一般社団法人 情報通信ネットワーク産業協会(CIAJ)は、この度、2011年度 上半期(4-9月) 通信機器生産・輸出入の概況をまとめました。
通信機器国内生産は、5,682億円、前年同期比14.2%減となり、前年同期比で8年連続のマイナスとなりました。国内市場の環境は、上期前半に部 品・部材の調達問題、需要の減少・設備投資の抑制、生産設備の直接被災など震災による影響を受けたものの、震災の復興は予想以上に進み、需要回復の兆しが 見えました。しかし、夏場の電力不足や円高や欧米の景気低迷に加え中国など新興国の減速が発生し、再び、需要回復にとって悪い要因が発生しました。
通信機器市場は、スマートフォンによる需要拡大とこれに伴うデータ・トラフィックの急増による基地局需要が好調ですが、設備投資抑制やインフラ整備への 投資が一巡によるマイナス面があり、全体的には緩やかな需要回復が進む中、国内生産は依然厳しい状態にあります。特に携帯電話市場がスマートフォンにより 市場が活性化していますが、海外メーカーに先行され国内メーカーは、依然、苦戦を強いられています。
輸出総額は1,768億円(同比20.8%減)、輸入総額は6,921億円(13.8%増)となりました。
I.国内生産
2011度上半期の生産金額は5,682億円。
前年同期比▲14.2%と8年連続して減少だが、4-6月(1Q)の前年同期比▲24.0%より改善している。
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【機種別には以下の通り】
- 有線端末機器441億円(前年同期比+2.3%)
- 移動体端末機器2,826億円(同比▲24.5%)
うち、携帯電話2,426億円(同比▲27.1%)
公衆用PHS端末125億円(同比+9.7%) - 有線ネットワーク関連機器 1,696億円(同比▲4.1%)
うち、交換機616億円(同比▲5.8%)
搬送装置1,080億円(同比▲3.2%) - 無線ネットワーク関連機器416億円(同比▲13.9%)
うち、基地局通信装置 114億円(同比▲32.7%) - ネットワーク接続機器204億円(同比+79.2%)
- 有線部品98億円(同比+24.4%)
《2011年度上半期の主な機種の動向》
- 有線端末機器は、市場自体の縮小傾向である中で、震災後の部品供給の回復もあり、電話機とインターホンが2桁の増加となった。
- 移動体端末機器は、携帯電話の加入者数は増加しているものの、海外製品の市場流入や海外生産へのシフトが進み、生産額は昨年に続き大きく減少し た。公衆用PHS端末は、通信キャリアの新しいサービスが若者を中心に受け入れられ加入数が伸びたが価格低下により横ばいとなった。
- 有線ネットワーク関連機器は、変復調装置とデジタル伝送装置が前年を上回ったが、NGN対応の投資が一段落した為、交換機やその他の搬送装置(光伝送装置を含む)が前年を下回った。
- 無線ネットワーク関連機器は、固定通信装置が前年を下回り、基地局通信装置も大幅に落ち込んだため大幅減となった。
- ルータ、LAN等のネットワーク接続機器や有線部品関係は震災復興や企業のBCP対策の設備強化要因があり大幅な増加となった。
II.輸出
2011年度上半期の輸出総額は1,768億円(前年同期比▲20.8%)であった。
- 電話機及び端末機器は 43億円
携帯電話 11億円
ファクシミリ 9億円
コードレスホン 11億円
その他 13億円 - ネットワーク関連機器は 770億円
基地局 91億円
データ通信機器 659億円
その他ネットワーク関連機器 21億円 - 部品は955億円
上半期の実績を前年と比較すると、携帯電話(同比+27.4%)、コードレスホン(同比+104.0%)は増加したが、データ通信機器(同比▲3.6%)、その他NW関連機器(同比▲38.9%)、部品(同比▲31.9%)が大きく減少した。
地域別では、アジアが1,066億円(前年同期比▲29.5%・構成比60.3%)、うち中国は493億円。北米418億円(同▲0.3%・同23.6%)、うち米国404億円。欧州186億円(同▲15.0%・同10.5%)、うちEU 125億円であった。
特にアジアへの部品の輸出が594億円(同▲41.7%)と大きく減少した。
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![]() (出所:財務省貿易統計調査) |
III.輸入
2011年度上半期の輸入総額は6,921億円(前年同期比+13.8%)であった。
- 電話機及び端末機器は3,280億円
携帯電話 3,193億円
ファクシミリ 23億円
コードレスホン 34億円
その他 30億円 - ネットワーク関連機器は2,394億円
基地局 351億円
データ通信機器 1,975億円
その他ネットワーク関連機器 68億円 - 部品は1,247億円
上半期の実績を前年と比較すると、携帯電話が昨年に続き大きく増加している。携帯電話(同比+36.5%)、データ通信機器(同比+22.8%)が大きく増加し、ファクシミリ(同比▲45.2%)、基地局(同比▲2.7%)、部品(同比▲21.3%)が減少した。
地域別では、アジアが6,162億円(前年同期比+17.8%)、うち中国は4,297億円。北米386億円(同+9.0%)、うち米国368億円。欧州264億円(同▲31.9%)、うちEU 260億円であった。
アジアからの輸入では、携帯電話が3,183億円(構成比51.7%)、データ通信装置が1,495億円(構成比24.3%)、部品が1,106億円(構成比18.0%)となり、携帯電話の構成比が全体の半数を超えた。
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![]() (出所:財務省貿易統計調査) |
注)上記の概況値は、現時点での集計値です。今後、修正が入る場合もあります。
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