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通信機器中期需要予測[2014-2019年度]を発刊~2014年度を底に、2015年度以降は緩やかに回復基調へ~

2014年12月10日

一般社団法人 情報通信ネットワーク産業協会(以下、CIAJ)は、この度、我が国の通信機器市場(輸出を含む)に関する中期需要予測[2014年度~2019年度]を 取りまとめ発刊致しました。本年もCIAJで実施する受注・出荷の統計情報や国内通信キャリア、国内外の主要ベンターとのヒアリング情報に基づき、国内通 信機器市場を5年先の2019年度まで予測致しました。また、海外主要地域の通信機器市場予測や国内の運用サービス・アプリケーション市場を調査し分かり 易く解説致しました。

1.概要

日本経済は、2014年度に入りアベノミクスと呼ばれるデフレ克服のための「大胆な金融政策」、「機動的な財政政策」、「民間投資を喚起する成長 戦略」の「三本の矢」の推進により、景気は穏やかに回復基調にある。しかし、国内景気は、消費税増税後の個人消費の反動減が長引き、民間設備投資も2四半 期連続の減少となるなど足踏み状態が続いている。通信機器市場は、2012年度までの円高により機器の生産が海外にシフトし海外生産品の輸入が急激に増加 する状況にある。加えて、国内市場にグローバル規模の大手通信ベンダーが参入し、企業間の競争は激しさを増している。

2013年度の通信機器需要総額は、3兆5,729億円(前年度比0.7%減)となった。今回調査した全22品目のうち前年度比で増加したのは、 固定通信装置、基地局通信装置、デジタル伝送装置、ボタン電話など8品目であり、スマートフォンなどを含むモバイル通信端末(公衆回線付)や光アクセス機 器、LANスイッチなど14品目が同比で減少となった。

2014年度の通信機器需要総額は、3兆3,914億円(前年度比5.1%減)と予測した。全22品目のうち基地局通信装置やビジネスファクシミ リ複合機、ボタン電話、通信機器用部品など9品目が同比で増加したものの、モバイル通信端末(公衆回線付)や固定通信装置、デジタル伝送装置、局用交換 機、ルーターなど13品目が同比で減少すると予測した。

2015年度以降は、LTE- Advancedなどモバイルブロードバンドの高速化やユビキタスコンピューティングの進展により、固定網と移動網がさらに統合した新たなネットワーク網 へと進化していくものと予測する。今後の経済環境にもよるが、業種を越えたビジネスモデルの出現や市場のボーダレス化により、国内の通信機器市場は 2014年度を底にして、その後、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の経済効果を追風とし、需要は増加に向かうものと予測した。

以上より、2019年度の通信機器市場総額は、3兆5,850億円(2013年度比0.3%増)と予測した。

■2013年度
総額:3兆5,729億円(前年度比0.7%減)
・国内:3兆1,221億円(同比3.3%減)
・輸出:4,508億円(同比21.8%増)
■2014年度
総額:3兆3,914億円(前年度比5.1%減)
・国内:2兆8,724億円(同比8.0%減)
・輸出:5,190億円(同比15.1%増)
■2019年度
総額:3兆5,850億円(2013年度比0.3%増)
・国内:3兆0,368億円(同比2.7%減)
・輸出:5,482億円(同比21.6%増)

 

2.予測の概要(第1章~第3章)

〔1〕2014年度の見通し
2014年度の通信機器市場総額は3兆3,914億円(前年度比5.1%減)、国内は2兆8,724億円(同比8.0%減)、輸出は5,190億円(同比15.1%増)と予測した。
以下、各機器分野別に述べる。

①コンシューマ関連機器 1兆6,265億円(前年比6.9%減)
コンシューマ関連機器の9割を占めるモバイル通信端末(公衆回線付)は、スマートフォンが普及するもののフィーチャーフォンの減少をカバー出来ず、前年 比で減少すると見込んだ。コードレスホン、パーソナルファクシミリ、パーソナルファクシミリ複合機は、家庭での利用者数の減少が影響し、減少すると見込ん だ。2014年度コンシューマ関連機器の国内総額は同比で7.7%減と予測した。輸出は同比で3.8%増と予測した。

②ビジネス関連機器 5,845億円(同比4.9%増)
ボタン電話装置、PBX、事業所コードレスホンは、買い替えリプレイス需要が中心のため安定した市場であり、2014年度はリプレイス需要の回復が見込 まれるため前年比で約5%の増加と予測した。単機能ファクシミリから複合機への移行が進んでいるものの国内全体では微減と見込んだ。輸出はビジネスファク シミリ複合機の需要が好調であるため増加と見込んだ。2014年度ビジネス関連機器の国内総額は同比で1.7%減と予測した。輸出は同比で14.6%増と 予測した。

