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通信機器中期需要予測[2016-2021年度]を発刊 ~2017年度まで低調、2021年度には2015年度同等まで回復~

2016年12月14日

一般社団法人 情報通信ネットワーク産業協会(以下、CIAJ)は、この度、我が国の通信機器市場(輸出を含む)に関する中期需要予測[2016年度~2021年度]を取りまとめ発刊いたしました。

通信機器市場は、スマートフォンが急速に普及し、写真共有や動画視聴によるトラフィックが増えて無線系設備投資も大きく伸びましたが、現在では需要が一巡する状況になっています。また、固定電話のマイグレーションにより有線系設備投資も減少しています。さらに市場全体も新興国などの景気減速などにより企業の設備投資の慎重姿勢が継続し、2017年度まで需要は低調に推移すると予測しています。一方、2018年度以降、日本の経済・社会の構造転換に対して、IoT/ビッグデータ/AI・ロボットを活用した新技術や新サービスの創出や、5G/ITS技術を活用した自動運転などのサービス連携により、データトラフィックがますます増大し、ネットワークインフラ装置を中心に需要が回復していくと予測しました。

Ⅰ.概 要

2015年度の日本経済は、設備投資には弱さが見られるものの、堅調な企業業績や雇用・所得環境の改善から穏やかな回復基調となり、実質GDP成長率は0.9%と18年ぶりに前年度比でプラス成長とされています。2015年度の通信機器市場は、LTE/4G対応が一巡した通信インフラ装置や、IPネットワーク網への移行がほぼ完了した局用交換機などの需要が前年度に続けて減少した反面、需要全体に大きな割合を占める携帯電話の輸入において、台数が減少したものの円安により金額が大きく伸びたために需要全体をプラスに導き、携帯電話全体として小幅の増加となりました。その結果、2015年度の通信機器需要実績は、3兆4,728億円(2014年度比2.3%増)となりました。今回予測する全22品目のうち同比で増加したのは、モバイル通信端末(公衆回線付)と、固定通信装置、コードレスホンなど4品目だけであり、一方、基地局通信装置、局用交換機、ビジネスファクシミリ複合機、光アクセス機器、ルーター、デジタル伝送装置など18品目の需要が減少しました。

2016年度の日本経済は、緩やかな回復基調が続いている中で、アジア向けの携帯電話生産用電子部品の輸出などの外需が好調なため、2016年度の実質GDP成長率見通しが1.0%(民間研究機関9社の平均、11月時点)と上方修正されました。この環境下で、企業の設備投資が、円高影響や、新興国などの景気不透明感からの海外企業の投資減速、などによって伸び悩むことから需要が減少し、その結果、2016年度の通信機器需要総額は、3兆2,169億円(2015年度比7.4%減)と予測しました。全22品目のうち、固定通信装置、ボタン電話装置などの7品目が同比で増加し、一方、モバイル通信端末(公衆回線付)、ビジネスファクシミリ複合機、デジタル伝送装置、局用交換機など15品目が減少すると予測しました。

2017年度までは、LTE/4G対応のような大きな変革点がなく、ほとんどの機器がリプレイス中心となるために、国内の通信機器市場は2017年度を底にした需要低迷と予測しました。しかし、2018年度以降には、日本の経済・社会の構造転換に対して、IoT/ビッグデータ/AI・ロボットを活用した新技術や新サービスの創出や、5G/ITS技術を活用した自動運転などのサービス連携が不可欠になることによって緩やかに回復していくと予測しています。

以上より、2021年度の通信機器市場総額は、2015年度とほぼ同等まで回復し、3兆4,737億円(2019年度比1.7%増、2015年度比0.0%)と予測しました。20161214_11

■2015年度
総額:3兆4,728億円
・国内:3兆426億円
・輸出:4,302億円
■2016年度
総額:3兆2,169億円(2015年度比7.4%減)
・国内:2兆7,892億円(同比8.3%減)
・輸出:4,276億円(同比0.6%減)
■2021年度
総額:3兆4,737億円(2015年度比0.0%)
・国内:3兆614億円(同比0.6%増)
・輸出:4,122億円(同比4.2%減)

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Ⅱ.予測の概要(本誌:第2章~第3章)

〔1〕2016年度の見通し
2016年度の通信機器市場総額は3兆2,169億円(2015年度比7.4%減)、国内は2兆7,892億円(同比8.3%減)、輸出は4,276億円(同比0.6%減)と予測しました。2021年度の各機器分野別の予測結果は、下記のようになります。

