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お知らせ

IoT新市場獲得に向けた市場動向調査 ~IoT化へのポテンシャルが高い海外市場への展開により成長拡大~

2017年6月28日

一般社団法人情報通信ネットワーク産業協会(以下、CIAJ)は、この度「2016年度に実施したIoT市場調査報告」をまとめました。
CIAJでは、IoT社会の普及・拡大を目指した新市場開拓の推進に取組んでおります。具体的な取組みとして、成長拡大する分野から新たなIoT市場を獲得するためには、IoT市場の動向を的確に把握することが重要であり、IoT市場を関連分野別(カテゴリ別)に分けてIoT化の進展を分析する動向調査を実施いたしました。

1.概要

今回のIoT市場動向調査では、IoT市場に関連する機器のうち、繋がる機能をもつことを「IoT化された」と称し、IoT化されていない機器も含んだ機器合計に対するその比率をIoT化率で定義(※後述)しました。これにより、IoT化率が低いカテゴリや機器は今後、市場が拡大すると想定できます。

世界では、調査対象としたカテゴリ全体(※注1)に含まれる「IoT化された機器」の出荷台数は約54億台、出荷金額は約6,000億ドル(ともに2015年)に達していますが、調査対象としたカテゴリ全体の機器合計に対するIoT化率は約20%台に留まります。したがって、今後も台数的な増加に加えて、IoT化率も上昇トレンドになると予測されるため、日本メーカーはよりIoT化進展へのポテンシャルが高い海外市場への展開が重要になると考えられます。特に、IoT化率が低いスマート家電などのコンシューマ向けや監視カメラなどの産業用途への展開が期待されます。

一方、日本国内では、「IoT化された機器」の出荷台数は約1億台、出荷金額は約300億ドルであり、調査対象としたカテゴリ全体の機器合計に対するIoT化率はすでに約60%台と世界に比べて高い状況です。IoT化率が約100%に達している通信カテゴリでは、2018年以降の第五世代移動通信システム(以下、5G)の通信方式などの新技術を使った通信端末や通信インフラ機器などの成長市場へのシフトが期待されます。

2.調査分析手法

(1)調査対象

IoT市場の動向を的確に把握するために、IoTから想定される調査対象として4種類のレイヤーと11種類のカテゴリを定めました。この中から2016年度の調査対象として、CIAJで把握が必要なカテゴリを抽出し、外部調査会社へデータ調査を依頼いたしました。ただ、IoTのサービス分野はまだ立ち上がったばかりであるためデータ取得が難しく、まずは機器・ハードウェア中心のカテゴリ(通信、コンシューマ、産業用途、自動車、ヘルスケア)と、クラウドサービスのカテゴリを調査対象にしています。また、今後もデータ調査を継続実施して成長拡大するカテゴリを推定していくには、実績を明確に把握した上での見通しを得ることが重要だと考え、2015年の実績値を把握した上で、2016年の見通し値と2017年の予測値を推定して市場の動向を分析することとしました。さらに、外部調査会社の調査データを活用しているために、2015年の実績値を検証する方法として、同じ機器を対象としたCIAJの自主統計値との比較を行ない、確実性を高めています。

図表1:IoT市場の調査対象内容
【調査対象期間】  2015実績、2016見込み、2017予測(すべてCY)
【調査単位】      出荷台数、売上金額(ドルベース)
【調査対象地域】  日本 と 世界(北米、ラテンアメリカ、欧州/中東/アフリカ、アジア/太平洋)
【調査対象分野】  通信、コンシューマ、産業用途、自動車、ヘルスケア と クラウド

(※注1:調査対象としたカテゴリ全体=通信、コンシューマ、産業用途、自動車、ヘルスケアの合計)
(※注2:最終製品であるテレマティクス搭載自動車は、台数、金額ともカテゴリや全体合計に含めておりません)

(2)IoT化率について

それぞれのカテゴリに含まれる機器のうち、他の機器やインターネットなどと有線・無線通信で繋がる機能をもつことを「IoT化された」と称し、さらにIoT化されていない機器も含んだ機器の合計台数(や合計金額)に対する「IoT化された機器」の台数(や合計金額)の比率をIoT化率と定義しました。例えば、通信カテゴリの機器ではほとんどが繋がるためにIoT化率は約100%となっています。また、X線画像診断装置では、IoT化されたものにはX線画像の電子データを病院内に転送して共有できる装置もありますが、IoT化されていないものには現像したX線写真を持ちまわるアナログ的装置もありますので、IoT化率は約70%程度になっています。

各機器のIoT化率各機器のうちIoT化された機器の規模
各機器の合計規模(=母数)

