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お知らせ

通信機器中期需要予測[2013-2018年度]を発刊~2014~2015年度に減少するも、2017年度以降は回復~

2013年12月11日

一般社団法人 情報通信ネットワーク産業協会(以下、CIAJ)は、この度、我が国の通信機器市場(輸出を含む)に関する中期需要予測[2013年度~2018年度]を取りまとめ発刊致します。(12月13日発刊予定)
本年もCIAJで実施する通信機器受注・出荷の統計情報や海外メーカーのヒアリング情報に基づき国内通信機器市場を2018年度まで予測致しました。また、世界主要地域の通信機器市場動向をGartner社予測等より引用し解説致しました。

1.概要

日本経済は、2013年度に入り円安効果による輸出の持ち直しや公共投資などの経済対策効果による内需改善により緩やかな回復となりました。国内 の通信機器市場は、グローバル企業が参入し国内市場の企業間の競争も激しさを増しているものの、通信ネットワークの大容量・高速化や様々なモバイル通信端 末の急激な普及により市場自体は増加が続いています。

2012年度は、通信キャリアによる設備投資が拡大し、基地局通信装置やデジタル伝送装置、光アクセス機器の需要は増加しました。固定通信装置や 局用交換機などの需要は伸び、スマートフォン、フィーチャーフォンなどを含むモバイル通信端末(公衆回線付)やビジネスファクシミリ複合機などのビジネス 向け端末機器、コードレスホンなど一般消費者向け端末機器の需要は減少しました。以上から、通信機器需要総額は、3兆5,911億円(前年度比1.8% 増)となりました。

2013年度は、基地局通信装置やデジタル伝送装置が設備投資により需要拡大が見込まれ、固定通信装置も増加が見込まれます。しかし、モバイル通 信端末(公衆回線付)やビジネスファクシミリおよびパーソナルファクシミリやパーソナルファクシミリ複合機などが減少すると見込まれます。以上から、通信 機器需要総額は、3兆5,955億円(前年度比0.1%増)と予測しました。

2014年度以降、政府の人口統計より、国内の人口減少や高齢化により生産年齢人口が減少し事業所数が減少することが予想されます。国内通信イン フラは既にブロードバンド環境整備が全域に行き渡っておりFTTHの環境の整備も9割に達しています。国内の通信機器需要は2013年度をピークに 2014~2015年度は減少し、各種モバイル通信端末の普及により2017年度以降は緩やかな回復に向かうと見込まれます。以上から、2018年度の通 信機器市場総額は、3兆5,634億円(2012年度比0.8%減)と予測しました。

中長期的な通信機器市場は、2020年に開催が決まった東京オリンピックに向け、様々なモバイル通信端末(公衆回線付)の普及や各産業における新しいICTインフラの社会実装などにより、新たな機器需要や新サービス市場が生まれることが期待されます。

■2012年度
基地局通信装置、デジタル伝送装置などインフラ関連機器が増加。端末機器は減少。
総額:3兆5,911億円(前年度比1.8%増)
・国内 3兆2,209億円(同3.1%増)
・輸出  3,701億円(同8.7%減)
■2013年度
デジタル伝送装置、固定通信装置が増加。モバイル通信端末(公衆回線付)が減少。輸出が増加。
総額:3兆5,955億円(前年度比0.1%増)
・国内 3兆2,051億円(同0.5%減)
・輸出  3,905億円(同5.5%増)
■2018年度
モバイル通信端末(公衆回線付)が増加。インフラ関連機器が微減。輸出が増加。
総額:3兆5,634億円(2012年度比0.8%減)
・国内 3兆1,857億円(同1.1%減)
・輸出  3,777億円(同2.1%増)

 

2.予測の概要(第1章~第3章)

〔1〕2013年度の見通し
2013年度の通信機器市場総額は3兆5,955億円(前年度比0.1%増)、国内は3兆2,051億円(同0.5%減)、輸出は3,905億円(同5.5%増)と予測した。以下、各機器分野別に述べます。