①コンシューマ関連機器 1兆8,500億円(2015年度比11.4%減)
モバイル通信端末(公衆回線付)では、買い替えを促進する端末の高機能化が減るとともに、タスクフォースによる過剰な端末値引きの抑制などから買い替えサイクルの長期化が進み、減少が見込まれます。コードレスホン、パーソナルファクシミリおよびパーソナルファクシミリ複合機も、使用頻度の低下や性能の向上に伴い買い替え期間が長期化するため、緩やかな下落傾向が続くものと考えられます。2016年度コンシューマ関連機器の国内金額は同比で11.3%減、輸出は同比で12.3%減と予測しました。

②ビジネス関連機器 5,263億円(2015年度比4.9%減)
機器ごとにリプレイスの時機が異なり、ボタン電話装置の国内需要は増加が継続し、PBXの国内需要はリプレイス需要の回復が見込まれます。事業所用コードレスホンは、ボタン電話装置とPBXの需要に連動しており、また最近では介護施設、医療施設での需要も増加傾向にあります。ビジネスファクシミリは、設備投資意欲が低迷している中で、さらに単機能機から複合機への移行が進んでいるため、単機能機の需要は減少、複合機は微減と見込まれます。2016年度のビジネス関連機器の国内金額は同比で4.3%減、輸出は同比で5.5%減と予測しました。

③インフラ関連機器 4,964億円(2015年度比1.4%増
基地局通信装置の国内需要は、モバイルデータトラフィックの増加に対応するため、既存基地局設備の更新や、小型基地局(スモールセル)の増設などの整備が継続しており横ばいと見込まれます。局用交換機の国内需要は、NTTの局舎などで進められている既存ノード交換機から新ノード交換機へのリプレイスが2015年度に完了したため、メンテナンス等に係る需要のみとなり大幅に減少すると見込まれます。デジタル伝送装置の国内需要は、通信キャリアによる固定回線向けの設備投資およびモバイルバックホール向けの設備投資の完了を受け減少すると見込まれます。2016年度の国内総額は同比で3.9%減、輸出は38.5%増と予測しました。

④インターネット関連機器・通信機器用部品 3,442億円(2015年度比0.3%増)
ルーターとLANスイッチは、トラフィック増大に伴う通信キャリア設備の増強や更新などのプラス要因が、価格競争による単価の下落などのマイナス要因を上回り、需要増加すると見込みました。光アクセス機器は、PONのOLTやONUについて4K・8K放送によるCATV型光放送サービス拡大などに伴う需要増加を見込みました。通信機器用部品は、海外でのスマートフォン生産用部品として輸出が堅調に推移すると見込みました。2016年度インターネット関連機器・通信機器用部品の国内金額は同比で0.1%増、輸出は同比で6.3%増と予測しました。

〔2〕中期展望
2021年度の通信機器市場総額は3兆4,737億円(2015年度比0.0%)、国内は3兆614億円(同比0.6%増)、輸出は4,122億円(同比4.2%減)と予測しました。
2017年度まで、通信機器市場の約3分の2を占めるモバイル端末や基地局通信装置の需要が一巡し、そのほかの機器もリプレイスが中心となることから国内の通信機器市場は縮小しますが、2017年度を底にしてその後は増加に反転すると予測しました。2018年度以降には、日本の経済・社会の構造変化に対し社会インフラの整備・充実や医療・介護体制の再構築のためのICT利活用が本格化し、IoT/ビッグデータ/AI・ロボットを活用した新技術や新サービスの創出や、5G/ITS技術を活用した自動運転などのサービス連携が不可欠になることによって緩やかに回復していくと予測しました。2021年度の各機器分野別の予測結果は、下記のようになります。

①コンシューマ関連機器: 2兆206億円(2015年度比3.2%減)
モバイル通信端末(公衆回線付)は、2017年度まではスマートフォン買替サイクルの長期化や端末値引きの抑制などから国内金額は減少しますが、2018年度以降は回復しつつ、2020年頃の5Gサービス開始予定に向けて増加し、2021年度の国内金額では同比で1.3%減と予測しました。輸出金額は、同比で63.7%減と予測しました。また、コードレスホン、パーソナルファクシミリ、パーソナルファクシミリ複合機は、固定電話契約数の減少による利用機会の減少や、買い替え期間の長期化などから需要も小さくなると見込まれます。
2021年度コンシューマ関連機器全体では、国内は同比で14.6%減、輸出は同比で16.0%増と予測しました。

