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グローバル通信機器市場の動向調査報告 〜グローバル出荷しても市場獲得が期待できる「家庭・企業向けの5GやIoTの技術力の高い新製品」を狙う〜

一般社団法人情報通信ネットワーク産業協会(CIAJ)では、このたび「グローバル通信機器市場の動向調査」をまとめました。
通信機器市場全体と携帯電話、デジタル伝送装置、携帯基地局、固定無線機器の4機種を対象にして日系メーカーのグローバル活動実績調査をこれまで実施しましたが、今回は、新たにルーターやLANスイッチにも着目して通信機器市場全体から抽出し、新たな観点での生産・出荷の実態分析を把握しました。

I.概 要

グローバル通信機器市場では、2016年もスマートフォンが需要を伸ばして引き続き市場全体を牽引する中で、それに伴って通信トラフィックも急速に増加し、通信インフラ機器を含めた通信機器の需要も近年鈍化してきているものの、拡大する傾向にあります。

一方で、国内の通信機器市場は、日系メーカーの国内生産や国内出荷の大幅な減少が継続していますが、これまで通信機器市場全体と、携帯電話、携帯基地局、デジタル伝送装置、固定通信装置の4機種を対象に日系メーカーの海外生産や海外出荷の市場調査を実施した「CIAJ通信機器市場のグローバル統計調査(2012年~2015年)」にて、日系メーカーの海外生産や海外出荷では拡大を続けている実態を明らかにしました。今回の調査でも、これまでと同様の構図が継続していることを把握しました。

  1. 日系メーカーが生産(出荷)した全体金額のうち、約4割を海外生産して海外出荷(Out-Out)している。
  2. 日本市場全体のうち、海外メーカーの出荷シェアは5割を超えて、さらに拡大した。

【図表1:通信機器市場全体の2016年の生産・出荷フロー】
In-In:国内生産し国内に出荷、   In-Out:国内生産し海外に輸出
Out-In:海外生産し国内に輸入、 Out-Out:海外生産し日本を経由しないで海外出荷

II.日系メーカーの生産・出荷の規模と推移

生産・出荷の規模

日系メーカーの国内・海外合計の総生産額(もしくは総出荷額)2兆4,743億円のうち31.6%が国内、残り68.4%が海外で生産され、2015年に比べて、国内生産額が7.5%減、海外生産額が8.4%減となりました。市場全体に占める規模が大きい携帯電話(スマートフォン・フィーチャーフォン)の2016年の需要が低迷し、日系メーカーによる国内外の携帯電話における事業構造改革や生産機種の絞りこみ等が実施されたことが要因であると推測されます。
これまで拡大していた海外生産比率が、2015年と比べ0.2%減となり、若干の減少に転じましたが、依然多くの生産が海外で行なわれています。事業や機種の見直しを行いながらも重点市場を海外市場に置き、海外市場向け製品は海外で生産する地産地消の傾向を続けています。
また、出荷先別では49.9%が国内市場、残り50.1%が海外市場に出荷されています。2015年に比べて、国内出荷額は13.3%減、海外出荷額は2.2%減となりました。国内出荷額が減少したことにより、日本市場に対する日系メーカーのシェアは48.6%となって2015年に比べて低下したとともに、海外メーカーが51.4%となって国内出荷シェアが初めて逆転しました(2012以降)。

生産・出荷の推移

In-In:
日本市場が縮小する中で国内生産の減少が継続して、2015年比4.4%減となりました。
スマートフォンの生産拠点の縮小が主要因になります。

In-Out:
国内生産から海外市場へ出荷するIn-Outは大幅に減少、2015年比18.0%減となりました。地産地消の流れが主要因ですが、世界市場での日系メーカーのプレゼンスが低下しています。

Out-In:
海外で生産し国内市場を出荷先とするOut-In は、国内市場の縮小に伴って21%減となりました。2013年から変化がありませんでしたが、スマートフォンの2016年の需要が減少したため、海外メーカーだけでなく日系メーカーが海外生産した輸入分であるOut-Inが減少したことが要因になります。

Out-Out:
2015年に金額規模が1兆円を超えたOut-Outは、2016年も2年連続して1兆円を超えました。デジタル伝送機器や固定通信装置を中心に、海外市場における需要増に対応して増加したことが主要因であり、今回、新たな対象機種として調査したルーターやLANスイッチのネットワーク機器においても、海外拠点の活用による生産がみられており、今後も地産地消に対応した動きが続くと推測できます。