③インフラ関連機器 7,880億円(同比10.0%減)
基地局通信装置は前年比で横ばいと見込んだ。前年度好調であったデジタル伝送装置は通信キャリアの設備投資が携帯基地局にシフトしていることから前年比 で減少と見込んだ。固定通信装置も防災投資が一巡し衛星通信装置が前倒し受注されたことから同比で大幅な減少と見込んだ。輸出は、新興国の需要や米国の景 気回復により大幅な増加と予測した。2014年度インフラ関連機器の国内総額は同比で14.5%減と予測した。輸出は同比で24.7%増と予測した。

④インターネット関連機器・通信機器用部品 3,924億円(同比0.4%減)
ルーターは、企業向け設備投資やデータセンター増設需要があるものの、通信キャリアのNGN投資が一巡したことから前年比で減少と見込んだ。LANス イッチは、スマートフォンの普及に伴うデータトラフィック増加に対する更新需要はあるが、ポート単価の下落から同比で横ばいと見込んだ。光アクセス機器と 通信機器用部品は、CATV型光放送サービスや4K映像サービスへの設備投資の増加があるものの、FTTH向け投資がほぼ完了したことから同比で微減と見 込んだ。輸出は、通信機器の部品が好調であり増加と見込んだ。2014年度インターネット関連機器・通信機器用部品の国内総額は同比で1.7%減と予測し た。輸出は同比で67.8%増と予測した。

〔2〕中期展望
2019年度の通信機器市場総額は3兆5,850億円(2013年度比0.3%増)、国内金額3兆368億円(同2.7%減)、輸出金額5,482億円(同21.6%増)と予測する。以下、概要を述べる。

2019年度までの通信機器産業界は、経済環境にもよるが第五世代移動通信システムや超大容量バックボーン・光アクセスなど高速・大容量化がさら に進展し、4K・8Kなど映像技術の進化、センサー技術の進化を取り込み、インターネット利用の拡大を含め、通信ネットワークがさらに進展していくものと 考えられる。特に、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に向け、様々なモバイル通信端末(公衆回線付)の普及やM2M((Machine to Machine)やIoT(Internet of Things)やビッグデータの活用により、訪日外国人旅行者への多言語音声翻訳など利便性向上をもたらす新たな機器や新サービス市場が生まれることが期 待出来る。以上より、国内の通信機器市場は2014年度を底にして、2015年度以降緩やかに増加すると予測する。

2019年度各機器分野別の予測結果は、下記となった。

①コンシューマ関連機器 1兆8,180億円(2013年度比4.1%増)
モバイル通信端末(公衆回線付)は、2014年度はスマートフォン需要が大幅に減少するものの、2015年度以降増加に転じ2019年度の国内金額は 2013年度比で4.4%増と予測した。輸出は、同比で14.7%増と予測した。また、スマートフォン比率(データカード/モバイルWi-Fiルーター、 M2Mモジュール除く)は2013年度の76.2%から2019年度は83.5%に達すると予測した。

コードレスホン、パーソナルファクシミリ、パーソナルファクシミリ複合機は、家庭での利用者 数の減少や買い替えサイクルの長期化に伴い減少で推移すると見込んだ。2019年度コンシューマ関連機器の国内総額は同比で4.8%減と予測した。輸出は 同比で6.5%減と予測した。

②ビジネス関連機器 6,134億円(同比10.1%増)
ボタン電話装置は、2016年度に一旦需要の谷間を迎え、その後は再びリプレイス需要より増加すると見込まれる。PBXもリプレイス需要が一旦落ち込む ものの、横ばいから微減で推移すると見込まれる。事業所用コードレスホンは、リプレイス需要が見込まれ堅調に推移する。2019年度ビジネス関連機器の国 内総額は2013年度比で2.2%増と予測した。輸出は同比21.8%増と予測した。

③インフラ関連機器 7,586億円(同比13.4%減)
基地局通信装置は、データトラフィック増加に対応するため携帯基地局への設備投資が中心になり、MCA無線、防災行政無線等の基地局も2013年をピー クに減少すると見込まれる。デジタル伝送装置は、通信キャリアのバックボーンへの設備増強投資が一巡し需要の減少が見込まれる。固定通信装置は、2013 年度まで増加したデジタル防災行政無線の導入が完了し、衛星系通信装置も発注件数が不確定で需要は予測しづらい状況にある。2019年度インフラ関連機器 の国内総額は2013年度比で19.0%減と予測した。輸出は、デジタル伝送装置がモバイル系の価格競争により減少するものの、基地局通信装置、固定通信 装置が新興国のインフラ需要拡大により増加が見込まれるため、同比で32.8%増と予測した。