①コンシューマ関連機器 1兆8,099億円(前年比1.1%減)
コンシューマ関連機器の9割を占めるモバイル通信端末(公衆回線付)は、スマートフォンが急増するものの、フィーチャーフォンの減少をカバー出来ず減少 すると予測しました。また、コードレスホン、パーソナルファクシミリ、パーソナルファクシミリ複合機は、家庭での利用者数の減少により減少すると予測しま した。この分野の輸出は、全体として海外生産シフトが進み減少すると予測しました。

②ビジネス関連機器 5,557億円(同比0.4%減)
ボタン電話装置、PBX、事業所コードレスホンは、国内の更新需要や買い替え需要が堅調に推移しており現状を維持すると予測しました。また、ビジネス ファクシミリは、ビジネスファクシミリ複合機への移行により減少すると予測しました。輸出は、ビジネスファクシミリ複合機の海外需要が好調であり全体で増 加すると予測しました。

③インフラ関連機器 8,073億円(同比5.0%増)
基地局通信装置やデジタル伝送装置は、モバイルデータトラィックの急増に対応した国内通信キャリアによる設備投資の拡大により需要が増加すると予測しま した。また、固定通信装置は防災の高まりから需要の増加が見込まれます。局用交換機は減少すると予測しました。輸出は、新興国市場の需要増加と欧米の経済 環境の回復により需要の大幅な増加が見込まれます。

④インターネット関連機器・通信機器用部品 4,284億円(同比0.3%減)
ルーター・LANスイッチは、データトラフィックの急増による設備の更新需要は見込めるものの、NGN関連投資の削減が進むことから横ばいか微減と予測 しました。また、光アクセス機器と通信機器用部品(リレー/中継機器を含む)は、FTTH向け投資がほぼ完了したことから需要は減少すると予測しました。 輸出は、LANスイッチが海外での競争力を確保して増加すると見込まれます。

〔2〕中期展望
2018年度の通信機器市場総額は3兆5,634億円(2012年度比0.8%減)、国内金額3兆1,857億円(同1.1%減)、輸出金額3,777億円(同2.1%増)と予測しました。
以下、概要を述べます。

2018年度までの通信機器産業界は、ボーダレス化の進展によりグローバル企業と世界のあらゆる市場で生き残りをかけた競争が激化するものの、さ らなる高速IP化、モバイルネットワーク化によりセンサーネットワークを扱ったモバイル通信端末の普及やビッグデータを扱った新たなクラウドサービスが伸 展するものと考えられます。
2013~2018年度の通信機器市場は、2013年度をピークに緩やかな減少傾向に向かい、2017年度以降やや回復してくると予測しました。

2018年度、各機器分野別の予測結果は、下記のようになりました。

①コンシューマ関連機器 (2012年度比5.4%増)
スマートフォン、フィーチャーフォンなどのモバイル通信端末(公衆回線付)は、スマートフォンへの移行が進み、2018年度のスマートフォン比率は 81.9%に達すると見込まれます。モバイル通信端末(公衆回線付)は、図のように国内出荷台数は2013年度に一時減少しその後、データ通信端末の利用 拡大などにより需要は増加すると予測しました。
特にスマートフォンの国内メーカー台数比率は2018年度には約47%まで回復すると予測しました。
また、コードレスホン・パーソナルファクシミリ・パーソナルファクシミリ複合機は、高機能化による需要喚起が行われていますが、携帯電話や電子メールの普及に伴い家庭での利用率の低下とともに需要は徐々に減少すると予測しました。

②ビジネス関連機器(同比9.2%減)
ボタン電話装置、PBX、事業所用コードレスホンは、2014年度以降もリプレイス需要が見込まれますが、横ばいから微減で推移すると予測しました。
ビジネスファクシミリ・ビジネスファクシミリ複合機は、複合機への移行が進み、事業所の減少やIP機器の集約により需要は減少すると予測しました。

