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■2002年度2月視察活動: 「筑波技術短期大学 視覚部」

日時

2003年2月14日(金) 14:00〜17:30

場所

筑波技術短期大学 視覚部(〒305-0821 茨城県つくば市春日4-12-7 TEL:029-852-2890)

内容

・視覚障害関係の教育科目の説明
・視覚障害関係施設内の視察
・視覚障害を持つ学生(4名)との意見交換

対応者

教育方法開発センター(2004年現在 障害者高等教育センター) 
教授 岡本 明 様
情報処理学科 講師 小林 真 様、他…関係者

出席者

石浦(東芝)、佐藤(NECデザイン)、山中(オキアルファクリエイト)、駒宮(東芝テック)、善方(富士通)、 堀口(リコー)、守屋(パナソニックデザイン)、竹中(パナソニックモバイルコミュニケーションズ)、阿久津(日本無線)、 高田(日立製作所)、新井(三菱)、柳澤(岩崎通信機)

視察先概要

「筑波技術短期大学 視覚部」
http://www.k.tsukuba-tech.ac.jp/
日本で唯一の、視覚に障害のある人と聴覚に障害のある人が学ぶユニークな3年制の国立大学。視覚部は春日キャンパスに。


視察のポイント


聴覚障害、視覚障害を持つ学生のための国立大学“筑波技術短期大学(※視覚部…春日キャンパス)”を訪れ、視覚障害者に対する教育システムの現状(※教育科目の説明、施設内の見学)についてご紹介頂くと共に教授陣・視覚障害を持つ学生との意見交換会を実施した。

筑波技術短期大学 視覚部の概要


*筑波技術短期大学は昭和62年10月に設立。今年で開学15年目になる。
*本大学は聴覚及び視覚に障害のある人を対象とした3年制の国立短期大学であり、卒業後は「準学士」の資格を取得することができる。

*本大学の入学資格は聴覚障害者については「両耳の聴力がおおむね60デシベル以上のもののうち、補聴器等の使用によっても通常の話し声を解することが不可能または著しく困難な程度の者」が対象。
視覚障害者については「両目の矯正視力がおおむね0.3未満であること」となっている。
詳細は下記、筑波技術短期大学入学試験ページを参照のこと。

障害者のみ(将来、視力低下や視機能低下の恐れのある者を含む)を対象にした大学は筑波技術短期大学が日本で唯一である。また盲学校、社会人(中途障害)からの入学者が多いとのこと。(※学生の中には40歳以上の高齢の学生も)

正門

建物の正面

*学生数は聴覚障害関係学科(1〜3年次)総数/177名、視覚障害関係学科(1〜3年次)総数/138名であり、各学科の入学定員は10名前後(1学年)といった少数での定員数となっている。

※聴覚・視覚障害関係の学科は以下の通り。
○聴覚障害関係学科:デザイン学科・機械工学科・建築工学科・電子情報学科(電子工学専攻,情報工学専攻)
○視覚障害関係学科:鍼灸学科・理学療法学科・情報処理学科
※その他学科の詳細については下記の筑波技術短期大学ホームページを参照のこと。

筑波技術短期大学ホームページ
http://www.tsukuba-tech.ac.jp/
入学試験案内(聴覚障害関係学科)
http://www.tsukuba-tech.ac.jp/kyomu/senbatu0.htm
入試情報(視覚障害関係学科)
http://www.k.tsukuba-tech.ac.jp/Admission/AdmissionJ.html

学内視察


*筑波技術短期大学の概要説明後、視覚部の学内施設を見学。

《柱の根本に敷石》
足下の地面(感触)を変えることで視覚障害者に柱の存在を気づかせる。(※点字ブロックと同じ発想)

屋外の渡り廊下

渡り廊下の柱の根元。白い砂利石が周りを丸く囲っている。

《柱に銀マット》
視力の弱い人でも柱を識別しやすいようにする試み。反射が強い銀マットを使用し効果を確認している。

銀色のマットを巻いた黒っぽい柱

《ゴールに音声装置》
バスケットゴールに音声装置を設置、視覚障害者がゴールからの音を頼りにバスケットを行う。

バスケットボールのゴールの板の後ろに音声装置の箱

《図書室》
図書室には点字図書、AV図書等が置かれている。しかし、点字図書は厚みが嵩張るのが難点

青いファイルが入っている棚

《図書拡大装置》
書籍などを拡大映写させて読むことができる。白黒反転の機能もありコントラストの調整も可能。

液晶画面の下にカメラが取り付けられた拡大装置

《点字ディスプレイ》
PC環境は、「スクリーンリーダー(音声読み上げ)、点字ディスプレイ装置等、補助装置が充実している。

モニタの前のキーボードの下に敷かれた青い点字ディスプレイ

《ドア付近の音声装置》
建物の入り口からは小鳥の声のような音が出ていて、真上から音でドアが近くにあることを知らせてくれる。写真で白矢印でさしているのが音声装置である。施設内の主要各所に実験的に設置中である。

建物の外部から見たガラスの開き戸の上部に小さなセンサの箱

視覚障害を持つ学生との意見交換会


学内施設の見学後、視覚障害を持つ情報処理学科の学生(男性:3名/女性:1名…計4名)にご参加頂き現在使用中の携帯電話の使い勝手、Webホームページの見易さ…等について意見交換会を実施した。

岡本教授

教育方法開発センター 岡本教授

会議室でテーブルを囲む人々

学生(視覚障害者)との意見交換会 風景

主なコメントを簡単にまとめると以下の通り。

【携帯電話機の使用状況について】

*最近の携帯電話(※特に2つ折りのタイプ)はボタンがフラットになってきているのが使いづらい。現在は“P209”を使用。“らくらくホン”の機能は魅力だが敬老ホンのイメージがある。(全盲の先生)