調査対象としたカテゴリ全体のIoT化率
(※注1)
調査対象としたカテゴリ全体のうちIoT化された機器の規模
調査対象としたカテゴリ全体の機器の合計規模

3.調査結果

(1)出荷台数ベースによるIoT市場動向

  1. 調査対象としたカテゴリ全体に含まれる「IoT化された機器」の出荷台数(2015年)では、世界は54億5,642万台であり、日本は1億1,008万台と世界市場の約2%の規模になっています。
  2. 世界と日本ともに、携帯電話などの通信カテゴリのIoT化率は約100%に近い値となっています。世界では、通信カテゴリ以外のカテゴリでのIoT化率が低いため、2017年でもIoT化率は約20%しかなく、市場拡大のポテンシャルがあるものと考えられます。日本では、コンシューマ向けや自動車向けのIoT化が先行しているために、IoT化率がすでに60%を上回っています。
図表2:IoT化された機器の出荷台数ベースによるIoT市場動向
【世界:出荷台数ベース】
(単位: 千台)
【日本:出荷台数ベース】
(単位: 千台)

(2)出荷金額ベースによるIoT市場動向

  1. IoT化された機器の出荷金額(2015年)では、世界は6,022億ドルであり、日本は325億ドルと、世界市場の約5%の規模になっています。
図表3:IoT化された機器の出荷金額ベースによるIoT市場動向
【世界:出荷金額ベース】
(単位: 百万ドル)
【日本:出荷金額ベース】
(単位: 百万ドル)

(3)カテゴリ別の出荷金額やIoT化率によるIoT市場

  1. 通信カテゴリは、世界では、金額ウェイトの高い携帯電話やスマートフォンに代表される通信端末の急速な低価格化の影響や、第二世代移動通信システム(2G)から第四世代移動通信システム(4G)の通信方式を使った既存の通信インフラ市場の縮小の影響が表れているため、コンシューマや産業用途の金額規模拡大ではカバーできず、世界のIoT化された機器の出荷金額は横ばいのトレンドが予測されます。日本では、通信端末の低価格化が世界ほど進んでいないために、出荷金額ベースでも増加傾向になっています。世界・日本とも、2018年以降の5G通信方式などの新技術を使った通信端末や通信インフラ機器などの成長市場へのシフトが期待されます。
  2. コンシューマは、世界や日本とも現時点でPC関連機器やプリンタが占める比率が高いためにIoT化率も高く金額ベースでは大きく変化しません。PC関連機器やプリンタを除いた範囲では特に世界でIoT化率が低いですが、2016年以降で白物家電のスマート化が本格的に立ち上がり、さらに健康意識向上によるウェアラブル健康機器の市場拡大が見込まれるため、IoT化進展のポテンシャルが高いと予測されます。
  3. 産業用途は、日本でのIoT化率が高いのは日本で先行しているスマート自販機によるものです。そのほかは、世界と日本とも、照明機器やセキュリティ装置(電子錠などの物理セキュリティ機器や監視カメラ)のIoT化率が現状では低いため、今後は、インテリジェントなネットワーク化によって、リアルタイムの生産量管理や、生産環境監視による省エネ、セキュリティ対策などが開始され、大きく伸びる市場と予測されます(今回調査対象になっていない工場オートメーションや小売・流通機器でもIoT化が進展していないと思われます。
  4. 自動車は、日本ではカーナビゲーション搭載やETCなどの道路インフラの普及によってIoT化で先行しているためにIoT化率が通信カテゴリと同様に高くなっていますが、今後は世界と日本ともコネクティッドカーの普及によって、IoT化の進展と市場拡大が予測されます。
  5. 医療ヘルスケアでは、電子カルテや遠隔医療の普及によりIoT化率が20%になっていますが、今後はさらに、血圧計などの個人向けヘルスケア機器や、高度な医療現場で使われる臨床機器がIoT化されて市場拡大すると期待されています。
図表4:IoT化された機器のカテゴリ別の出荷金額によるIoT市場動向
【世界:出荷金額ベース】
(単位: 百万ドル)
【日本:出荷金額ベース】
(単位: 百万ドル)
図表5:IoT化された機器のカテゴリ別のIoT化率によるIoT市場動
【世界:出荷台数ベース】
【日本:出荷台数ベース】

4.まとめ

今回の調査では機器・ハードウェア中心の規模調査となりましたが、IoT市場は、出荷台数の面ではIoT化の進展で拡大傾向であり、出荷金額の面でもIoT化の進展が期待され、かつ新技術による成長市場へのシフトも見込まれるため、拡大傾向になると予測されます。特に、世界市場では IoT化率が約20%と低いため日本メーカーとして海外市場向けの生産や出荷に期待ができます。これらIoT化の進展を把握することが、ICTによる社会的課題の解決や新市場創出に資する活動の一助になると考えます。

また、別途調査したクラウドカテゴリでは金額ベースで約50%の伸びがあり、IoT化の進展を牽引していくことが想定できるため、今回の調査では把握できなかったサービスカテゴリの動向調査もさらに実施すべく、2017年度のIoT市場動向調査での検討課題としています。

補足

  1. 本報告書は、調査統計分科会/市場調査部が、調査会社 IHSグローバル の協力を得て策定しています。
  2. 本報告書は、CIAJ会員向けのため、会員限定ポータルサイトに掲載しています。

本リリース内容に関する問い合わせ先

市場調査部
TEL:03-5403-9356 FAX:03-5403-9360

広報に関する問い合わせ先

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