③インフラ関連機器 (同比8.6%減)
デジタル伝送装置、固定通信装置、基地局通信装置は、この数年、スマートフォンや動画配信サービスの拡大によってデータトラフィックが急増し、その対応のため需要が増加すると予測しました。
特にデジタル伝送装置は、図のようにモバイルネットワークバックボーン向けの投資需要や官庁・その他民間向け需要も堅調な需要が続くと見込まれます。輸出は、新興国の設備投資需要が好調であり今後も拡大すると予測しました。
局用交換機は、PSTNからIP網への移行に向け2015年度以降は通信キャリアの投資が年々減少するため、今後の需要は大幅に減少すると予測しまし た。インフラ関連機器全体では、現時点では国内需要は減少し、輸出は新興国の社会インフラ整備の需要拡大に伴い伸びると予測しました。

④インターネット関連機器・通信機器用部品 (同比2.2%減)
インターネット関連機器・通信機器用部品は、データトラフィック急増に対応するため通信事業者の設備更新、クラウドの伸展に伴うデータセンターの需要拡 大などのプラス面が見込まれます。しかし、機器の集約化や通信事業者間の競争により価格の低下が進むことから、横ばいで推移すると予測しました。

デジタル伝送装置

 

3.グローバル市場の調査:Gartner社データを引用(第4章)

国内通信機器の総需要は緩やかな減少傾向が続くものの、グローバル市場はアジアなどの新興国を中心とした需要に大幅な増加が見込まれます。

このような状況から、2年前からGartner社のグローバル市場データを購入し専門アナリストの意見を確認しながら、国内需要予測(第1章~第3章)とは章立てを分けて動向を解説しました。

○調査数値:Gartner社調査による2013年度第2四半期時点の店頭販売金額/台数に関する2012年実績と2013年-2017年(暦年で4年間)の市場予測値
*但し、CIAJ予測と「機種定義・店頭数値」に違いがあり、暦年予測値の為に数値に差がある

○調査対象(以下、8品目)

  • 「携帯電話(スマートフォン/フィーチャーフォン)」
  • 「スマートフォン」
  • 「ファクシミリ・ファクシミリ複合機(パーソナル用/ビジネス用)」
  • 「デジタル伝送装置」
  • 「光アクセス機器」
  • 「基地局通信装置」
  • 「ルーター・LANスイッチ・ファイアフォール(企業向け)」
  • 「ルーター・LANスイッチ(通信事業者向け)」

○グローバル市場予測概要と主な機器の動向
平成25年発行の「情報通信白書」によると世界の通信機器市場は、グローバルな通信需要の拡大を背景に、コモディティ化が進んでいる中でも年平均4.8%のプラス成長率で推移すると予測しています。
上記8品目では、特に携帯電話/スマートフォンのモバイル通信端末機器が今後もアジアを中心に年率7.4%で拡大するものとみられます。また、モバイル用基地局通信装置やデジタル伝送装置、ルーター・スイッチ機器の高い成長が続くと予測しています。

下図のように、通信方式別にみると、3G(W-CDMA、TD-SCDMA、HSDPA、HSUPA)は2016年までに伸びるがその後、横ばいに推移すると見込まれます。
LTE方式は2013年以降も急激に伸び2017年には2012年比で約8倍となり世界中にLTE端末が普及すると予測しています。
また、それに伴いキャリア向けのエッジ・ルーターやLANスイッチも2017年には2012年比で約1.6倍に伸びると予測しています。

我が国の情報通信機器市場は、固定系・移動系ともにマイナス成長と予測する一方で、グローバル市場は、アジア・パシフィック地域を中心におおむね年平均成長率4~5%のプラス成長と予測しています。
各国の通信キャリアや企業の基幹ネットワークは、増加するトラフィックに早急に対応し社会インフラ基盤としての信頼性と運用サービスが求められることから、グローバル市場に展開するベンダーには製品のみならず運用とサービスを組み合わせたシステムの提供が求められます。

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(冊子:約160頁)

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