモード災害用伝言版サー
ビス」の運用を開始。メッセージ登録件数と確認件数の合計は11月15日0
時現在で約30万件の利用がありました。「iモード災害用伝言版サービス」
は今年1月から提供されたサービスで,こちらも新たな連絡手段として認識さ
れています。

また,今年4月に導入した音声通信とパケット通信の独立規制も効果を発揮。
通話には最大75%の規制がかかったものの,携帯メールは規制されず十分使
えたと評価されています。

一方,今回の震災で課題も浮き彫りになりました。その一つが電力の確保です。
携帯電話では懸命な復旧作業が進められたものの,基地局への電力供給停止と
予備バッテリ切れで,サービス停止に追い込まれました。道路が寸断され,余
震が続く中,電源車を現地に移動できない基地局では依然として携帯電話が利
用できない状態が続いています。

現在,日本ではユビキタスコミュニケーション実現に向け,あらゆるビジネス
領域で急速にIP化が進んでいます。同時に,オープン化,ダウンサイジング
により厳しい価格競争にさらされているのもIPネットワーク機器です。
ややもすると,安全を削ってまでコストを優先せざるを得ない所まできている
のが現実ではないでしょうか。

今回の地震では,災害時の情報通信ネットワークのあり方について,いろいろ
考えさせる場面があったように思います。

例えば,商品・サービス企画での災害リスクアセスメントや予備電源などの考
慮は不可欠になりつつあります。今回の地震で大きな影響の無かったIP電話
でも,今後,企業や家庭に急速に普及するほど,端末を含むネットワーク機器
への災害時の電力確保は重要な課題になるでしょう。高性能バッテリ開発や低
消費電力化の技術検討,ネットワーク機器の耐震性設計など技術面での取り組
みも必要です。

壊れることを前提とした通信設備復旧対策として保守機材の持ち方や現地への
輸送手段確保も大切ですが,物理的,経済的に限界があります。政府,地方自
治体,通信事業者,更には企業や一般市民においても,重要通信が停止した場
合の危機対応力が求められます。このためには日頃からの継続的な取り組みが
必要でしょう。

一般利用者が安否を確認する場合などは必ずしもリアルタイムの通話を必要と
しないため,災害時のインターネットの利用技術は更に進展すると考えられま
す。「災害用伝言ダイヤル(171)」や「iモード災害用伝言版サービス」
のように災害時の多様な通信サービスの提供は,災害発生時に通信手段を複数
確保する上で有効であることが,くしくも今回の地震で実証されました。
IP電話を代表とするIPネットワーク通信サービスにおいても,同様なサー
ビスの検討・導入が望まれます。

公共機関や通信事業者においては,災害時の通信利用に関する情報を継続的に
発信し,利用者に周知を図ることが求められます。
一方で,利用者側においては複数の連絡手段を考えておくことも大切です。
万が一災害が起きた場合,家族,社員の安否の確認方法を話し合って決めてい
るでしょうか。

もちろんITが災害に弱いということではなく,技術革新によってさまざまな
課題を解決していくでしょう。しかし利便性に頼り切ってしまうと,思わぬ落
とし穴にはまってしまいます。災害に強い情報通信ネットワークソリューショ
ンの提供は通信業界全体の社会的責任の一つです。同時に利用者を含む危機対
応能力確保に向けた取り組みも大きな課題です。

【参考】災害時等における通信確保に向けた電気通信事業者の取組み
    http://www.soumu.go.jp/s-news/2004/040116_1.html


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●QMS委員会からのお知らせ
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会員の皆様へお知らせがあります!!

CIAJのリーディング委員会として,新たなる魅力ある活動に向けた
QMS委員会運営についてのお知らせです。

今年度事業もまだまだ魅力ある事業が控えておりますが,次年度の委員会運営
方式の見直しについてのお知らせと会員の皆様のご準備(次年度へのご対応)を
お願い致します。
具体的には,5月に開催予定の総会にて,議案提出させていただきますが,
委員会ご参加の会員の皆様には予めの予算化よろしくご準備願います。

本件に関しましては,すでに昨年度の委員会総会でご案内させていただいて
おり,また,会員様のアンケートでも声を聞かせていただきました。
また,一部の会員様から個別事業参加への期中の予算捻出が難しく検討要請も
いただいておりました。


運営方式の見直しについて

委員会会費共通事業と個別事業会費制の併用方式から,全員参加を目指した
委員会会費一括(一社:年会費50,000円を目安)のパッケージディール方式への
見直しを実施予定です。(CIAJの委員会年会費平均:50,000〜60,000円)

これにより,旧来 有料で実施して参りました

1)品質管理基礎講座・ISO9001規格解釈コースのe−ラーニング受講
  (受講者1名あたり,全コース受講料:3万5千円)
2)BSCの権威によるセミナーなど最新動向に関する個別有料事業
 (BSCのケースでは受講者1名あたり,1万円)
  講師:横浜国立大学大学院教授/エジンバラ大学客員教授
                      吉川武男 様

など,各社一定数までは全事業無料にてご参加いただけます。
このように,期中の予算のご心配をおかけしないで多数の会員様のご参加を
可能にしました。

益々の充実した委員会活動に向け,会員の皆様のご支援・ご協力をよろしく
お願い申し上げます。


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●編集後記
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第4号はいかがだったでしょうか?

情報通信インフラの災害対策は重いテーマでしたか? でも,大事ですね。
便利になった分,情報通信インフラに頼りきっている毎日が,ふと不安なもの
に思えました。

我が家の防災リュックに入っているものを点検しました。
水,乾パン(氷砂糖入り),缶の味噌汁,非常用わかめご飯・山菜おこわ
(−−;食べ物ばっかりだ…。
近くに懐中電灯,ラジオがあるので,いざの時は一緒に持って行く予定。

今回新たに,携帯を充電できる自家発電機を追加しようかしら…。
災害対策が出来ていない我が家であった。(反省…。)

QMS委員会は,Qualityだけにとどまらず,広い視野で,会員企業様に役立
つ情報や場の提供を行っていく予定です。今後ともよろしくお願い致します。


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──「QMSを経営に生かしたいあなたに贈る」──

* 配信追加は下記にお知らせください。
 mailto:qmsmelg@ciaj.or.jp

* 発行:情報通信ネットワーク産業協会 QMS委員会メルマガ編集部
 http://www.ciaj.or.jp/top.html
 http://www.ciaj.or.jp/ciaj/qmst/(QMS会員専用)

* 発行責任者:QMS委員会メルマガ編集部事務局(内藤俊文)

* 皆様のご意見・ご要望をどしどしお寄せください!
 mailto:qmsmelg@ciaj.or.jp

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