一般社団法人情報通信ネットワーク産業協会(以下、CIAJ)は、この度2016年度上半期(4-9月)通信機械生産・輸出入の概況をまとめました。
2016年度の日本経済は、内閣府が12月8日に公表した7-9月期実質GDP[2次速報値]がプラス1.3%(年率換算)と、輸出や設備投資の低迷が続くことにより1次速報値から下方修正されました。この中で、国内通信機器市場は、ガイドラインの影響などから買い控えが生じた携帯電話の減少、PSTNマイグレーションによる交換機の減少、インフラ設備投資が一巡したデジタル伝送装置や無線ネットワーク装置の減少により、国内生産は大幅な減少となりました。
これによって、2016年度上期の国内通信機器生産額は2,788億円、前年同期比で17.3%減となり、輸出額は2,203億円(同比21.2%減)、輸入額は1兆1,494億円(同比13.0%減)となりました。
I.国内生産(経済産業省「生産動態統計調査」より)
(1)2016年度上期の実績
国内生産金額は2,788億円(前年同期比17.3%減)。半期で8期連続のマイナスとなりました。
(2)機種別動向
①有線端末機器: 317億円(前年同期比1.7%増)。
うち電話機は18億円(同2.5%減)、電話応用装置は293億円(同2.6%増)、ファクシミリは6億円(同22.3%減)となりました。電話応用装置のうちボタン電話装置141億円(同15.0%増)、インターホン152億円(同6.7%減)となりました。
②移動体端末機器: 920億円(前年同期比16.4%減)。
うち携帯電話649億円(同25.6%減)、公衆用PHS端末6億円(同65.0%減)となりました。携帯電話は、スマートフォンに対するガイドラインにより、実質ゼロ円端末が廃止になるという影響で買い控えが生じたことなどから同比で大幅な減少となりました。
③有線ネットワーク関連機器: 696億円(前年同期比20.5%減)。
うち交換機172億円(同31.0%減)、搬送装置524億円(同16.4%減)となりました。交換機は、PSTNマイグレーションに向けた局用交換機の更新が完了したために大幅に減少しました。搬送装置では、需要が一巡したデジタル伝送装置やその他搬送機器が減少しました。
④無線ネットワーク関連機器: 575億円(前年同期比25.7%減)。
うち固定通信装置162億円(同30.8%減)、基地局通信装置は413億円(同23.5%減)となりました。基地局通信装置は、海外メーカーの輸入などで国内需要は増加しましたが、国内での生産は同比で減少しました。
⑤ネットワーク接続機器(ルーター、LANスイッチ等): 146億円(前年同期比13.7%減)。
⑥有線部品(有線ネットワーク機器用): 133億円(前年同期比3.9%減)。
図表1:生産動向推移(機種別) 図表はクリックすると拡大表示されます |
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II.輸出(財務省「貿易統計」より)
(1)2016年度上期の実績値
輸出金額は、2,203億円(前年同期比21.2%減)。輸出全体では、部品が大幅に減少したことから同比で減少しました。中国など新興国での携帯電話の需要台数が鈍化したことに加え、円高の影響も受けて、携帯電話の高機能化部品を除いた生産用部品の輸出が減少しました。
(2)機種別実績値
機種別の実績は以下の通りです。
①電話機及び端末機器: 22億円(前年同期比20.1%減)。
うち携帯電話7億円(同48.0%減)、ファクシミリ1億円(同31.7%減)、コードレスホン1億円(同26.3%減)、その他(ビデオ会議システムなど)12億円(同19.1%増)。
②NW関連機器: 754億円(前年同期比16.5%減)。
うち基地局68億円(同27.8%増)、データ通信機器661億円(同19.6%減)、その他NW関連機器24億円(同9.7%減)。
③部品: 1,427億円(前年同期比23.5%減)。
(3)地域別実績値
アジアへの輸出が1,620億円(前年同期比23.6%減)、うち中国が973億円(同33.4%減)。部品全体1,427億円のうち、中国への輸出が886億円で部品全体の62.1%となり、前年同期の71.9%から約10%減少していることから、中国での携帯電話の生産は縮小傾向と想定しました。
北米への輸出が309億円(同17.2%減)、うち米国303億円(同17.5%減)。欧州への輸出が188億円(同1.3%減)、うちEU 171億円(同6.4%増)となりました。
図表2:輸出動向(機種別・地域別) 図表はクリックすると拡大表示されます | |
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III.輸入(財務省「貿易統計」より)
(1)2016年度上期の実績値
輸入金額は、1兆1,494億円(前年同期比13.0%減)。輸入全体では、携帯電話、データ通信機器が需要減少したことにより、上期ベースで大幅な減少に転じました。
(2)機種別実績値
①電話機及び端末機器: 7,479億円(前年同期比11.3%減)。
うち携帯電話7,400億円(同11.2%減)、ファクシミリ23億円(同27.9%増)、コードレスホン23億円(同17.9%減)、その他33億円(同29.1%減)。
②NW関連機器: 2,677億円(前年同期比16.6%減)。
うち基地局104億円(同62.7%増)、データ通信機器2,489億円(同17.7%減)、その他NW関連機器84億円(同32.0%減)。
③部品: 1,339億円(前年同期比14.9%減)
(3)地域別実績値
アジアからの輸入が1兆825億円(前年同期比12.8%減)、うち中国が9,234億円(同11.6%減)で世界全体1兆1,494億円に対する中国比率は80.3%になりました。携帯電話輸入全体7,400億円のうち、中国からの輸入が6,793億円で全体の91.8%と依然として大部分を占めています。
北米からの輸入が339億円(同17.4%減)、うち米国326億円(同16.5%減)。欧州からの輸入が160億円(同12.3%減)、うちEU 156億円(同12.5%減)となりました。
図表3:輸入動向(機種別・地域別) 図表はクリックすると拡大表示されます |
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所在地 | 〒105-0013東京都港区浜松町2-2-12 JEI浜松町ビル3F |
活動内容 | 政府への政策提言、市場調査、環境・国際標準などの共通課題の取組など、会員企業の事業環境改善や事業機会の創出を支援する活動を行う情報通信の業界団体。 |
会 長 | 山本 正已 |
会員数 | 222社・団体(2016年11月現在) |