④インターネット関連機器・通信機器用部品 3,950億円(同比0.2%増)
ルーター、LANスイッチは、2015年度以降、データトラフィック増加に対応する設備増強、データセンターの需要拡大などのプラス要因があるものの、 機器価格の下落やポート単価の下落が進み需要の減少が見込まれる。通信機器用部品は、ルーター、LANスイッチ程の単価下落は見込まれないため需要が増加 すると予測した。通信機器用部品の輸出は、堅調な伸びが見込まれる。2019年度 インターネット関連機器・通信機器用部品の国内総額は2013年度比で1.1%減と予測した。輸出は69.2%増と予測した。

 

3.グローバル市場の調査:Gartner社データを引用(第4章)

国内通信機器の総需要は厳しい状況が続くものの、グローバル市場はアジアなどの新興国を中心とした需要に大幅な増加が見込まれる。4章ではこの実 態を把握するためGartner社のグローバル予測データを引用し、CIAJにて分析を加え市場予測・動向を判リ易く解説した。

○使用データ:Gartner社調査による2014年度第3四半期時点の店頭販売金額/台数に関する2013年実績、2014-2018年の販売予測値、2013-2018年平均成長率(暦年)
*但し、CIAJ予測と「機種定義・店頭数値」に違いや、暦年予測値の為に予測値に差がある。

○調査対象(以下、8品目)

  • 「携帯電話(スマートフォン/フィーチャーフォン)」
  • 「スマートフォン」
  • 「ファクシミリ・ファクシミリ複合機」
  • 「デジタル伝送装置」
  • 「固定アクセス機器」
  • 「基地局通信装置」
  • 「ルーター・LANスイッチ・ファイアーウォール(企業向け)」
  • 「ルーター・LANスイッチ(通信キャリア向け)」

○予測概要と主な機器の動向
平成26年発行の「情報通信白書」によると世界の通信機器市場は、今後も新興国を中心に通信端末需要、通信インフラ需要が拡大していると予測されている。コモディティ化が進んでいる中でもグローバルICT市場*1は2018年には4.3兆ドルとなり年平均成長率+3.4%(2013-2018年)が見込まれている。

*1:グローバルICT市場:デバイス、通信、データセンター、ソフトウエア、ITサービスを含む

今回の対象8品目では特に、携帯電話/スマートフォンのモバイルデバイスがアジア・太平洋 (中国・インドを含む日本は除く)を中心に年平均成長率+10.7%が見込まれる。また、通信キャリアの基地局通信装置やデジタル伝送装置、ルーター・ス イッチ機器の高い成長が続くと予測した。

①モバイル通信端末機器は、下図のように通信方式別にみると、3G(W-CDMA、TD-SCDMA、HSDPA、HSUPA)は2015年以降、横ばいで推移し2018年からは減少すると見込まれる。
一方、LTE方式は、新興国でも急激に普及し2018年には11億2,600万台(2013年比約4.5倍)となり、世界中にLTE端末が普及すると予測している。

②通信キャリア向けのルーター・スイッチ機器は、各国で増加するトラフィックに早急に対応するため、通信キャリアや企業の基幹ネットワーク投資が見込まれることから、2018年には196億8,300万米ドル(2013年比で約1.3倍)の市場規模になると予測している。

今後、新興国の経済発展と所得水準の向上に伴い、ブロードバンドの普及に伴うインターネットの普及は、世界的にデータトラフィックの急増をもたら すと考える。特に、通信・インターネット端末としてスマートフォンが急速に普及することから、モバイルデータトラフィックが増加し通信インフラの更なる整 備が求められる。各国の社会インフラ基盤に資する信頼性と運用サービスが必要なことから、製品のみならず運用とサービスを組み合わせたシステムの提供が求 められる。

4.情報通信産業関連市場の動向(第5章)

国内のB2B・B2B2Cなどの運用サービス・アプリ市場は、付加価値サービス市場として成長が著しい。第5章では情報通信関連産業として、①今 後の情報通信基盤となるサービス・端末の動向②ICTを活用した社会基盤への応用、③ICTの活用で成長が見込まれる消費者サービスについて調査し、市場 予測・動向を解説した。

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