一般社団法人 情報通信ネットワーク産業協会(CIAJ)技術企画部会では、ICT産業の事業構造やネットワーク技術の変化を踏まえ、新しい市場・技術トレンドを、通信事業者、ベンダー、利用者の視点から検討を進め、将来のICT技術を見通すことを目指しております。
当技術企画部会は、CIAJ技術系委員会を取りまとめる組織として、必要に応じ、技術系委員会の事業活動を支援するための助言・指導を行い、関係する部会との連携を図り、事業活動を推進しております。
2012年度は、ICT関連の次世代のキーワードリストの作成、SDN/M2M/クラウドをもとに新しいネットワーク構造イメージを纏めました。
2013年度は、社会インフラのパラダイムシフトをもたらすネットワーク仮想化、M2M、クラウドに着眼し、当技術系委員会(18委員会)への「技術ア ンケート調査」と大手シンクタンクへの「ネットワーク仮想化とM2Mの市場動向調査」を踏まえて、新たに取組むべき領域、技術面からの課題抽出の参考指標 となることを基本方針として、この度、『技術ナビゲーション2014』として纏めました。
1.背景と経緯
2013年度は、2012年度(*1)のフォローアップとして、ネットワーク仮想化、M2M、クラウドについて、社会イン フラへのインパクト、適用分野などを整理の上、現状と将来性を検討しました。ネットワーク仮想化とM2Mの市場調査では、製品動向/通信事業者の動向/国 際標準の動向を整理し、マーケットの変化とインフラストラクチャー(概念)を纏めました。
(*1):
2012年度は、2011年度の技術面をベースに市場の変化を鳥瞰した「技術マップ2011」のフォローアップとして、社会構造の変革・産業界へのイン パクト、適用領域・展開見通しなどを条件として篩にかけて、SDN、クラウド、M2Mというキーワードを、抽出し、新しいネットワーク構造イメージを「技 術マップ2012」として纏めました。
2.ネットワーク仮想化とM2Mの動向について
仮想化については、2000年代半ばからはじまったコンピュータ資源の仮想化がネットワーク資源の仮想化を誘発し、仮想化の対象が広がっています。専用装置、アプライアンスで提供されていたものが、仮想化/ソフトウェアで提供できる可能性が高まっています。
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ネットワーク仮想化の普及展開の予測
ネットワーク仮想化については、ネットワークの論理的な構成を柔軟に構築することが期待できるため、CAPEX/OPEXの効率化が図れるととも に、利用者のニーズに対応できるように、仮想的なネットワークをオンデマンドに変化させることが可能になると考えられています。
このような特長を踏まえまして、導入によるメリットと期待される効果を整理しました。
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ネットワーク仮想化技術導入によるメリットと期待される効果
M2Mは、機器同士が自動的かつ自律的に通信を行い、人間の介在無しに監視・制御を行う仕組みであり、従来人間が介在していた、監視と制御の間の処理を機械が自動的に行うことが可能となり、ビックデータの源の1つとなります。
その適用分野は、エネルギー管理や遠隔検針の他にも、FA(Factory Automation)、PA(Process Automation)、運輸・交通、セキュリティ、ヘルスケア、防災、環境、物流、在庫管理、動態管理等様々な領域への適用が可能となります。
通信事業者とベンダ等の事業者は、関連デバイス/モジュール及びクラウドソリューションを提供することで、市場に参入しています。また、キャリアがグローバルでパートナーシップ形成、システム全体がグローバル・スタンダード化しています。
事業者 | 業種 | 備考(選定理由等) |
---|---|---|
NTTドコモ | キャリア | ■ドコモ×M2Mサービスを展開 http://www.docomo.biz/html/service/module/concept/ |
Softbank | キャリア | ■M2Mソリューションを展開 http://mb.softbank.jp/biz/m2m/ |
富士通 | メーカ | ■FENICS II M2Mサービスを展開 http://fenics.fujitsu.com/networkservice/m2m |
NEC | メーカ | ■M2Mソリューション CONNEXIVEを展開 http://jpn.nec.com/solution/m2m/ |
ウェザーニューズ | 利用企業 | ■花粉観測情報の収集にM2Mを活用 |
パーク24 | 利用企業 | ■Times等に設置された自動精算機に係る情報の収集・管理でM2Mを活用 |
クラウド、M2Mの進展により、多様化するサービスとトラフィックの急増を踏まえ、より強靭で強く、柔軟で、ユーザフレンドリーなネットワークを支える技術として、固定系及びモバイル系において、ネットワーク仮想化の導入が検討されています。
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仮想化インフラストラクチャー(概念)
3.今後の取り組み
ネットワーク仮想化(SDN)、M2M、クラウドの普及促進により、ビジネスの主体がサービス、ソリューションに大きくシフトしており、M2Mに 代表されるビックデータの活用含め、多様なサービスとプラットフォームの双方の領域を踏まえて、新たなサービスを支えるネットワークとして、ネットワーク 仮想化技術の進展が期待されています。
CIAJとしては、新たな技術の進展、市場の動向を把握し、CIAJ活動のダイバーシティを発展させて、2020年東京五輪も見据えて、省庁への技術政策提言へ反映できるように進めていきます。
●「技術ナビゲーション2014」の全文はこちら[PDF:1098KB]
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