【図表2:通信機器市場全体の生産・出荷フローの推移】
 

III.日系メーカーの生産・出荷フローまとめ、取り組むべき課題

今回は、新たにルーターやLANスイッチにも着目したことから、日系メーカーの生産・出荷の取組みに3つの傾向が見て捉えられました。

①デジタル伝送装置や固定無線機器では、日本市場の規模の大小にかかわらず、保有する技術力を武器にして海外市場へも日本市場の規模以上に出荷しています。技術力が高いため、コスト力に対応するためのOut-Outを重視しているだけではなく、国内生産によるIn-Outの出荷量も獲得しています。

②携帯基地局、キャリア向けルーター、企業向けLANスイッチでは、日本市場の規模が比較的大きいことや海外メーカーへの市場開放もあって、海外メーカーの進出が目立っています。さらにシステム総合力や低コスト化による競争激化によって、日系メーカーが海外市場に向けて出荷することも難しいために海外生産もほとんど活用していません。このため、大手海外メーカーとの共同事業の運用や、製品をもたない活動(OEMなど)を行なっています。

③企業向けルーター、キャリア向けLANスイッチでは、②に比べて日本市場の規模が小さく、日系メーカーと海外メーカーの出荷が伯仲しています。日系メーカーではこの競争に対応するため、海外生産からの国内出荷Out-Inを積極的に活用して、低コスト化などに取り組んでいます。

今後はネットワークのデータトラフィックが増大していく一方で、②に分類した携帯基地局、ルーター、LANスイッチの分野では、仮想化・ソフトウェア化技術(SDN/NFV)が進展することから汎用化・集約化が進み、システム市場規模は微減傾向で推移すると思われます。このため、特にキャリア向けでは、大手海外メーカーとの共同事業(マルチベンダ)によって仮想化ネットワークに対応した事業に対応していくことが見込まれます。
一方で、①の分野では、仮想化・ソフトウェア化できない物理ハードウェア(伝送や変換)の技術力を展開し、第五世代通信技術(5G技術)も踏まえて、企業向けやコンシューマ向けの新製品を投入していくことが見込まれます。家庭や企業向けのブロードバンドサービスとして高速大容量のラストワンマイル接続に活用できる携帯ネットワーク向け機器や、工場などのIoT監視エリアをより広くカバーするためのIoT伝送機器など、市場規模の進展が期待できる新たな製品開発が望まれます。

【図表3:機種別の生産・出荷フロー】

IV.その他

2016年は、需要低迷によって国内向けや海外向けの出荷が縮小した機器がみられたが、日系メーカーは、依然として、海外生産-海外出荷(Out-Out)というビジネスモデルを活用して、事業の伸展を図っていることが把握できました。

今回の調査では、6機種8項目の調査対象から、3つに分類できる生産・出荷の構図を捉えられました。例えば、技術力を武器にOut-OutだけではなくIn-Outにも実績を残しているデジタル伝送装置や固定無線機器、また海外メーカーに圧倒的に日本市場さらには海外市場も押さえられており、仮想化の進展も進む携帯基地局、キャリア向けルーター、企業向けLANスイッチ、さらに海外メーカーとの競争が伯仲してOut-Inを積極的に活用している企業向けルーター、キャリア向けLANスイッチ、という実態を把握できました。
また、昨年度報告書で掲げた目標として「統計面からの政策提言(生産統計・貿易統計の機種細分化・利便性向上など)の発信」に関しては、経済産業省 情報産業課と連携して、財務省貿易統計の機種細分化への要望提案を行なった結果、2018年1月の輸入品目表にて「音声、画像その他のデータを受信、変換、送信又は再生するための機械(データ通信機器)」を「スイッチング機器及びルーティング機器」と「その他のもの(例えば、デジタル伝送装置、変復調器、PON/メディアコンバータ)」に細分化するという成果を得ました。これによって、今後、仮想化・ソフトウェア化が進む「スイッチング機器及びルーティング機器」の市場動向を輸入統計の面(海外メーカーの実態)からもより具体的に把握できるようになると考えています。

今後も、新たにグローバル通信機器市場を牽引するような5G関連装置やIoT関連機器などの市場動向を把握できる調査方法を検討し、調査統計の面から日系メーカー等のグローバルを含めた事業活動を支援してまいります。

本リリース内容に関する問い合わせ先

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TEL:03-5403-9356 Fax:03-5403-9360

広報に関する問い合わせ先

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TEL:03-5403-9351 Fax:03-5403-9360

【一般社団法人 情報通信ネットワーク産業協会 概要】
団体名一般社団法人情報通信ネットワーク産業協会  https://www.ciaj.or.jp/
所在地〒105-0013東京都港区浜松町2-2-12 JEI浜松町ビル3F
活動内容政府への政策提言、市場調査、環境・国際標準などの共通課題の取組など、会員企業の事業環境改善や事業機会の創出を支援する活動を行う情報通信の業界団体。
会 長川崎 秀一
会員数199社・団体(2018年1月現在)