*“らくらくホン”は視覚障害者の間では多く利用されている。音声ガイダンスの機能がとても便利。

*音声対応があったとしても電話帳…等の登録作業が難しい。そのため音声ガイダンスによるサポートの充実と「リセット」キーは必ず欲しい。

*メールは受信のみ。送信は自宅のPCで行っている。送信できない理由として、文字変換の読み上げ等が無いので文章を作成するのが難しい。
(※英語の場合はアルファベットなので音声が無くても何とか操作できる)

*現在、使用している携帯電話を選んだ理由は、基本的な操作を覚えているため、同じメーカー製の端末を購入した。また、音声ガイダンスもあったから。(女子学生)

*メールが出来ればどの機種でも良い。
(※友達の仲間入りがしたいから…)

*“SO-503is”を購入した理由は、購入当時は画面が大きかったこと、表示部が大きいこと、24和音(※音が良い)であったこと。(男子学生)

【携帯電話機に対する逆提案】

*弱視対応へ考慮し白黒反転/文字の倍率を任意(ポイント表示など)で大きく出来るようにして欲しい。

*メール文章を作成するのにイヤホンを利用して文章(文字変換)を読み上げてほしい。

【Webホームページについて】

*全盲の障害者は「テキスト・オンリー」のWebページが読みやすい。

*個人的にはフレームがあるWebサイトは面白いと感じている。(※キー操作があるから…全盲の男子学生)

*音声ブラウザがあるので、Webページが解りにくい…等の不自由は特にない。

【その他・ご意見】

*(教職員の方から)建築は別として携帯電話…等の情報通信機器においてユニバーサルデザインは存在しない。何故なら視覚障害の要望と聴覚障害の要望は正反対であり実現不可能だと感じている。その為、各障害者が使いやすい製品“バリアフリー”に特化した製品を作った方が良いと思う。

*“らくらくホン”にさらに求めるものは、メール作成時の変換時に読上げ機能が欲しい。詳細モードに入ると読上げが無いのは問題、次に進めない。

*入力文字をピンディスプレイにて触知確認するかPO-BOXのような先読み機能ソフトにより、メール作成読みが実現できないでしょうか!(全盲の男子学生)

*携帯電話にイヤホンジャックがあるならば音声でのフィードバックが可能だと思うのだが…。(※携帯電話に漢字変換辞書がなければ無理…全盲の先生)

*携帯カメラで自分を撮影する時、液晶画面で確認できないのが不便。手を伸ばした状態で撮影をしなくてはならないので遠くて画像が見えない。オプションとしてV.F.を持つのも一案。(弱視の男子学生)

*4人の学生それぞれ現在使用している携帯電話の機種が異なっていた為、その選択理由を聞いたところ、音声読上げ機能が機種選択の最大の理由とはなっていないように思われた。
やはり、一般ユーザー(健常者)と同じ機種を好む傾向にある、一面、口コミによる推薦も大きな影響があるようで、機能面での情報不足も感じられた。

*弱視の立場からの要望は、M・Lサイズなどのように文字のサイズを自由に変えたい。(※ex.…10.5/14/18ポイント…等)。その時の環境条件と使用目的によりサイズを変えたい。(弱視の男子学生)

参加者の所感


*今回の視察で感じたことは、今までUDWGで様々な施設を訪問してきたが、特に変わり映えがしない…というのが率直な印象であった。しかし、視覚障害者の方との意見交換を実施したことは非常に有意義であり、視覚障害者の方が携帯電話などに感じる不満など“生”の声を聞けたことは大変参考になった。
やはり“バリアフリー/ユニバーサルデザイン”を実践していく為には、時間/コスト…等、費やすものは大きいと思われるが、障害者の“生”の声を聞くことが重要であると再認識させられた。

*施設の見学中、授業風景も少し拝見させてもらったが、視覚障害を持ちながらも学生が熱心に勉強している姿が非常に印象的であった。

*最も興味深かったのは、施設内に様々な工夫が実践的、且つ実験的になされていたことである。廊下の手摺り、階段の手摺りに設けられた位置表示、屋外歩道上の点字ブロックの色、ポール(柱)下の砂利、入口を示す音信号サイン、体育館…等、このような実践的な取り組みができるのは研究機関としての大学という側面が強い為と思われる。

*意見交換会の中で先生が述べられた「障害者にも便利なモノは、一般の人にとっても便利なモノであることが多い」という意見は、捉え方にもよるがユニバーサルデザインの本質であると感じた。

*意見交換会では教育機関としての取り組みなどについて、もっと伺ってみたかった。例えばカリキュラムの中に障害を受容するための「〜障害論」というような科目があったが、その必要性や内容など。

*IT電子機器の利用に関する実態については、ある程度既知の物も多く、これまでのUDWGの活動成果の蓄積を感じた。


筑波技術短期大学の関連情報


高等教育における情報(視覚・聴覚)障害者のための情報保障環境”
−筑波技術短期大学での試み
10年間の実践とその評価−
(平成11年3月 筑波技術短期大学・情報保障環境研究会)
http://www.kokoroweb.org/tips/tsukuba/
以下、情報処理学科の小林講師からのご紹介です。
《小林講師の触覚ディスプレイの研究》
http://www.cs.k.tsukuba-tech.ac.jp/labo/koba/research/
《NEDOの予算で行われている携帯電話用の触覚ディスプレイ研究》
http://www.nedo.go.jp/informations/other/130226/project/electro.html

私どもの訪問をご紹介頂きました。
ユニバーサルデザイン関連のメーカ関係者の来学
http://www.cs.k.tsukuba-tech.ac.jp/labo/news/news0210.html#03021402




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