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②ビジネス関連機器: 5,154億円(2015年度比6.8%減)
ボタン電話装置は、2020年に向けたホテル等の宿泊施設や公共施設の新設、新製品投入などのプラス要因により、再び480億円台まで増加すると見込まれます。PBXは、ボタン電話装置の大容量化やソフト化・サービス化の影響から微減傾向で推移すると見込まれます。事業所用コードレスホンは、工場向けの導入や企業、官公庁のボタン電話装置やPBXのリプレイスと合わせた導入などから堅調に推移すると見込まれます。
2021年度ビジネス関連機器全体では、国内は同比で12.0%減、輸出は同比で0.5%減と予測しました。

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③インフラ関連機器: 5,886億円(2015年度比20.3%増)
局用交換機は、保守・部品交換に限定されるため市場はさらに縮小で推移し、デジタル伝送装置は、2020年頃から開始予定の5Gモバイルサービスに向けて通信キャリアのバックホールの設備増強投資、4K・8K高精細映像配信設備などのプラス要因が多く見込まれて増加で推移すると予測しました。地上系固定通信装置は、防災関連の設備投資に対する需要が再び高まることが想定され、衛星系固定通信装置は、長期の打ち上げ計画により安定した需要があると予測しました。基地局通信装置は、5Gモバイルサービスに向けて設備投資が増加すると予測しました。
2021年度インフラ関連機器全体では、国内は同比で21.7%増、輸出は同比で10.3%増と予測しました。

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④インターネット関連機器・通信機器用部品: 3,491億円(2015年度比1.7%増)
ルーター、LANスイッチは、データトラフィック増に向けた通信キャリアの設備増強、VDIの導入拡大や企業内コンテンツのリッチ化などのプラス要因がある反面で、コストダウン、10ギガビットポートの収容効率の向上に伴うポート単価の下落、仮想化(ソフトウェア化)の進展などのマイナス要因があると見込み、微減で推移すると予測しました。光アクセス機器(PON・MC)は、CATV事業者の光ファイバーへの設備更改、IPTVやCATV型光放送サービスなどの利用者の増加や既存ユーザーにおけるグレードアップ需要などを見込み、微増で推移すると予測しました。通信機器用部品は、グローバルで需要が伸びる携帯電話の生産向け部品が増加すると予測しました。
2021年度インターネット関連機器・通信機器用部品では、国内は同比で1.0%増、輸出は同比で23.9%増と予測しました。

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Ⅲ.グローバル市場の調査(本誌:第4章)

4章では、調査会社のグローバル予測データ(暦年予測値)を引用し、㈱情報通信総合研究所に協力を頂いて動向分析を行い、予測・動向をわかりやすく解説しました。

①調査対象(以下、8品目)
ファクシミリ搭載のデータを把握できなくなったため、「ファクシミリ/ファクシミリ複合機」を調査項目から外しました。また、ファイアーウォールを「ルーター/LANスイッチ」から分離し、調査項目として「ネットワークセキュリティ機器」を新設しました。

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②予測概要と主な機器の動向
端末関連では、スマートフォン等のモバイル端末を中心にしたさらなる普及・拡大とともに、新たなウェアラブルデバイスやIoT(Internet of Things)/M2M(Machine-to-Machine)を実現する、より小型化した端末が普及・拡大していくと予測しました。
またインフラ関連では、高速インターネットアクセス環境がより整備されるとともに、スマートフォンを活用したSNS、eコマース、チャット、ソーシャルゲーム、動画視聴、UC(Unified Communications)などの利用が拡大し、インターネット上でのデータトラフィックの増加は継続すると想定され、通信インフラのさらなる整備が求められると予測しました。
スマートフォンは、2021年まで順調に成長し、2021年の販売台数は16億700万台(CAGR 2.6%増)に達すると予測しました。特に、Android端末がラテンアメリカや欧州・中東・アフリカ地域で需要拡大すると見込みました。
通信キャリア向けのルーターは、市場規模の大きい中国や先進国を中心に引き続き需要が増加し、2021年の売上では130億米ドル(CAGR 1.3%)になると予測しました。

Ⅳ.情報通信産業関連市場の動向(本誌:第5章)

国内の情報通信産業において、ICT ソリューション事業(「システム保守」や「サーバー管理・運用サービス」)など付加価値サービス市場の成長は増加傾向にあります。このような状況下で、情報通信産業における成長分野が通信機器分野からサービス分野へシフトしている状況を、①今後の情報通信機器市場を取り巻く動向、②政府の成長戦略におけるICT活用、③ICTの活用で成長が見込まれる消費者サービスの順に解説しました。

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会 長 山本 正已
会員数 222社・団体(2016年11月現在)